【完結】平安時代絵巻物語~皇子の挑戦~

つくも茄子

文字の大きさ
56 / 119
~輝く日の宮の章~

第56話天から与えられた美貌と才覚

しおりを挟む

「それにしても、その歳で『史記』を読めるなんて流石だね」
 
半ば感心、半ば呆れといった様子の兄上。
まぁ漢文は、苦手でも無ければ得意でも無かったし…。それに一部は、高校の時に習ったものだ。
特に、『史記』に関しては、横山先生担任に大感謝。『史記』『三国志』『殷周伝説』が好きな先生でテストにも出たからな……(在りし日の地獄が蘇る)。
部分的にしか読めない文章でも、何となく何の記述であるか推測できる所が多い!
推測しているだけで、正確にあまり読めてはいないけど……。
 
 
「兄上~。これ何て読むの?」
 
「どれどれ?」
 

……

すっごく優しくて、良いお兄さんです。
原作に近い雰囲気の人で、ヨカッタ、ヨカッタ………。
 
それに。


「光は新しい文学を御作りしていると聞き及んでいますよ、この兄にもきかせていただけませんか?」

「/////はい」


僕の拙い日本昔話にもニコニコと付き合ってくれる兄上。
天使だ。
本当にあの父の息子か?
遺伝子の神秘!
いや、きっと弘徽殿の女御様の血筋だ!

「光るには非凡才能があるようだ。兄として鼻が高いよ」

よしよしと頭を撫でてくれる。
兄上に頭を撫でてくれるとなんだか気持ちいい。
これがセラピーか!


その後も兄上からの褒め言葉とよしよしと撫でてくれる手に魅せられ、僕は頑張った。
どこのスパルタ教育だ?と思しき父親が用意した教育係たちの蹴散らし、文武両道の皇子を目指した。


それがいけなかった。

いつの間にか、僕は「天から与えられた才を持つ皇子」として世間に認知されてしまった。





「流石は、主上、御自慢の皇子」

「文武共に抜きんでた才能をお持ちだ」

「御年を重ねるごとに美しさも光り輝くようではないか」

「これほど美しくさい豊かなお方は、この先、お目にかかれまい」

「天から二物どころか何物も与えられていらっしゃる。前世にどれ程の徳を積んだことやら」

「実に惜しいですな。これほどの皇子が東宮でないなどと……」


勃発される皇位問題。
僕の評価が上がるにつれて、何故か、桐壺の更衣の評価が変わってきている事態にも頭が痛い。


「これほどの皇子をお産みになった桐壺の更衣殿を寵愛する帝の気持ちが分かるというもの」

「さよう。悪しき噂が多いが、所詮は後宮の女人たちの妬みに過ぎん。真相など分かったものではないぞ」

「主上の愛妃様だ。素晴らしいお方に違いない」


どうしてそうなる?
まあ、噂してるのは下っ端に公卿だけど、話がややこしくなるから止めてもらいたいよ。
僕と兄上を争わせたいの?
お陰で、母方のばー様から“東宮を目指せ”という内容の手紙がひっきりなしに届いてる。
誰だよ?ばー様の情報を与えたのは!
あの人の手紙は巻物並みに長いんだよ。
読む身にもなれ!
最近じゃあ、あんまりにも鬱陶しいから、読まないで放置してる。
寒くなったら手紙を燃やす予定だ(焼き芋でもしようかな)。
物理的に離れている祖母よりも、媚びを売ってくる公卿の方が問題だ。
おべっか言うだけならまだしも、賄賂まがいの贈り物が最近多い。
大弐の乳母曰く、突き返すことは礼儀に反する。と、いう事なので、仕方なく受け取ってお返しの品を渡しているけど、何とか対策を立てないと不味い。



「これ、光!」

「あ、弘徽殿の女御様、すみません」

「先ほどから上の空でどうしました?」

「あ、煩くいってくる輩が増えまして、対処方法を考えていなところです」

「そうですか……あなたが気にすることはありませんよ」

「はい」

にっこりとほほ笑む弘徽殿の女御は美しい。
いつもは後宮の女主人として、矜持の高く振る舞っていらっしゃるせいか冷たい印象になっちゃてるけど、家族だけの場所(桐壺帝除く)では今のように柔らかく微笑んでいる事が多い。
ギャップ萌え、とはこの事だよ!

誇りたくて、とびぃっっっきり気が強い性格だけど、愛情深いというか、母性が強い女性なんだ。
パパ上は弘徽殿の女御の何処が気に入らないのかな?
こんなに魅力的なのに(いらないなら僕にくれ)。
権勢高い女性が自分だけに見せる可愛らしい一面は何物にも勝る魅力だよ。
どうも父親とは女性の趣味が合わない。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

異世界に召喚されたけど、聖女じゃないから用はない? それじゃあ、好き勝手させてもらいます!

明衣令央
ファンタジー
 糸井織絵は、ある日、オブルリヒト王国が行った聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界ルリアルークへと飛ばされてしまう。  一緒に召喚された、若く美しい女が聖女――織絵は召喚の儀に巻き込まれた年増の豚女として不遇な扱いを受けたが、元スマホケースのハリネズミのぬいぐるみであるサーチートと共に、オブルリヒト王女ユリアナに保護され、聖女の力を開花させる。  だが、オブルリヒト王国の王子ジュニアスは、追い出した織絵にも聖女の可能性があるとして、織絵を連れ戻しに来た。  そして、異世界転移状態から正式に異世界転生した織絵は、若く美しい姿へと生まれ変わる。  この物語は、聖女召喚の儀に巻き込まれ、異世界転移後、新たに転生した一人の元おばさんの聖女が、相棒の元スマホケースのハリネズミと楽しく無双していく、恋と冒険の物語。 2022.9.7 話が少し進みましたので、内容紹介を変更しました。その都度変更していきます。

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

城で侍女をしているマリアンネと申します。お給金の良いお仕事ありませんか?

甘寧
ファンタジー
「武闘家貴族」「脳筋貴族」と呼ばれていた元子爵令嬢のマリアンネ。 友人に騙され多額の借金を作った脳筋父のせいで、屋敷、領土を差し押さえられ事実上の没落となり、その借金を返済する為、城で侍女の仕事をしつつ得意な武力を活かし副業で「便利屋」を掛け持ちしながら借金返済の為、奮闘する毎日。 マリアンネに執着するオネエ王子やマリアンネを取り巻く人達と様々な試練を越えていく。借金返済の為に…… そんなある日、便利屋の上司ゴリさんからの指令で幽霊屋敷を調査する事になり…… 武闘家令嬢と呼ばれいたマリアンネの、借金返済までを綴った物語

私の生前がだいぶ不幸でカミサマにそれを話したら、何故かそれが役に立ったらしい

あとさん♪
ファンタジー
その瞬間を、何故かよく覚えている。 誰かに押されて、誰?と思って振り向いた。私の背を押したのはクラスメイトだった。私の背を押したままの、手を突き出した恰好で嘲笑っていた。 それが私の最後の記憶。 ※わかっている、これはご都合主義! ※設定はゆるんゆるん ※実在しない ※全五話

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

逆行転生って胎児から!?

章槻雅希
ファンタジー
冤罪によって処刑されたログス公爵令嬢シャンセ。母の命と引き換えに生まれた彼女は冷遇され、その膨大な魔力を国のために有効に利用する目的で王太子の婚約者として王家に縛られていた。家族に冷遇され王家に酷使された彼女は言われるままに動くマリオネットと化していた。 そんな彼女を疎んだ王太子による冤罪で彼女は処刑されたのだが、気づけば時を遡っていた。 そう、胎児にまで。 別の連載ものを書いてる最中にふと思いついて書いた1時間クオリティ。 長編予定にしていたけど、プロローグ的な部分を書いているつもりで、これだけでも短編として成り立つかなと、一先ずショートショートで投稿。長編化するなら、後半の国王・王妃とのあれこれは無くなる予定。

リリゼットの学園生活 〜 聖魔法?我が家では誰でも使えますよ?

あくの
ファンタジー
 15になって領地の修道院から王立ディアーヌ学園、通称『学園』に通うことになったリリゼット。 加護細工の家系のドルバック伯爵家の娘として他家の令嬢達と交流開始するも世間知らずのリリゼットは令嬢との会話についていけない。 また姉と婚約者の破天荒な行動からリリゼットも同じなのかと学園の男子生徒が近寄ってくる。 長女気質のダンテス公爵家の長女リーゼはそんなリリゼットの危うさを危惧しており…。 リリゼットは楽しい学園生活を全うできるのか?!

【完結】物置小屋の魔法使いの娘~父の再婚相手と義妹に家を追い出され、婚約者には捨てられた。でも、私は……

buchi
恋愛
大公爵家の父が再婚して新しくやって来たのは、義母と義妹。当たり前のようにダーナの部屋を取り上げ、義妹のマチルダのものに。そして社交界への出入りを禁止し、館の隣の物置小屋に移動するよう命じた。ダーナは亡くなった母の血を受け継いで魔法が使えた。これまでは使う必要がなかった。だけど、汚い小屋に閉じ込められた時は、使用人がいるので自粛していた魔法力を存分に使った。魔法力のことは、母と母と同じ国から嫁いできた王妃様だけが知る秘密だった。 みすぼらしい物置小屋はパラダイスに。だけど、ある晩、王太子殿下のフィルがダーナを心配になってやって来て……

処理中です...