70 / 82
第二章
69.包青side
しおりを挟む
「今日はここまでに致しましょう」
高力の言葉に返事をかえせねぇ……。他の部下達も目が死んでやがる。なんで、こいつだけ平然とできるんだ? いや、高力だけじゃねぇ!後宮の女官達も淡々と自分の仕事をこなして帰っちまった。
「明日は倍になって来るでしょうから、気合をいれてやりましょう」
まだ、贈り物というナニカが来るのかよ……。
結局、淑妃への贈り物の中で害がないのは杏樹と貴妃くらいなもんだぜ。
「なぁ、高力」
「なんでしょう」
「明日から医官の数増やさねぇか?今日だけで皆へとへとだぜ」
「それは無理です」
「なんで!?」
「何故と謂われましても、本来、これは我々が関与する仕事ではありません。当然、医官たちにとっても本来は関わりのない事です。それは皇帝陛下のご指示であるからこそ手を貸してくれているに過ぎません。それなのに、さらに人を増やしてほしいなどと要求するのは逆に危険です」
「危険……?」
「はい。こういった行為は各妃付きの侍女や宦官が行うのが通常です。それを皇帝陛下の指示とはいえ外部の者が行っているんです。それだけでも淑妃が皇帝陛下にとって特別な存在であることを意味しています。他の妃たちにも面白くはなりません」
「おいおい、外部って……後宮の管轄は内侍省なんだぜ。思いっきり関係者だろ!」
「それでもですよ。後宮にいる者達には関係ありません。役人というだけで部外者と捉える者は後宮には大勢おります。ましてやその理由が一妃が無事に御子を儲ける為の処置とあっては余計な反感を買う恐れもあります。だからこそ極秘で行っているのではありませんか。表向きは医局として行うべき仕事を後宮内で行う事にしたのです。下手に人員を増やしてしまうと秘密を守ることが難しくなりかねません」
「そ、そうかもしれねぇけど……」
確かに高力が言うことも理解できる。
だが納得はできないんだよ!あの大量の贈り物を全部捌くまで俺達はこの地獄から抜け出せないんだぞ!しかも明日からは倍の量になるっていうじゃねぇか!!
「大丈夫ですよ。今は『まだ』、です」
「えっ?どういう意味だよ」
「そのままの意味ですよ。今は、です」
含みのある言い方をしてんじゃねぇよ!
「このまま何も起こらなければ良いのですがね」
その言葉を最後にオレは部屋を追い出された。
…………なんだよ?
これから何が起こるっていうんだ!!!
翌日から本当に物凄い量の贈り物が届いた。
扇子から始まり茶器や陶器など日用品に始まり宝石類、香水、化粧品等々。
後宮の女達は競うように毎回違うモノばかり贈って来る。それと同じように毒物や呪詛を仕込んで来やがる。普通に祝うという概念がないのか!?
妃たちの過剰な嫌がらせの品々に部下達の顔色も悪くなっていく。特に医官の奴らは連日、徹夜続きらしく日に日に顔色が悪くなる一方で目の下に隈を作っていく者が増えていく。
そんな時だった。
淑妃の宮で火災が起きたとの報告を受けたのは……。
高力の言葉に返事をかえせねぇ……。他の部下達も目が死んでやがる。なんで、こいつだけ平然とできるんだ? いや、高力だけじゃねぇ!後宮の女官達も淡々と自分の仕事をこなして帰っちまった。
「明日は倍になって来るでしょうから、気合をいれてやりましょう」
まだ、贈り物というナニカが来るのかよ……。
結局、淑妃への贈り物の中で害がないのは杏樹と貴妃くらいなもんだぜ。
「なぁ、高力」
「なんでしょう」
「明日から医官の数増やさねぇか?今日だけで皆へとへとだぜ」
「それは無理です」
「なんで!?」
「何故と謂われましても、本来、これは我々が関与する仕事ではありません。当然、医官たちにとっても本来は関わりのない事です。それは皇帝陛下のご指示であるからこそ手を貸してくれているに過ぎません。それなのに、さらに人を増やしてほしいなどと要求するのは逆に危険です」
「危険……?」
「はい。こういった行為は各妃付きの侍女や宦官が行うのが通常です。それを皇帝陛下の指示とはいえ外部の者が行っているんです。それだけでも淑妃が皇帝陛下にとって特別な存在であることを意味しています。他の妃たちにも面白くはなりません」
「おいおい、外部って……後宮の管轄は内侍省なんだぜ。思いっきり関係者だろ!」
「それでもですよ。後宮にいる者達には関係ありません。役人というだけで部外者と捉える者は後宮には大勢おります。ましてやその理由が一妃が無事に御子を儲ける為の処置とあっては余計な反感を買う恐れもあります。だからこそ極秘で行っているのではありませんか。表向きは医局として行うべき仕事を後宮内で行う事にしたのです。下手に人員を増やしてしまうと秘密を守ることが難しくなりかねません」
「そ、そうかもしれねぇけど……」
確かに高力が言うことも理解できる。
だが納得はできないんだよ!あの大量の贈り物を全部捌くまで俺達はこの地獄から抜け出せないんだぞ!しかも明日からは倍の量になるっていうじゃねぇか!!
「大丈夫ですよ。今は『まだ』、です」
「えっ?どういう意味だよ」
「そのままの意味ですよ。今は、です」
含みのある言い方をしてんじゃねぇよ!
「このまま何も起こらなければ良いのですがね」
その言葉を最後にオレは部屋を追い出された。
…………なんだよ?
これから何が起こるっていうんだ!!!
翌日から本当に物凄い量の贈り物が届いた。
扇子から始まり茶器や陶器など日用品に始まり宝石類、香水、化粧品等々。
後宮の女達は競うように毎回違うモノばかり贈って来る。それと同じように毒物や呪詛を仕込んで来やがる。普通に祝うという概念がないのか!?
妃たちの過剰な嫌がらせの品々に部下達の顔色も悪くなっていく。特に医官の奴らは連日、徹夜続きらしく日に日に顔色が悪くなる一方で目の下に隈を作っていく者が増えていく。
そんな時だった。
淑妃の宮で火災が起きたとの報告を受けたのは……。
1
あなたにおすすめの小説
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
【完結】留学先から戻って来た婚約者に存在を忘れられていました
山葵
恋愛
国王陛下の命により帝国に留学していた王太子に付いて行っていた婚約者のレイモンド様が帰国された。
王家主催で王太子達の帰国パーティーが執り行われる事が決まる。
レイモンド様の婚約者の私も勿論、従兄にエスコートされ出席させて頂きますわ。
3年ぶりに見るレイモンド様は、幼さもすっかり消え、美丈夫になっておりました。
将来の宰相の座も約束されており、婚約者の私も鼻高々ですわ!
「レイモンド様、お帰りなさいませ。留学中は、1度もお戻りにならず、便りも来ずで心配しておりましたのよ。元気そうで何よりで御座います」
ん?誰だっけ?みたいな顔をレイモンド様がされている?
婚約し顔を合わせでしか会っていませんけれど、まさか私を忘れているとかでは無いですよね!?
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
裏切りの代償
中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。
尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。
取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。
自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
夫が運命の番と出会いました
重田いの
恋愛
幼馴染のいいなづけとして育ってきた銀狼族の族長エーリヒと、妻ローゼマリー。
だがエーリヒに運命の番が現れたことにより、二人は離別する。
しかし二年後、修道院に暮らすローゼマリーの元へエーリヒが現れ――!?
私のドレスを奪った異母妹に、もう大事なものは奪わせない
文野多咲
恋愛
優月(ゆづき)が自宅屋敷に帰ると、異母妹が優月のウェディングドレスを試着していた。その日縫い上がったばかりで、優月もまだ袖を通していなかった。
使用人たちが「まるで、異母妹のためにあつらえたドレスのよう」と褒め称えており、優月の婚約者まで「異母妹の方が似合う」と褒めている。
優月が異母妹に「どうして勝手に着たの?」と訊けば「ちょっと着てみただけよ」と言う。
婚約者は「異母妹なんだから、ちょっとくらいいじゃないか」と言う。
「ちょっとじゃないわ。私はドレスを盗られたも同じよ!」と言えば、父の後妻は「悪気があったわけじゃないのに、心が狭い」と優月の頬をぶった。
優月は父親に婚約解消を願い出た。婚約者は父親が決めた相手で、優月にはもう彼を信頼できない。
父親に事情を説明すると、「大げさだなあ」と取り合わず、「優月は異母妹に嫉妬しているだけだ、婚約者には異母妹を褒めないように言っておく」と言われる。
嫉妬じゃないのに、どうしてわかってくれないの?
優月は父親をも信頼できなくなる。
婚約者は優月を手に入れるために、優月を襲おうとした。絶体絶命の優月の前に現れたのは、叔父だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる