処刑された王女の帰還Ⅱ ―戦火に揺れる王国―

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第9章『四面楚歌の決断』

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王都に戻ったセリーヌを待っていたのは、さらなる悪報だった。
 宮廷の大評議室には、重苦しい空気が漂っていた。円卓を囲んで座る諸侯と軍幹部の顔には、疲労と不安が刻まれている。
 セリーヌが上座に着くと、全員が起立して敬礼した。彼女は静かに頷き、席に着く。
「諸君、状況を整理する」
 グレゴールが立ち上がり、壁に掛けられた大地図を指し示した。
「ヴァルディア帝国が正式に宣戦布告。それに呼応して、東のザクセン公国、西のブルグント王国、南のアルトマルク連邦が、帝国側についた」
 地図上で、リオネール王国を取り囲むように、四つの国の領土が赤く塗られている。
「我が国は、完全に包囲された状態だ」
「敵の総兵力は」
 セリーヌが問う。
「帝国軍が三万、ザクセンが一万、ブルグントが八千、アルトマルクが五千。合計で五万二千」
 エドガー将軍が厳しい顔で答える。
「対して我が軍は、総動員しても二万。装備も訓練も、敵より劣る」
「絶望的な数字だな」
 一人の諸侯が呟く。
「二倍以上の敵を相手に、どう戦えと」
「戦わねば、滅ぼされる」
 別の諸侯が反論する。
「だが、戦っても滅ぼされる可能性が高い」
 評議室がざわめく。諸侯たちの間で、不安と絶望が広がっていく。
「静粛に」
 セリーヌが声を上げる。
「確かに状況は厳しい。だが、まだ諦める時ではない」
「陛下、具体的な策はおありですか」
 マーカス伯爵が尋ねる。
「ある」
 セリーヌが地図を見つめる。
「外交だ。我々も同盟国を探す」
「しかし、周辺国は既に帝国側についた」
 グレゴールが言う。
「残る選択肢は限られている」
「北方のノルディア王国がある」
 セリーヌが地図の北部を指す。
「彼らは中立を保っているが、帝国の拡大を快く思っていない。交渉の余地はある」
「ノルディアは遠い」
 エドガーが指摘する。
「彼らが援軍を送るとしても、到着まで一ヶ月はかかる」
「ならば、一ヶ月持ちこたえればいい」
 セリーヌがきっぱりと言う。
「それに、海の向こうのアルカディア共和国もある。彼らは商業国家で、帝国の独占を嫌っている」
「アルカディアは金で動く国です」
 グレゴールが慎重に言う。
「我が国の財政は、戦争で既に疲弊している。彼らを雇う金があるか」
「金がなければ、他のものを差し出す」
 セリーヌが答える。
「鉱山の採掘権、港の使用権、通商条約。交渉の材料はある」
「陛下」
 デュランの代わりに北部領主となったヴェルナー男爵が発言した。
「しかし、それでは我が国の富が流出します。長期的には国力の衰退に」
「長期も短期もない」
 セリーヌが遮る。
「まず生き残らなければ、未来はない」
 彼女は円卓を見回した。
「私は今日、ノルディアとアルカディアに密使を送る。同時に、国内の防衛体制を強化する。エドガー将軍」
「はい」
「全軍を三つの防衛線に配置せよ。北部はそのまま、東部と西部にも軍を展開する」
「了解しました」
「グレゴール」
「はい、陛下」
「戦時財政に移行する。贅沢品への課税を強化し、軍需産業に資金を集中させろ」
「御意」
「そして、民への説明も必要だ」
 セリーヌが立ち上がる。
「明日、王都広場で演説する。民に、現状と我々の決意を伝える」
「陛下、それは危険です」
 レオンが反対する。
「裏切り者の残党が、まだ潜んでいる可能性があります。暗殺の危険が」
「危険を恐れていては、何もできない」
 セリーヌが微笑む。
「民は不安に怯えている。女王が隠れていては、その不安は増すばかりだ」
「……わかりました。ただし、警備は最大限に」
「頼む」
 会議が終わると、セリーヌは執務室に戻った。そこにはサイラスが待っていた。
「陛下、報告があります」
「何だ」
「逃亡したダリウスの行方が掴めました」
 セリーヌの目が鋭くなる。
「どこだ」
「ザクセン公国です。帝国軍に合流し、我が国の機密情報を売っています」
「くそ」
 セリーヌが歯噛みする。
「被害は」
「軍の配置、補給路、そして……陛下の日程まで」
「つまり、敵は私の動きを把握していると」
「おそらく」
 サイラスが頷く。
「明日の演説も、既に知られているでしょう」
「ならば、罠を張ろう」
 セリーヌが言う。
「演説は予定通り行う。だが、場所と時間を直前で変更する。偽の情報をダリウスに流せ」
「了解しました」
 サイラスが薄く笑う。
「裏切り者には、相応の報いを」
「ああ。だが、殺すな。生け捕りにしろ。あいつから、さらなる情報を引き出す」
「御意」
 サイラスが退出すると、セリーヌは窓辺に立った。王都の街には、いつも通りの灯火が灯っている。だが、その平和も、いつまで続くかわからない。
 翌日、王都には緊張が走っていた。女王の演説があると知らされた民衆が、広場に集まり始めていた。
 だが、正午になっても、セリーヌは現れなかった。
「おかしいな」
「女王陛下はどこだ」
 民衆がざわめく中、突然、別の広場から角笛の音が響いた。
「あっちだ!」
 人々が移動を始める。実は、セリーヌは予定を変更し、王都の南広場で演説することにしていた。
 南広場には、既に数千の民衆が集まっていた。演壇が設置され、近衛騎士が周囲を警備している。
 セリーヌが現れると、歓声が上がった。
「女王陛下!」
「セリーヌ様!」
 彼女は演壇に上がり、民衆を見渡した。老人も若者も、女性も子どもも、全員が不安そうな顔をしている。
「我が愛する民よ」
 セリーヌが口を開く。
「今日、私はここに立ち、諸君に真実を告げる。我が国は今、未曾有の危機に直面している」
 民衆が静まり返る。
「ヴァルディア帝国をはじめとする四カ国が、我が国に宣戦を布告した。彼らの軍勢は五万を超え、我々を包囲しようとしている」
 どよめきが広がる。
「なんと……」
「四カ国だと……」
「だが、私は諸君に言いたい」
 セリーヌが拳を握る。
「我々は、決して屈しない」
 その声が広場に響き渡る。
「確かに、敵は多い。だが、我々には守るべきものがある。家族がいる。故郷がいる。この美しい王国がある」
 セリーヌは民衆の一人一人を見つめた。
「私は約束する。この国を、この民を、命に代えても守ると。そのために、私は全てを捧げる」
「女王陛下!」
 一人の老人が声を上げた。
「我々も戦います!この国のために!」
「そうだ!」
「我々も女王陛下と共に!」
 次々と声が上がる。若者たちが拳を突き上げ、女性たちが涙を流す。
「ありがとう」
 セリーヌが深く頭を下げる。
「だが、私は無謀な戦いは望まない。外交によって同盟国を探し、戦わずして勝つ道も模索する」
 彼女は顔を上げた。
「ただし、もし戦いが避けられないなら、我々は立ち上がる。正義のために、自由のために、そして未来のために」
「女王陛下万歳!」
「リオネール万歳!」
 広場が歓声に包まれた。その熱気が、セリーヌの心を温める。
 演説が終わり、セリーヌが演壇を降りようとした時、群衆の中から一人の男が飛び出してきた。
「女王陛下!」
 男は懐から何かを取り出そうとする。レオンが即座に反応し、男に飛びかかった。
「動くな!」
 近衛騎士たちが男を取り押さえる。男の手から、一通の書簡が落ちた。
「これは……」
 セリーヌが書簡を拾い上げる。封は破られておらず、表には「リオネール王国女王陛下へ」と書かれていた。
「怪しい者ではありません!」
 男が叫ぶ。
「私はノルディア王国からの密使です!」
「ノルディア?」
 セリーヌが驚く。
「本当か」
「はい。我が国王、オラフ三世陛下からの親書を届けに参りました」
 セリーヌは警戒しながらも、封を切った。中には、整った筆跡で書かれた書簡が入っていた。
『リオネール王国女王セリーヌ陛下へ。我が国は、貴国の窮状を憂慮している。ヴァルディア帝国の野心的拡大は、我が国にとっても脅威である。ついては、軍事同盟の締結を提案したい。詳細は、使者に説明させる。友好と連帯を込めて、ノルディア王国王、オラフ三世』
 セリーヌの顔に、笑みが浮かんだ。
「本物だ」
 彼女は男を立ち上がらせた。
「済まなかった。状況が状況だけに、警戒せざるを得なかった」
「いえ、当然のことです」
 男が頭を下げる。
「私の名はトルステン。王の命を受け、同盟交渉のために参りました」
「詳しい話を聞かせてくれ。宮廷で」
 セリーヌはトルステンと共に宮廷へと向かった。民衆は歓声を上げ続け、希望の光が見え始めたことに喜んでいた。
 だが、セリーヌは知っていた。これは始まりに過ぎない。同盟が成立しても、戦いは避けられない。
 それでも、彼女は前に進む。民のために。国のために。
 宮廷の会議室で、トルステンが詳細を説明した。
「我が国は、一万の兵を派遣できます。ただし、条件があります」
「聞こう」
「戦後、北部国境の要塞都市、ノルトハイムを我が国に譲渡していただきたい」
 セリーヌの表情が険しくなる。ノルトハイムは戦略的要衝だ。それを譲渡すれば、王国の北部防衛は弱体化する。
「他の条件は」
「通商における優遇措置。そして、鉱山の採掘権の一部」
 グレゴールが眉をひそめる。
「それは、かなり厳しい条件です」
「戦争に勝てなければ、全てを失う」
 トルステンが冷静に言う。
「選択は、貴国次第です」
 セリーヌは沈黙した。民衆の前では強気な演説をしたが、現実は厳しい。援軍を得るためには、大きな代償を払わなければならない。
「一つ、質問させてくれ」
 セリーヌが言う。
「なぜノルディアは、我が国を助けるのだ。本当の理由を」
 トルステンは少し考えてから、答えた。
「帝国が強大になりすぎることを、我が国は恐れている。今、貴国が倒れれば、次は我々の番だ。ならば、今のうちに帝国を抑え込むべきだ」
「つまり、我々は捨て石か」
「そうとも言える」
 トルステンが正直に答える。
「だが、それは貴国も同じではないか。我が国を利用して、生き延びようとしている」
 セリーヌは笑った。
「正直で好感が持てる。交渉しよう。ただし、条件は修正させてもらう」
「お聞きしましょう」
 その夜、セリーヌとトルステンは夜通し交渉を続けた。互いに譲らず、時には激しく対立したが、最終的に合意に達した。
 ノルトハイムの譲渡は戦後十年間の租借に変更。通商優遇措置は五年間限定。鉱山の採掘権は三割まで。
 両国は軍事同盟を締結し、ノルディア軍一万が二週間以内に到着することが決まった。
 翌朝、セリーヌは疲労困憊しながらも、評議会で報告した。
「ノルディアとの同盟が成立した」
 諸侯たちが拍手を送る。
「これで、戦力は三万。まだ敵より劣るが、戦える数字だ」
「陛下、素晴らしい外交手腕です」
 マーカス伯爵が称賛する。
「だが、まだ足りない」
 セリーヌが地図を見つめる。
「アルカディア共和国からの返答を待っている。そして……」
 彼女は南の方角を指した。
「もう一つ、可能性がある」
「と、言いますと」
「帝国の同盟国を切り崩す」
 セリーヌの目が輝く。
「アルトマルク連邦は、帝国に脅されて従っているだけだ。彼らに、別の選択肢を示せば、寝返る可能性がある」
「危険な賭けです」
 グレゴールが警告する。
「失敗すれば、機密が漏れる」
「だが、成功すれば戦局が変わる」
 セリーヌが決意を込めて言う。
「サイラス、お前がアルトマルクに潜入しろ。連邦の首脳部と接触し、密約を結べ」
「了解しました」
 サイラスが影のように頭を下げた。
 会議が終わり、セリーヌは一人、執務室の窓辺に立っ
た。王都の街並みを見下ろしながら、彼女は父の日記を開いた。
『王とは、孤独な存在だ。全ての責任を背負い、全ての決断を下さなければならない。だが、それでも前に進め。民が、お前を信じている』
 セリーヌは日記を閉じ、剣を手に取った。この剣で、彼女は幾多の敵を倒してきた。そして今、最大の戦いが待っている。
 窓の外では、伝令騎士が次々と王都を出発していた。ノルディアへ、アルカディアへ、そして各地の防衛線へ。王国全体が、戦争という巨大な渦に巻き込まれようとしていた。
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