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4.公爵子息3
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お茶会での挨拶周り。
「キャロライン嬢はどうしたのです?」
「今日は欠席なのかしら?」
「あら、それは残念だわ」
婚約を解消した事を知らないのか?
夫人だけでなく令嬢達にまで質問される。エスコートしているナディアが視えないとでもいうのか?
「キャロラインとは婚約を解消しました」
「まあ!」
「何故ですの?」
「あれほど素晴らしい女性は他にいませんわよ」
口々に言われ隣にいるナディアの機嫌が悪くなるのが分かる。
「あいにく、キャロラインとは縁が無かったようです。そのかわり、彼女という優秀な女性と縁を結ぶことができました。僕の新しい婚約者、ナディア・ラードです」
「初めまして、皆さま。ナディア・ラードと申します」
漸く、ナディアを紹介できた。
ピシリと背筋を伸ばして自己紹介するナディアは「デキる婚約者」だった。
「……まぁ。この方が」
「あら……まぁ。『逃がした魚は大きい』とはこの事ですわね」
「実に下位貴族らしい挨拶ですわ」
令嬢達がクスリと笑う。
嫌な笑い方だ。
「キャロラインとは比べ物にならない程に良い女性です」
そう言って立ち去ることにした。
「感じが悪いわ」
「全くだ。ナディア大丈夫か?」
「これくらい平気よ」
気丈に笑うナディアだったが、この場にいる女性たちは最悪の一言に尽きた。
扇子でナディアを隠すかのように盗み見て「あらあら、ここは夜会ではありませんわよ。元の場所に戻られては如何?」と訳の分からない物言いまでされ、流石のナディアも笑顔が引きつっていた。
キャロラインとの婚約解消を知る人達はそもそも僕達に近寄ろうともしない。遠巻きに眺めている。それだけなら僕も何も思わないが、彼女達はそうじゃない。冷ややかな目で観察するのだから溜まらない。特に高位貴族の夫人達ときたら、あからさまに僕達を見てはヒソヒソとする。中にはクスクスと嘲笑う夫人もいた位だ。女の陰湿さを垣間見た。
ナディアは女性特有の陰湿さをものともせず、気丈に振る舞ってくれているが無理をしているのは見ていて分かる。夫人や令嬢の嫌味にピリピリしている。それが余計に彼女達から侮られている。こんな時、キャロラインなら笑顔でスルーしていると思わずにはいられない。父上が言っていたのはこういう事だったのかもしれない。ポーカーフェイスを完璧に出来ないナディアは高位貴族の攻撃に耐えられない。
これに関してはどうしようもない。場数を踏んでいくしかないのだ。そして僕自身への視線も痛い。この中にはキャロラインと仲の良い令嬢達も多数参加している。彼女達の視線はゴミでも見るかのようだった。彼女達に傍に行きたくないが、あからさまに無視されたらそれこそ悪印象だろう。仕方なく挨拶だけして離れるしかなかった。
ただただ疲れるだけのお茶会は終わりを迎えた。
帰りの馬車の中、僕もナディアは疲れきってグッタリしていた。
翌日、父上から叱責を受けた。
「キャロライン嬢はどうしたのです?」
「今日は欠席なのかしら?」
「あら、それは残念だわ」
婚約を解消した事を知らないのか?
夫人だけでなく令嬢達にまで質問される。エスコートしているナディアが視えないとでもいうのか?
「キャロラインとは婚約を解消しました」
「まあ!」
「何故ですの?」
「あれほど素晴らしい女性は他にいませんわよ」
口々に言われ隣にいるナディアの機嫌が悪くなるのが分かる。
「あいにく、キャロラインとは縁が無かったようです。そのかわり、彼女という優秀な女性と縁を結ぶことができました。僕の新しい婚約者、ナディア・ラードです」
「初めまして、皆さま。ナディア・ラードと申します」
漸く、ナディアを紹介できた。
ピシリと背筋を伸ばして自己紹介するナディアは「デキる婚約者」だった。
「……まぁ。この方が」
「あら……まぁ。『逃がした魚は大きい』とはこの事ですわね」
「実に下位貴族らしい挨拶ですわ」
令嬢達がクスリと笑う。
嫌な笑い方だ。
「キャロラインとは比べ物にならない程に良い女性です」
そう言って立ち去ることにした。
「感じが悪いわ」
「全くだ。ナディア大丈夫か?」
「これくらい平気よ」
気丈に笑うナディアだったが、この場にいる女性たちは最悪の一言に尽きた。
扇子でナディアを隠すかのように盗み見て「あらあら、ここは夜会ではありませんわよ。元の場所に戻られては如何?」と訳の分からない物言いまでされ、流石のナディアも笑顔が引きつっていた。
キャロラインとの婚約解消を知る人達はそもそも僕達に近寄ろうともしない。遠巻きに眺めている。それだけなら僕も何も思わないが、彼女達はそうじゃない。冷ややかな目で観察するのだから溜まらない。特に高位貴族の夫人達ときたら、あからさまに僕達を見てはヒソヒソとする。中にはクスクスと嘲笑う夫人もいた位だ。女の陰湿さを垣間見た。
ナディアは女性特有の陰湿さをものともせず、気丈に振る舞ってくれているが無理をしているのは見ていて分かる。夫人や令嬢の嫌味にピリピリしている。それが余計に彼女達から侮られている。こんな時、キャロラインなら笑顔でスルーしていると思わずにはいられない。父上が言っていたのはこういう事だったのかもしれない。ポーカーフェイスを完璧に出来ないナディアは高位貴族の攻撃に耐えられない。
これに関してはどうしようもない。場数を踏んでいくしかないのだ。そして僕自身への視線も痛い。この中にはキャロラインと仲の良い令嬢達も多数参加している。彼女達の視線はゴミでも見るかのようだった。彼女達に傍に行きたくないが、あからさまに無視されたらそれこそ悪印象だろう。仕方なく挨拶だけして離れるしかなかった。
ただただ疲れるだけのお茶会は終わりを迎えた。
帰りの馬車の中、僕もナディアは疲れきってグッタリしていた。
翌日、父上から叱責を受けた。
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