【完結】平安時代絵巻物語~皇子の挑戦~

つくも茄子

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~輝く日の宮の章~

第66話閑話 惟光の苦悩side

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私の名は藤原惟光ふじわらのこれみつという。

お仕えしている若君は、今を時めく皇子。
桐壺帝の御鍾愛の二の宮様、その人だ。
母君である桐壺の更衣様の身分が低いために仕方なく東宮位を諦めた皇子。
桐壺の更衣様に生き写しの美貌は、光り輝くほどの美しさであることから『光の君』とも呼ばれていらっしゃる。美しさと聡明さを併せ持つ若君は、幼い頃から天賦の才を発揮し「いずれは東宮になるのではないか」と噂されていた。
だが、後見人らしい後見人をお持ちではないため、桐壺帝が泣く泣く最愛の息子の帝位をお諦めになったのである。その嘆きは若君の祖母君故大納言の正妻も同様で、一時は気の病で寝込まれたと聞く。そんな美と才に恵まれながらも身分が低い母君を持ってしまったが故に“悲劇の皇子”として巷では噂されている。

間違ってはいない。

その通りだ。

ただし若君にそんな悲壮さはない。


ああ、初めてお会いしたのは私が十一歳、若君が八歳の時であった。
元々、私の母が若君の乳母をしており、私と若君は乳兄弟にあたる。その関係から幼くして若君のお世話を何くれとなくしていたのだが……若君は少々……いや、かなり変わっていらっしゃる。

内裏から出てこない桐壺帝を拳で血祭りにあげたり、いつの間にか敵対する弘徽殿の女御様と親しく交流しているし、果ては、右大臣とも仲が良いときてる。
若君、弘徽殿の女御様も右大臣も敵勢力です!!!
ご存知でしょう?
桐壺の更衣様が弘徽殿の女御様にをされたのか!
病に陥るまでの酷い虐めにあったんですよ? 
正気ですか?

はい!?
当然のこと、と???
何を言うんですか!
え?「正妻候補」が、ぽっと出の小娘に押しのけたらそうなっても仕方ない?
いえ、でも……それとこれとは。「糟糠の妻」を捨てて、若い女を選んだら周りの評価が最悪なのは当たり前と?酷い虐めは、弘徽殿の女御様ではなく後宮全ての女人を敵にまわした結果だと仰るのですか?

若君は実の母君に対して厳し過ぎます!

自業自得の結果だと仰るのですか!?

もしや、そのせいで祖母君への文の返事も代筆を立てていらっしゃるのですか???

祖母君も「弱さを武器にした強かな女人」ですか……。
若君は、一体、どのような女人がお好みなのですか?
まさか!弘徽殿の女御様のような気性の激しい女人ですか!?
お願いですから、普通の女人にしてください!好みが酷すぎます!!!


この後、弘徽殿の女御様の御妹君である四の君様に、幼い身でありながら求婚する未来が待っているのだが、この時の私は想像すらしなかった。なにしろ、四の君様は美しい姫君として評判であったものの、同時に弘徽殿の女御に勝るとも劣らない気性の持ち主という噂もあったからだ。その前に左大臣家の嫡男と婚姻している人妻であった。

世にいう『理想の女人』そのものの御母上をお持ちになった弊害なのでしょうか?
どうも、若君の女人の好みは常人には理解しがたいものがあります。
若君は我が主。
その妻となる方が、美しくお優しい方である事を願ってやみません。

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