21 / 78
第21話七年前~ブリリアントside~
鉱山送りになったモントール元伯爵は、初日から乱暴に陵辱されて男達の専属の「夜のお仕事」にまわされていました。絶世の美青年は屈辱に歪んだ顔もまた美しく、嗜虐趣味に目覚めた男が何人も続出していたそうです。
また、責任者から「良い薬」として渡された媚薬に溺れ、昼夜問わず狂ったように腰を振り続けるモントール元伯爵はすっかり淫乱な体に作り変えられていたそうで、その艶やかな美貌と快楽に染まりきった表情は見る者を魅了したとか。王侯貴族の裏で密かに流通し始めた魔道具。それに映し出された世にも美しい青年の淫乱な姿は男も女も関係なく虜にしたようで、彼の映像に莫大な金をつぎ込む貴族まで出てくるのですから世も末です。元伯爵は毎日の「お仕事」を受けて悦ぶ日々を過ごしているそうで、天職だったようです。
そう言えば、気になっていた事がありました。
「お父様、お聞きしたいのですが」
「なんだい?」
「モントール伯爵家は爵位も領地も王家に没収されたと聞きましたが、その場合、シュゼット側妃とユリウス王子はどうなるのですか?」
「ユリウス王子の場合は王妃殿下の猶子になっているし、父親の国王陛下もいるから大丈夫だろう。シュゼット側妃に関しては、恐らく当面の間は父親が後見人になるだろう。ただ、騎士爵の身分だからね。大したことはできない。いや、後宮では後見人とは言えないだろうな。仮にも王太子の生母だ。他の妃達のように臣下に下賜する訳にもいかない難しいところだな」
「シュゼット側妃の父君が爵位を断わったと聞いたのですが、本当なのですか?」
「ああ、本当だ。『なんの功績も挙げていない自分が受け取れるものではありません』と言って辞退したらしい。兄上も今頃頭をかかえているだろうな。王太子の生母に後見人が居ない前代未聞の事態に」
どうやら噂は本物のようです。
それにしても爵位を断わるなんて気骨のある方ですね。何故、あのような息子ができたのか謎です。
「元々は騎士として名を上げていた人物だ」
「そうなのですか?」
「ああ、今はダイヤモンド鉱山でこの国は潤っているが、この国は数十年前まで貧しい国だったんだよ。これという産業もなく、資源も碌になくてね」
「歴史で習いましたわ。確か、鉱山が発見される前までは軍国として各国に派遣されていたのでしょう?」
「ん~~……それは少し違うかな」
「違うのですか?」
「間違ってはいない。ただ、正しくもない。軍を派遣していたのは事実だが、正確には『傭兵の派遣』だ」
「どういう事でしょう?」
「分かり易く言うと、この国の正規軍を他国に『傭兵』という形で貸し出して、それで外貨を稼いでいたという訳だよ。シュゼット側妃の父親は元は平民出身だ。軍に入り、『他国での戦い』で多大なる功績を挙げて騎士爵を受け取っている。怪我で退役してからも暫くの間は講師として若手を指導していたと聞いた事がある。彼としては軍人としてのプライドがあるのだろうね」
「娘の七光りで出世はしたく無い、ということですか」
「まあ、そういうことだ」
成る程、シュゼット側妃の父君はかなりの頑固者のようですね。
……しかし。
そうなりますと、シュゼット側妃の後宮での立場が益々難しくなりますね。このままではいずれ彼女自身が潰れかねません。
「まさか、私達に側妃の後見人になって欲しいと言い出すんじゃないかしら?あの国王」
お母様、流石にそれはあり得ないと思いますわ。
私達とシュゼット側妃の繋がりなどユリウス王子の生母というだけ。王妃殿下の猶子になった以上は生母とはいえ、そこまでの面倒をみる必要はありません。それに、私達母娘に危害を加えようとしたのは側妃の実弟。それを踏まえてもあり得ません。
「あの兄上なら十分考えられるな」
お父様!?
混乱する頭の中で必死に考えをまとめようとしますが、上手くいきません。その間も二人はシュゼット側妃の後見人の打診が王家からきても断りを入れる相談をしていました。
数日後、王家からの使者を丁重に追い返すお父様とお母様の姿がありました。お二人とも強いですわ。
あなたにおすすめの小説
特技は有効利用しよう。
庭にハニワ
ファンタジー
血の繋がらない義妹が、ボンクラ息子どもとはしゃいでる。
…………。
どうしてくれよう……。
婚約破棄、になるのかイマイチ自信が無いという事実。
この作者に色恋沙汰の話は、どーにもムリっポい。
もう私、好きなようにさせていただきますね? 〜とりあえず、元婚約者はコテンパン〜
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「婚約破棄ですね、はいどうぞ」
婚約者から、婚約破棄を言い渡されたので、そういう対応を致しました。
もう面倒だし、食い下がる事も辞めたのですが、まぁ家族が許してくれたから全ては大団円ですね。
……え? いまさら何ですか? 殿下。
そんな虫のいいお話に、まさか私が「はい分かりました」と頷くとは思っていませんよね?
もう私の、使い潰されるだけの生活からは解放されたのです。
だって私はもう貴方の婚約者ではありませんから。
これはそうやって、自らが得た自由の為に戦う令嬢の物語。
※本作はそれぞれ違うタイプのざまぁをお届けする、『野菜の夏休みざまぁ』作品、4作の内の1作です。
他作品は検索画面で『野菜の夏休みざまぁ』と打つとヒット致します。
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
婚約破棄?とっくにしてますけど笑
蘧饗礪
ファンタジー
ウクリナ王国の公爵令嬢アリア・ラミーリアの婚約者は、見た目完璧、中身最悪の第2王子エディヤ・ウクリナである。彼の10人目の愛人は最近男爵になったマリハス家の令嬢ディアナだ。
さて、そろそろ婚約破棄をしましょうか。
奪われる人生とはお別れします 婚約破棄の後は幸せな日々が待っていました
水空 葵
恋愛
婚約者だった王太子殿下は、最近聖女様にかかりっきりで私には見向きもしない。
それなのに妃教育と称して仕事を押し付けてくる。
しまいには建国パーティーの時に婚約解消を突き付けられてしまった。
王太子殿下、それから私の両親。今まで尽くしてきたのに、裏切るなんて許せません。
でも、これ以上奪われるのは嫌なので、さっさとお別れしましょう。
◇2024/2/5 HOTランキング1位に掲載されました。
◇第17回 恋愛小説大賞で6位&奨励賞を頂きました。
◇レジーナブックスより書籍発売中です!
本当にありがとうございます!
欠席魔の公爵令嬢、冤罪断罪も欠席す 〜メイリーン戦記〜
水戸直樹
ファンタジー
王太子との婚約――それは、彼に恋したからでも、権力のためでもなかった。
魔王乱立の時代。
王も公爵も外征に出ている王都で、公爵令嬢メイリーンは“地味な婚約者”として王城に現れる。
だが、王太子は初顔合わせに現れなかった。
にもかかわらず、記録に残ったのは「公爵令嬢の欠席」。
抗議はしない。
訂正もしない。
ただ一つ、欠席という事実だけを積み上げていく。
――それが、誰にとっての不合格なのか。
まだ、誰も気づいていない。
欠席から始まる、静かなるファンタジー戦記。
【完結】婚約破棄された悪役令嬢、元婚約者を裏で裁きます
音無響一
ファンタジー
王城の大広間で、リリアーナ・エルヴァルトは婚約者である王太子から一方的に婚約破棄を言い渡される。罪を捏造され、断罪され、国外追放。誰も味方のいない中、彼女は一切の弁明をせず静かに受け入れた。
だがその夜。
彼女は別の顔を持つ。
王都の闇で依頼を受け、悪を裁く裏稼業の元締め。
今度の標的は――自分を断罪した元婚約者。
婚約は終わった。だが清算はまだ終わっていない。
表では悪役令嬢。裏では裁く側。
これは、断罪された令嬢が王都の闇を静かに切り裂く物語。