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第6話政略結婚1
しおりを挟むそれから一ヶ月後、私とジョアンは結婚式を挙げました。
ジョアンは随分ごねたようです。最終的には護衛に引きずられる形で教会にやってきました。父の病気がこれ以上悪化しないために最小限の人数での式だった事が今回は幸いでした。これが通常の結婚式なら大変な事になっていたでしょう。仲の良い親族だけの結婚式。ジョアンの件は伝え済みでした。
婚姻証明書は準備室で先に書きました。
それというのもジョアンが教会から脱走を繰り返しているからです。業を煮やした伯父がジョアンのこめかみに銃口を当てることで漸くサインをさせた位です。「こんな脅しに私は屈しない!例え形式上は夫婦になろうとの私の愛を得る事はない!」と、立場を弁えない暴言を吐いていました。ジョアンは婚姻契約書を確認しなかったのでしょうか? 伯父様の事ですからあえて知らせなかったのかもしれませんね。
『結婚式で少しでもおかしなマネをしてみろ、お前の額に風穴を開けてやる』
ドスの利いた低い声でジョアンを脅す伯父の姿はマフィアのボスそのものでした。
伯父の脅しのお陰で結婚式は無事に終わり、私は父の花嫁衣装を見せる事ができました。
「フアナお嬢様、本当にお綺麗でございます」
「ありがとう、マーサ」
マーサは侍女頭であり、私の乳母でもありました。
私にとって「第二の母」といってもおかしくない存在です。なので結婚式にも参加してもらったのです。本当は親族席にいて欲しかったのですが、マーサが頑なに拒否しました。「男爵家の出でしかない私には勿体ない席です」といって固辞されてしまったのです。礼儀を重んじるマーサらしい対応だと苦笑しました。
無事に結婚式が終わったのでマーサと共に馬車で帰宅の途に就きました。
結婚式の途中に乱入しようとした女性が警備員に捕まったと聞きました。なんでもウエディングドレス姿をした赤毛の女性だったようです。不審者として捕えられた女性の件で夫となったジョアンが慌てふためいていましたが知った事ではありません。
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