悪女と罵られたので退場させていただきます!

つくも茄子

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~ボルゴーヌ王国編~

9.噂2

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 恋愛の噂は皆様食いつきが早いですね。
 私はもうお腹いっぱいです。

 まともな貴族は右往左往していますわ。自国の王女が不貞をして妊娠している可能性まで出ているのですから焦るのは当然でしょう。
 若い貴族や平民達は王女と公爵子息のままならない恋物語に夢中で、事の深刻さがわかっていないようですけど。

 王族の醜聞ほど厄介なものはないでしょうに。
 実害が出ていないせいでしょうか?
 これから起こると考えないあたり平和ボケしている気がしますわ。
 まあ、中には親切心で私に忠告してくる方もいらっしゃいますけど。


「まあ、仕方ありませんわ。だって、この国はを持っているようですもの。他国出身の私が口を挟む問題ではありませんわ」

「なっ!? なにを仰るのですか!」

「事実でしょう?」

「そんな文化はございません!いくらヴァレリー公爵令嬢でも、言っていいことと悪いことがありますわよ!」

「酷い事を仰らないで!」

「そうですわ!ボルゴーヌ王国をバカにしていらっしゃるのですか!?」

 お前達が言うな、と言いたいですわね。
 好奇心旺盛に私に絡みに来たのだから言い返されることは予想の範囲内でしょうに。

「あら?だってそうでしょう?婚約者がいると分かっていながらされているのですもの。これを文化と言わずに何と仰るのかしら?」

「うっ、それは……」

 私の言葉に二の句を告げずに口ごもる令嬢達。

「私の元にも不確かな情報が流れてきていますわ。皆様が喜々として噂されていることですもの。きっと私よりもずっと詳しく知っているのでしょうね。ですが、ご自分達の王家と国を貶める行為は、ね」

「……わ、わたくしたちは……別に……」

「ごめんなさい。貶めてはいませんわね。応援されていらっしゃるのですもの。我が帝国には理解しがたい文化ですが、ここは皆様の国。私が文化の違いにあれこれと口を挟む事ではありませんわ」

「「「……」」」

 自国への皮肉に顔をひきつらせる令嬢達。
 嫌みだと理解できて何よりです。

 真っ向から否定はしません。
 飽く迄も、この国の文化としてのお話。
 私は他国の人間として異文化を理解する義務があるという態度を崩さなかったせいでしょうか。それとも、私の皮肉に反論できなかったことも関係あるのかも知れませんが、おかしな人達の接触が減ったのは喜ばしいことですわね。
 帝国大使もやんわりと、この国の王侯貴族の在り方を批判してくれていますし。さすが、できる男は違いますわね。

 この様子では、二組の婚約が破棄されるのは時間の問題でしょう。


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