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~第四章~
78.とある新米刑事side
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魔術師育成学校で事件が起きた。
その知らせを受けて警察組織は朝から慌ただしかった。
治外法権といってもいい魔術師育成学校での事件だ。そこのメスを入れるとなると……。
「よく学校側が許しましたよね?」
「ああ、だがこればっかは誤魔化せないと思ったんだろうさ」
「被害者が四名でしたか」
「四人とも留学生だ。この国の人間じゃない。しかも殺され方が尋常じゃないからな」
「それって、この国の人間だったら闇に葬ってたと聞こえますが……え?まさか……」
「さあな。だが今までこの学校が部外者を入れる事はなかった。どんな事故が起きたとしてもな。今回の被害者がたまたま他国の人間で全員、貴族階級出身だから特別に許されたと考えるべきだ。おまけに殺された場所が場所だ。どこまで調べられるか分からんが、調べられるだけ調べるぞ」
「警部……」
「ま、あまり期待はするな。この学校自体が魔術師に関わるもの全体に影響を与えてる。しかも神殿と裏で繋がっているという噂もある」
「え?!ですがこの学校は!」
「ああ、神殿側とは犬猿の仲だ。表向きはな」
「本当は違うってことですか?」
「噂だ。あくまでも噂。それも一部の間でのな。だがな噂ってのはあながち馬鹿に出来んぞ。いつの間にか聞きたくもない情報が伝わってきている事が多いんだ」
「……そうなんですか?」
「そうだ。上層部はこの学校の独断が少しでも減れば良いと思っていやがる。事件解決そのものにはさほど期待はしちゃいねえさ。国際問題に発展しないように調節するためのパフォーマンスに過ぎねぇってもんだ」
「……」
「ま、俺はそんな思惑にのる気はねえからな。事件解決に全力を注ぐぜ」
警部はそう言うと自分の机の引き出しから書類を数枚取り出した。
「さて、まず被害者四人の名前は……」
そんな会話を思い出しつつ、俺達は問題の学校を訪れた。
事件現場となったのは普段使用していない教室。
教室といっていいのか。旧校舎というべきなのか、今は使われていない建物に俺達は案内された。
「随分、離れた場所にあるんですね」
ぼやきたくなった。
普通の生徒ならまず立ち入らないだろう旧校舎で亡くなったとなるとその生徒達が「なにか疚しい事をしていたんじゃないか」と疑ってしまう。それだけ現在使用している校舎とは距離があり過ぎた。
「学校側も旧校舎の方があまり管理していないそうだ」
「……立て壊したりしないんですか?」
「何度か議題に上ったそうだが、その都度反対意見が出て先延ばしされていたらしい。なんせこの国が出来る以前からあった建物だからな。歴史的価値が高いらしい」
「そうですか」
「ま、それも表向きの理由なんだろうさ」
「え?」
「実際の処は壊したくても壊せない、というとこだな」
「どういうことですか?」
「この学校の創立は古い。旧時代の遺物がゴロゴロしているのもそのせいだろう。大昔の大戦の遺物なんてものもある。下手に壊して何か出てきたとしても対処できねぇ、ってのが本音だろうさ。失われた魔方陣なんかが復活したらどうにもならないらしいぜ」
思った以上にヤバイ場所らしい。いや、そんなヤバイ場所に入るなよな……学生。警部の話しでは旧校舎は「放置一択」らしい。
「だからだろうな。国も下手に介入できねぇらしい」
臭い物に蓋をするってヤツだろうか。
対応できる人がいないから放置するしかない現実。まあ確かに間違っていない判断だろうけどさぁ。この学校、大丈夫か?いや、俺達の国……大丈夫?
その知らせを受けて警察組織は朝から慌ただしかった。
治外法権といってもいい魔術師育成学校での事件だ。そこのメスを入れるとなると……。
「よく学校側が許しましたよね?」
「ああ、だがこればっかは誤魔化せないと思ったんだろうさ」
「被害者が四名でしたか」
「四人とも留学生だ。この国の人間じゃない。しかも殺され方が尋常じゃないからな」
「それって、この国の人間だったら闇に葬ってたと聞こえますが……え?まさか……」
「さあな。だが今までこの学校が部外者を入れる事はなかった。どんな事故が起きたとしてもな。今回の被害者がたまたま他国の人間で全員、貴族階級出身だから特別に許されたと考えるべきだ。おまけに殺された場所が場所だ。どこまで調べられるか分からんが、調べられるだけ調べるぞ」
「警部……」
「ま、あまり期待はするな。この学校自体が魔術師に関わるもの全体に影響を与えてる。しかも神殿と裏で繋がっているという噂もある」
「え?!ですがこの学校は!」
「ああ、神殿側とは犬猿の仲だ。表向きはな」
「本当は違うってことですか?」
「噂だ。あくまでも噂。それも一部の間でのな。だがな噂ってのはあながち馬鹿に出来んぞ。いつの間にか聞きたくもない情報が伝わってきている事が多いんだ」
「……そうなんですか?」
「そうだ。上層部はこの学校の独断が少しでも減れば良いと思っていやがる。事件解決そのものにはさほど期待はしちゃいねえさ。国際問題に発展しないように調節するためのパフォーマンスに過ぎねぇってもんだ」
「……」
「ま、俺はそんな思惑にのる気はねえからな。事件解決に全力を注ぐぜ」
警部はそう言うと自分の机の引き出しから書類を数枚取り出した。
「さて、まず被害者四人の名前は……」
そんな会話を思い出しつつ、俺達は問題の学校を訪れた。
事件現場となったのは普段使用していない教室。
教室といっていいのか。旧校舎というべきなのか、今は使われていない建物に俺達は案内された。
「随分、離れた場所にあるんですね」
ぼやきたくなった。
普通の生徒ならまず立ち入らないだろう旧校舎で亡くなったとなるとその生徒達が「なにか疚しい事をしていたんじゃないか」と疑ってしまう。それだけ現在使用している校舎とは距離があり過ぎた。
「学校側も旧校舎の方があまり管理していないそうだ」
「……立て壊したりしないんですか?」
「何度か議題に上ったそうだが、その都度反対意見が出て先延ばしされていたらしい。なんせこの国が出来る以前からあった建物だからな。歴史的価値が高いらしい」
「そうですか」
「ま、それも表向きの理由なんだろうさ」
「え?」
「実際の処は壊したくても壊せない、というとこだな」
「どういうことですか?」
「この学校の創立は古い。旧時代の遺物がゴロゴロしているのもそのせいだろう。大昔の大戦の遺物なんてものもある。下手に壊して何か出てきたとしても対処できねぇ、ってのが本音だろうさ。失われた魔方陣なんかが復活したらどうにもならないらしいぜ」
思った以上にヤバイ場所らしい。いや、そんなヤバイ場所に入るなよな……学生。警部の話しでは旧校舎は「放置一択」らしい。
「だからだろうな。国も下手に介入できねぇらしい」
臭い物に蓋をするってヤツだろうか。
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