向日葵のような輝く君に

和賀ミヲナ

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1話

1-5 好きな花

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翌朝、昨日と同じ時間に登校した俺は真っ先に校庭脇にある花壇へと走った。

見覚えのあるおさげ髪の後ろ姿。

「原田!おはよう。」

振り向いた原田が微笑んだ。

「おはよう。篠原くん。」

「これ!昨日言ってた急激冷奴のDVD。姉貴の部屋からかすめてきた」

さっと原田にDVDを手渡す。

「え!?黙って持ってきたの?じゃあ借りれないよ、悪いもの。」

申し訳なさそうにそう言う。

真面目だよなあ…やっぱり。

「大丈夫、大丈夫♪他にもたくさんあるし、それに最近姉貴に初めての彼氏が出来て、もう毎日夢中らしいからさ~」

そう言うと彼女は少しホッとした表情になった。「へ~そうなんだ。ありがとう。じゃあすぐに見て返すね。」

「いいよ~気にしないで。夏休み終わってからでも。本当にいつでもいいから。」

「…うん。ありがとう。」


水道にホースをつなげ水を花壇に水をやり始めた。

真夏の暑さでからからに渇いた土にどんどん水が浸みて込んでいく。

花たちも、心なしか元気になって頭を少し持ち上げた気がする。

でも俺は相変わらず花に全く興味ないし、花の名前もろくに知らないままだ。

ふと原田に目を向けた。


昨日はどこかつんとした表情だったけど、今日は穏やかな表情で、咲き誇る花たちを撫でたり、愛おしむように見つめてる。

そういう表情を見てるとやっぱり女の子だな…と思う。


「原田ってさ、花が好きみたいだけど…なんの花が一番好きなの?」

「…私?そうね、どんな花も綺麗で好きだけど…一番好きなのはやっぱりひまわりかな」

「ひまわり…?」

花好きのわりには意外とありきたりな花の名前を言うんだな。

「そう。夏の強い陽射しにも負けずに、
上を向いて大きな黄色い花を咲かせてるでしょ?すごい生命力だと思わない?」

「うん。まあ確かに。」


黄色い花びらを目一杯広げて太陽に向けて成長していくひまわり。

その姿は…

「まるで…篠原くんみたいだね。」

「え?俺?どうして?」ぽつりと言われた言葉が意外で思わず聞き返す。

「篠原くん、いつも元気だしニコニコ笑ってて、坂下先生とか本当に誰とでも仲良くて…明るくて羨ましいなって思ってたの。」

少しはにかんだような表情で原田は俺を見た。

ガラにもなく俺は顔がかあっと熱くなって、思わず焦って目をそらしてしまった。

「いやそんな…俺はべつに…調子いいだけだしさ。」

「そんなことないよ。篠原くんといると楽しくなるよ。私まで明るくなれる気がするし。」

「そ…そう?俺ってそんなにムードメーカー?なははは♪」

でも俺にとっては原田のほうがよほど明るいと思う。

こんなによく笑ったり話したりする子だと全然思わなかったし…。

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