月明かり

凛子

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 月明かりかと思えば、工事現場の仮説用投光器だった。
 男性警備員が誘導灯を振って案内しているのが見える。

「こちらからどうぞー」

 聞き覚えのある声に、美和子は思わず警備員の顔を覗き込んだ。

「時生さん?」
「――美和子ちゃん!」
「時生さん、どうしてこんなところに?」

 一瞬の沈黙の後、時生がごくりと生唾を飲むのがわかった。

「見ればわかるよね?」
「ああ、はい。知り合いか誰かのお手伝いですか?」
「いや、違うよ」

 時生は苦笑いを浮かべている。

「仕事だよ」
「あ、もしかして事情聴取とかですか?」
「え? 事情聴取は警察官とか検察官がやることだよ」
「あ、そっか。じゃあ……」
「いやいや、警備服姿の弁護士なんていないだろ」
「……そうですよね」
「あ、ごめん。仕事中だから、また連絡するよ」

 そう言われてしまえば話を切り上げるしかなく、美和子は小さく頷きその場を離れた。

 弁護士といっても、収入は様々だろう。社会人が働きながら司法試験に合格するというのは聞いたことがあるが、別の仕事を掛け持ちする弁護士もいるのだろうか。
 時生の気まずそうな表情から、知られたくなかったのだろうということだけは窺えた。
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