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『夕方には帰れる』
翌日送られてきた翔からのメールに、彩華は『話がある』と返信した。
しばらくしてから、『わかった』と返信があった。恐らくそれで、翔は察したはずだ。
心づもりのない翔に、帰宅後、突然問い詰めるような真似はしたくなかった。翔へのメールは、傷付いた彩華のせめてもの気遣いだった。
帰宅した翔は、力のない声で「ただいま」と言うとソファーに腰を下ろし、彩華に目を向けた。
心を決めていたはずなのに、いざ翔を目の前にすると気持ちが揺らいだ。お互いが言葉を待っているようだった。
「翔ちゃん」
彩華が口火を切った。話があると言ったのは自分なのだ。
「ん?」
声にならない声が耳に届く。
「翔ちゃん、子供いるよね?」
彩華は率直に尋ねた。いや、確かめた。
翔は言い訳も誤魔化しもせず、ただひと言「悪かった」とだけ口にした。
謝罪されたからといって事実が変わるわけではないが、それでも、翔が「許してくれ」と泣いて縋りでもすれば、許していたかもしれない。しかし、プライドの高い翔がそんなことを言うはずもなく……
「彩華はどうしたい?」
翔からそんな言葉をかけられたのは、初めてだったかもしれない。今までは翔が決めたことに、イエスかノーで答えるばかりだったからだ。
少し考えてから彩華は答えた。
「子供の為には、父親と母親は一緒にいてあげないといけないと思うの」
「それは、俺と別れるってことか?」
彩華は黙ったまま頷いた。
翌日、翔は家を出た。
しばらくは会社で寝泊まりするとのことだった。
荷物を纏めている翔の背中を眺めていると、遣る瀬無い気持ちになった。急いで出ていくことはない、と伝えようか迷っている間に、「今までありがとう」と言い残して翔は去った。
翌日送られてきた翔からのメールに、彩華は『話がある』と返信した。
しばらくしてから、『わかった』と返信があった。恐らくそれで、翔は察したはずだ。
心づもりのない翔に、帰宅後、突然問い詰めるような真似はしたくなかった。翔へのメールは、傷付いた彩華のせめてもの気遣いだった。
帰宅した翔は、力のない声で「ただいま」と言うとソファーに腰を下ろし、彩華に目を向けた。
心を決めていたはずなのに、いざ翔を目の前にすると気持ちが揺らいだ。お互いが言葉を待っているようだった。
「翔ちゃん」
彩華が口火を切った。話があると言ったのは自分なのだ。
「ん?」
声にならない声が耳に届く。
「翔ちゃん、子供いるよね?」
彩華は率直に尋ねた。いや、確かめた。
翔は言い訳も誤魔化しもせず、ただひと言「悪かった」とだけ口にした。
謝罪されたからといって事実が変わるわけではないが、それでも、翔が「許してくれ」と泣いて縋りでもすれば、許していたかもしれない。しかし、プライドの高い翔がそんなことを言うはずもなく……
「彩華はどうしたい?」
翔からそんな言葉をかけられたのは、初めてだったかもしれない。今までは翔が決めたことに、イエスかノーで答えるばかりだったからだ。
少し考えてから彩華は答えた。
「子供の為には、父親と母親は一緒にいてあげないといけないと思うの」
「それは、俺と別れるってことか?」
彩華は黙ったまま頷いた。
翌日、翔は家を出た。
しばらくは会社で寝泊まりするとのことだった。
荷物を纏めている翔の背中を眺めていると、遣る瀬無い気持ちになった。急いで出ていくことはない、と伝えようか迷っている間に、「今までありがとう」と言い残して翔は去った。
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