28 / 85
20年後
27.公爵視点2
国王となった兄と二人三脚で血反吐を吐く思いで基盤を整えた。そうして気付いたら十年が経過していた。二年前に待望の世継ぎを儲けた兄。国内は安定していた。そうすると、どうだろう。周囲の者達が「嫁を貰え」と煩い。どうやらいつまでも独り身の私に男色家の噂が出ているようだ。
冗談じゃない!
私は異性愛者だ!!
平和になったらなったで別の厄介事が起きるらしい。
バカげた噂を払拭させるために嫁探しが急務になった。
公爵夫人になれる女性。
そして兄家族の障害にならない家柄。
国内では少々難しかった。
「ロベール王国の貴族はどうだ?」
「ロベール王国ですか?」
「ああ、最近、かの国の貴族が他国との繋がりを欲しているそうだ」
「王太子が廃嫡されたと聞きましたが……」
「それもあるのだろうな。王太子は空席のままらしい」
「それはまた」
兄の話を聞いて、ロベール王国の貴族でもいいかもしれないと思った。
国外の繋がりを求めているのなら、こちらに都合の良い条件を飲ませる事も出来る。外国籍の女性なら兄夫婦とその子供たちに丁寧に接するだろう。悪くないと判断した。
それから半年後、結婚式を目前とした私の前にミリアリアが現れた。
彼女は一ヶ月前に未亡人となっていた。
私がこの男ならばと見込んだ彼は、もうこの世にはいない。
枷が外れた。
あの時、彼女の手を取るべきでは無かった。
それでも……。
私の耳元で悪魔が囁いた。
“花嫁は他国の女性。この国では何の力もない伯爵令嬢だ。立場はこちらが上だ”
今思い返しても、傲慢な考えだ。
何も知らずに嫁いで来た異国の花嫁。
結婚式が終わると同時に幽閉した。
そして、十八年後、今度は私が幽閉されている。
神殿からの破門宣告は混乱を呼んだ。
国内だけでなく国外からも厳しい批判にさらされた。
そんな中で起きたのだ、王太子の婚約解消。
大国側が断ってきた。
他国の花嫁を無慈悲に扱う国に王女を嫁がす事はできない――――
レオーナを引き合いに出された。
あの大国は元々レオーナのファンだったな。
報復のつもりだろうか?
そう思った。
個人的な感情で婚約を解消するなど以ての外だ。文句を言わなければと息巻いていた私に王太子は冷ややかだった。
「バカですか。これは普通の反応です。他国の貴族令嬢が無碍に扱われて死因が謎に包まれているんですよ?花嫁側からしたらこの国に嫁ぐ事態が罰ゲームのようなものだ」
「そんなことは!」
「あるんです。残念ながら。公爵が知らなかっただけです。いや、この場合見なかったと言った方がいいのかもしれませんね」
「どういうことだ?」
「王女との婚約は二年前に決まりましたが、それ以前は酷い物だったでしょう」
「ひどい?」
何のことだ?
酷いとは?
「あぁ、もう結構。公爵が王家に全く興味がないのは理解できました。十代後半になっても婚約者一人いない王太子なんて大陸中探しても私だけでしょう」
王太子の言葉に絶句した。
婚約者がいなかった?
兄上からは「決めかねているんだ。候補はいるんだがな」と――
あれは嘘だったのか?
あなたにおすすめの小説
【完結】「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と言っていた婚約者と婚約破棄したいだけだったのに、なぜか契約聖女になってしまいました
As-me.com
恋愛
完結しました。
番外編(編集済み)と、外伝(新作)アップしました。
とある日、偶然にも婚約者が「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」とお友達に楽しそうに宣言するのを聞いてしまいました。
例え2番目でもちゃんと愛しているから結婚にはなんの問題も無いとおっしゃっていますが……そんな婚約者様がとんでもない問題児だと発覚します。
なんてことでしょう。愛も無い、信頼も無い、領地にメリットも無い。そんな無い無い尽くしの婚約者様と結婚しても幸せになれる気がしません。
ねぇ、婚約者様。私はあなたと結婚なんてしたくありませんわ。絶対婚約破棄しますから!
あなたはあなたで、1番好きな人と結婚してくださいな。
※この作品は『「俺は2番目に好きな女と結婚するんだ」と婚約者が言っていたので、1番好きな女性と結婚させてあげることにしました。 』を書き直しています。内容はほぼ一緒ですが、細かい設定や登場人物の性格などを書き直す予定です。
踏み台(王女)にも事情はある
mios
恋愛
戒律の厳しい修道院に王女が送られた。
聖女ビアンカに魔物をけしかけた罪で投獄され、処刑を免れた結果のことだ。
王女が居なくなって平和になった筈、なのだがそれから何故か原因不明の不調が蔓延し始めて……原因究明の為、王女の元婚約者が調査に乗り出した。
私も処刑されたことですし、どうか皆さま地獄へ落ちてくださいね。
火野村志紀
恋愛
あなた方が訪れるその時をお待ちしております。
王宮医官長のエステルは、流行り病の特効薬を第四王子に服用させた。すると王子は高熱で苦しみ出し、エステルを含めた王宮医官たちは罪人として投獄されてしまう。
そしてエステルの婚約者であり大臣の息子のブノワは、エステルを口汚く罵り婚約破棄をすると、王女ナデージュとの婚約を果たす。ブノワにとって、優秀すぎるエステルは以前から邪魔な存在だったのだ。
エステルは貴族や平民からも悪女、魔女と罵られながら処刑された。
それがこの国の終わりの始まりだった。
聖女を追い出しても平気だと思っていた国の末路
藤原遊
ファンタジー
聖女が国を去った日、神官長は分かっていた。
この国は、彼女を軽く扱いすぎたのだと。
「聖女がいなくても平気だ」
そう言い切った王子と人々は、
彼女が“何もしていない”まま国が崩れていく現実を、
やがて思い知ることになる。
――これは、聖女を追い出した国の末路を、
静かに見届けた者の記録。
私と幼馴染と十年間の婚約者
川村 あかり
恋愛
公爵令嬢ロゼリアは、王子アルベルトとの婚約を結んでいるが、彼の心は無自覚に幼馴染のミナに奪われていた。ミナの魔法【魅了】が無意識に周りの男性を狂わせ、アルベルトもその例外ではない。
それぞれが生まれつき得意な魔法があり、ロゼリアは見たものや聞いたものを完璧に記録できる【記録・再生】の魔法を持ち、二人の関係に耐えきれず胃の痛みに悩む日々。そんな中、彼女の唯一の理解者の冷静沈着なキースや毒舌のマリーが心の支えとなる。
アルベルトの側近であるガストンは、魔法【増幅】で騒動を盛り上げる一方、ミナの友人リリィは【幻影】の魔法を使ってロゼリアを貶めようと画策する。
婚約者と幼馴染の行動に振り回されるロゼリア。魔法が絡んだ恋愛模様の中で、彼女は本当の愛を見つけられるのか?
私は善意に殺された・完結
まほりろ
恋愛
筆頭公爵家の娘である私が、母親は身分が低い王太子殿下の後ろ盾になるため、彼の婚約者になるのは自然な流れだった。
誰もが私が王太子妃になると信じて疑わなかった。
私も殿下と婚約してから一度も、彼との結婚を疑ったことはない。
だが殿下が病に倒れ、その治療のため異世界から聖女が召喚され二人が愛し合ったことで……全ての運命が狂い出す。
どなたにも悪意はなかった……私が不運な星の下に生まれた……ただそれだけ。
※無断転載を禁止します。
※朗読動画の無断配信も禁止します。
※他サイトにも投稿中。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
※小説家になろうにて2022年11月19日昼、日間異世界恋愛ランキング38位、総合59位まで上がった作品です!