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第一章
13.妃の死3
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「彼女達は皇帝陛下に忠誠を誓っている。移り変わりの激しい妃連中には見向きもしないから情報は入ってこない。例外は『皇后』くらいだが……その肝心の皇后がずっと不在だからな」
確かに。
今の皇帝には皇后が居ない。
若くして皇帝になった陛下は何故か正室である皇后を置くことは無かった。しかも、皇太子の位まで空席のまま。そのせいで後宮の女達の争いが激化しているとまで言われている。
「難儀なものね……」
「そういう場所だから仕方がない」
「そうなると困ったわね」
「こればっかりはどうにもならねぇからな」
「……ところで青。一つ聞いてもいい?」
「なんだ?」
「あなた、私と違って忙しいはずでしょう? こんな処で油売っていて大丈夫なの?」
「……お前、意外に毒舌だよな」
「そう?」
どこが毒舌なのかしら?
気になった事を聞いただけなんだけど?
「別に構わないぜ。…………今は暇だし」
「今の間は何よ? もしかして私が知らないだけで仕事あるんじゃないでしょうね」
「……ないこともないが、急ぎの仕事はないぜ」
「本当かしら?」
「本当、本当。代理もちゃんと置いてきたから心配すんな」
代理って……。
余計に不安なんだけど。
「今のところ、後宮だけの被害ですんでいるからな。それも中級以下の女官と妃だ。侍衞を動かす理由にはならないんだよなぁ」
「後宮に兵を配置する訳にいかないものね」
「まあな」
「女官の検死はしたんでしょう?」
「一応な」
「なら毒はなんだったの?そこから犯人にたどり着けないの?」
「その毒が問題なんだ」
「どういうこと?」
「毒で死んだことは間違いない。だが、何の毒を使用したのかが分かってないんだ」
「毒を飲まされた訳ではないのよね」
「ああ……そんな単純な話じゃない。だから余計に難航してんだよ」
頭を掻く青はどこか苦虫を潰しているようでもあった。
私には何も言わないけどもしかして立場がヤバくなっているんじゃないかしら?
飲まずに毒殺。
そんな事が本当に可能なのかしら?
青の様子からして亡くなった女官の検死はとことん追求している筈だわ。飲み物だけじゃない。食事、使用品、衣類、全部調べ尽くしたに違いない。それでも毒らしきものを検出できなかったということなのだ。それは青にとっては屈辱的な出来事でもあるだろうし、悔しいはずだ。でもそれが分からない程、私は愚か者ではないつもりよ。だとしたら……他に考えられる可能性とは一体何かしら?
確かに。
今の皇帝には皇后が居ない。
若くして皇帝になった陛下は何故か正室である皇后を置くことは無かった。しかも、皇太子の位まで空席のまま。そのせいで後宮の女達の争いが激化しているとまで言われている。
「難儀なものね……」
「そういう場所だから仕方がない」
「そうなると困ったわね」
「こればっかりはどうにもならねぇからな」
「……ところで青。一つ聞いてもいい?」
「なんだ?」
「あなた、私と違って忙しいはずでしょう? こんな処で油売っていて大丈夫なの?」
「……お前、意外に毒舌だよな」
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どこが毒舌なのかしら?
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「別に構わないぜ。…………今は暇だし」
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「まあな」
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「一応な」
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「毒を飲まされた訳ではないのよね」
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