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第47話新たな王~ユリウス王子side~
しおりを挟む「そなたらを招集した理由は言わずともわかっておるな?」
三年ぶりの父上の叱責。
だが、今回は眉間に深い皺を刻みこみ渋い表情を露わにしていた。こんな父上は初めてだ。
「時間が解決すると安易に思っていたのがいけなかったのか。ユリウス、そなたが考えている以上にブリリアント嬢の価値は高い」
「アレにそのような価値はございません!帝国皇女の血を引いているから何だと言うのです!肝心なのは我が国の王家の血です!黒髪黒目の両親にない色を持つアレは紛い物の公爵令嬢。不義密通の末に生まれた咎人です。父上、今からでも遅くはありません。帝国に謝罪と賠償を請求いたしましょう!」
「ユリウス、それは誰に入れ知恵だ?ブリリアント嬢が公爵の娘でないと申すか……たわけ者!!!」
「ち、ちちう……え?」
「ブリリアント嬢は間違いなく帝国と王国に血をひく姫だ!両親の色を持たない?愚かな!彼女は公爵夫人の母君である前皇后陛下に瓜二つだ!黒髪も黒い目も何もかも祖母君から受け継いだものだ!」
「なっ!?」
「大方、予算を引かれた腹いせに奴らが流布したものだ。そんなものに惑わされるとは嘆かわしい」
父上の剣幕に、僕も友人達も恐れおののいた。
まさか、小娘が祖母似だとは思わなかったのだ。だいたい、母方の祖母などしらん!
「公爵家は帝国に赴いた。恐らく戻っては来ないだろう。婚約も白紙になったことでシャイン公爵家との縁も切れた。私も、そなたらも責任を取らねばならん。分かるな。特にユリウス、そなたの責任は重大だ」
一体なにを言われるのだ?
「諸外国の目もある。誰の目から見ても公平な罰を与えねばならない。だが、その一方で、そなたらは未成年。未成年の子の罪は親が取るのが道理。故に、これより、私は息子の責任を取り譲位を宣言する!ユリウス王太子、これより、そなたが国王だ」
「!?」
ざわっ!!
周囲が一気に騒がしくなった。
「陛下、お考え直しください!」
「ユリウス殿下に国王は務まりません!!」
「まだ若すぎます!」
「黙れ!これは決定事項だ!ユリウス王太子、これへ!」
父上は口煩い家臣達を一喝すると、玉座に上がるように命じる。
僕が王座の前に歩み出ると、父上自らが頭上に王冠を載せてくださった。そして、マントを肩にかけてくれたのだ。…………これが王族としての責務なのだと身にしみて理解する。同時に、今まで自分が如何に恵まれていたのかを知ることになった。王侯貴族にとって、命より大切なものはない。それは王位も同じだったのだ。この国のために尽くしてくれた臣下たちのために、僕は覚悟を決めるしかなかった。
「父上、謹んでお受け致します。必ずや、この国を繁栄させ民の安寧を約束いたします!」
こうして、僕は十八歳という異例の若さで即位したのであった。
友人たちもまた親から爵位を受け継ぎ、僕の側近になる事が決定した。
晴れやかな僕達とは裏腹に古参の家臣が真っ青になっていた事に全く気付くことも無く、未来は明るいと疑わなかった。調査の結果、公爵家に冤罪をかけたことも忘れ、すべてが順風満帆にいくと信じていた。
国中の貴族を集めた戴冠式。
豪華絢爛の舞台に酔いしれた。
だから、気付かなかった。
式典の参列者に諸外国の重鎮が少なかったことを。
数日後、国王命令として、母上を後宮から王宮に移した。
王妃は既に王宮を出て実家の侯爵家に戻っていたので、邪魔する者は誰もいなかった。父上が手配したのか、王妃の猶子ではなくなっていた。即位したので必要がなくなったと解釈した僕は深く考えることはしなかった。
「まあ、これでゆっくり出来る。母上にもこれから楽をさせてあげれます」
僕のその言葉を聞いたときの母上の顔が強張っていたのに気づくことが出来なかった。
そして、退位した父上が隠遁先に選んだのが王都から一番遠い場所であったことにも疑問に思わなかったのである。
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