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~第三章~
47.父親side
誕生して数ヶ月で言葉を理解した赤子がいる。
次男のサビオだ。
二歳になる頃には文字を覚えていた。
だから期待していた。
五歳の魔力鑑定日を。
長男以上の魔力量に違いないと、楽しみにしていた。
だが、サビオは『魔力無し』だった。
どういう事だと思った私は悪くないだろう。
何度も確認した。
鑑定間違いという事もあり得る。
そう考えた。
残念ながら間違いでは無かった。
魔術師を代々輩出してきたパッツィーニ侯爵家。
私の息子に『魔力無し』が出た事に落胆を隠せなかった。
それと同時に我が子の安全を危惧した。
もっとも、それは杞憂に終わったが……。
ただ、サビオは『天才』『神童』と有名になり過ぎてしまった。
息子を利用しようとする者は多い。
王家も同じだ。
サビオの将来性を評判を聞きつけて王女殿下と婚約させられた。
『跡取りでない御子息に箔が付くというものです』
『実に幸運だ』
『婚姻前に国王陛下から直々に爵位を与えられるという話も出ていると聞きます』
『素晴らしい! 名誉な事ですよ!』
『これで侯爵家も安泰!出来の良い御子息を持って羨ましい限りだ』
『サビオ殿も喜ぶでしょう』
などと口では言っていたが、内心どう思っているか分かったものではない。
私は貴族連中を信用していない。
そもそも貴族とは傲慢な生き物なのだ。
己の利益の為に平気で他人を犠牲にする。
特に王家や上位の貴族ほどその傾向が強い。
だからこそ慎重に行動しなければならない。
それはサビオが取り換えっ子だと判明した時でも同じだ。
実の息子。
『本物の次男』だと紹介された少年は確かに私達家族に似ていた。
妻は「私の子よ」と叫んで抱きしめていた。
そうして『本当の家族』としての生活が新たに始まった。
だが、違和感しか感じない。
急に息子だと言われてもそう簡単に納得できるものではない。
ましてや、十二年間市井で暮らしていた子供だ。
礼儀作法など知らない。
マナーもなっていない。
貴族の常識もない。
そんな子供を息子として受け入れろと?
魔力はあるものの、サバスに比べれば微々たるものだ。
魔法の才能があるとは思えない。
本当に実の息子なのか疑問しかない。
サバスも同じように考えているようだ。
ある日、我慢できなくなったのか「弟とは思えない」と遠回しに言ってきた。
気持ちは分かる。
なので、同盟国に留学させた。
妻は『本物の次男』に夢中で、長男が家からいなくなっても気にする様子はない。
「少し調べて欲しい事がある」
私は信頼できる部下に指示を出した。
『本物の次男』の再調査だ。
国王陛下がサビオ不在で政治が回らないと嘆き、取り戻そうと躍起になっている今がチャンスだろう。
この機を逃すわけにはいかない。
我が国と交流は少ないが魔道具の技術力が高い国から『親子鑑定装置』なる物を貸してもらった。
これを使えば、他人の血族かどうか判断出来るらしい。
本来なら王族の血筋のみに使用するものらしいのだが、今回は特別に使用許可を頂いた。勿論、王家には内密だ。
結果は予想通りだった。
『本物の次男』は『偽物』だった。
それが判明した数週間後、サビオの居場所が分かった。
次男のサビオだ。
二歳になる頃には文字を覚えていた。
だから期待していた。
五歳の魔力鑑定日を。
長男以上の魔力量に違いないと、楽しみにしていた。
だが、サビオは『魔力無し』だった。
どういう事だと思った私は悪くないだろう。
何度も確認した。
鑑定間違いという事もあり得る。
そう考えた。
残念ながら間違いでは無かった。
魔術師を代々輩出してきたパッツィーニ侯爵家。
私の息子に『魔力無し』が出た事に落胆を隠せなかった。
それと同時に我が子の安全を危惧した。
もっとも、それは杞憂に終わったが……。
ただ、サビオは『天才』『神童』と有名になり過ぎてしまった。
息子を利用しようとする者は多い。
王家も同じだ。
サビオの将来性を評判を聞きつけて王女殿下と婚約させられた。
『跡取りでない御子息に箔が付くというものです』
『実に幸運だ』
『婚姻前に国王陛下から直々に爵位を与えられるという話も出ていると聞きます』
『素晴らしい! 名誉な事ですよ!』
『これで侯爵家も安泰!出来の良い御子息を持って羨ましい限りだ』
『サビオ殿も喜ぶでしょう』
などと口では言っていたが、内心どう思っているか分かったものではない。
私は貴族連中を信用していない。
そもそも貴族とは傲慢な生き物なのだ。
己の利益の為に平気で他人を犠牲にする。
特に王家や上位の貴族ほどその傾向が強い。
だからこそ慎重に行動しなければならない。
それはサビオが取り換えっ子だと判明した時でも同じだ。
実の息子。
『本物の次男』だと紹介された少年は確かに私達家族に似ていた。
妻は「私の子よ」と叫んで抱きしめていた。
そうして『本当の家族』としての生活が新たに始まった。
だが、違和感しか感じない。
急に息子だと言われてもそう簡単に納得できるものではない。
ましてや、十二年間市井で暮らしていた子供だ。
礼儀作法など知らない。
マナーもなっていない。
貴族の常識もない。
そんな子供を息子として受け入れろと?
魔力はあるものの、サバスに比べれば微々たるものだ。
魔法の才能があるとは思えない。
本当に実の息子なのか疑問しかない。
サバスも同じように考えているようだ。
ある日、我慢できなくなったのか「弟とは思えない」と遠回しに言ってきた。
気持ちは分かる。
なので、同盟国に留学させた。
妻は『本物の次男』に夢中で、長男が家からいなくなっても気にする様子はない。
「少し調べて欲しい事がある」
私は信頼できる部下に指示を出した。
『本物の次男』の再調査だ。
国王陛下がサビオ不在で政治が回らないと嘆き、取り戻そうと躍起になっている今がチャンスだろう。
この機を逃すわけにはいかない。
我が国と交流は少ないが魔道具の技術力が高い国から『親子鑑定装置』なる物を貸してもらった。
これを使えば、他人の血族かどうか判断出来るらしい。
本来なら王族の血筋のみに使用するものらしいのだが、今回は特別に使用許可を頂いた。勿論、王家には内密だ。
結果は予想通りだった。
『本物の次男』は『偽物』だった。
それが判明した数週間後、サビオの居場所が分かった。
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