後宮の右筆妃

つくも茄子

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第二章

69.包青side

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「今日はここまでに致しましょう」

 高力の言葉に返事をかえせねぇ……。他の部下達も目が死んでやがる。なんで、こいつだけ平然とできるんだ? いや、高力だけじゃねぇ!後宮の女官達も淡々と自分の仕事をこなして帰っちまった。

「明日は倍になって来るでしょうから、気合をいれてやりましょう」

 まだ、贈り物というナニカが来るのかよ……。
 結局、淑妃への贈り物の中で害がないのは杏樹と貴妃くらいなもんだぜ。

「なぁ、高力」

「なんでしょう」

「明日から医官の数増やさねぇか?今日だけで皆へとへとだぜ」

「それは無理です」

「なんで!?」

「何故と謂われましても、本来、これは我々内侍省が関与する仕事ではありません。当然、医官たちにとっても本来は関わりのない事です。それは皇帝陛下のご指示であるからこそ手を貸してくれているに過ぎません。それなのに、さらに人を増やしてほしいなどと要求するのは逆に危険です」

「危険……?」

「はい。こういった行為は各妃付きの侍女や宦官が行うのが通常です。それを皇帝陛下の指示とはいえ外部の者が行っているんです。それだけでも淑妃が皇帝陛下にとって特別な存在であることを意味しています。他の妃たちにも面白くはなりません」

「おいおい、外部って……後宮の管轄は内侍省なんだぜ。思いっきり関係者だろ!」
 
「それでもですよ。後宮にいる者達には関係ありません。役人というだけで部外者と捉える者は後宮には大勢おります。ましてやその理由が一妃が無事に御子を儲ける為の処置とあっては余計な反感を買う恐れもあります。だからこそ極秘で行っているのではありませんか。表向きは医局として行うべき仕事を後宮内で行う事にしたのです。下手に人員を増やしてしまうと秘密を守ることが難しくなりかねません」

「そ、そうかもしれねぇけど……」

 確かに高力が言うことも理解できる。
 だが納得はできないんだよ!あの大量の贈り物を全部捌くまで俺達はこの地獄から抜け出せないんだぞ!しかも明日からは倍の量になるっていうじゃねぇか!!
 
「大丈夫ですよ。今は『まだ』、です」
 
「えっ?どういう意味だよ」
 
「そのままの意味ですよ。、です」
 
 含みのある言い方をしてんじゃねぇよ!
 
「このまま何も起こらなければ良いのですがね」

 その言葉を最後にオレは部屋を追い出された。
 …………なんだよ?
 これから何が起こるっていうんだ!!!

 

 
 翌日から本当に物凄い量の贈り物が届いた。

 扇子から始まり茶器や陶器など日用品に始まり宝石類、香水、化粧品等々。

 後宮の女達は競うように毎回違うモノばかり贈って来る。それと同じように毒物や呪詛を仕込んで来やがる。普通に祝うという概念がないのか!?
 妃たちの過剰な嫌がらせの品々に部下達の顔色も悪くなっていく。特に医官の奴らは連日、徹夜続きらしく日に日に顔色が悪くなる一方で目の下に隈を作っていく者が増えていく。
 
 そんな時だった。

 淑妃の宮で火災が起きたとの報告を受けたのは……。


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