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1話
1-8 花鳥園デート
しおりを挟むそして約束の日がきた。
朝から快晴。
まるで俺の気持ちを表しているかのようだ。
待ち合わせ場所に30分も前に着いてしまったが、少しも苦にならない。
行き交う人々を見ながら原田を待つ。
15分ほど経った頃…
「篠原くん?ごめん、もう来てたんだね。」
原田の声が聞こえて振り向くとそのまま固まってしまった。
原田が別人みたいだったからだ。
いつもおさげにしている長い髪をほどき、
腰まで垂らして、少しウェーブがかかっていた。
淡いピンクの花柄のフレアワンピースは華奢で繊細な原田にとてもよく似合っている。
しかも眼鏡もかけず、コンタクトなのだろうか。
キラキラした瞳がこちらを見つめてくる。
や、やばい。
す、すごく可愛い。
「い、いや。たまたま早めにバスが来てさ。
じゃあ…い、行こうか?」
なんか途端に緊張してしまい声もうわずってしまう。
「うん。」
ニコッと笑う顔を見ると俺もつられて笑ってしまう。
目指す花鳥園はここから数分歩いて行く。
二人並んで歩くと原田から果実のような甘い香りが漂ってきた。
もしかして香水をつけてるのかな…?
その甘い香りについドキドキしてしまう。
花鳥園に着くとまずは梟たちがお出迎えしてくれた。
宿り木に連なって身を寄せ合う姿がなんとも可愛いらしい。
原田は動物も大好きなのか、
「可愛い可愛い!」とはしゃぎながら自分のスマホで写真を撮っている。
「原田、スマホ貸して。俺が撮ってあげる。」
「あ、ありがとう」
ちょっと照れ臭そうにスマホを渡してくれて、
梟の檻の前でニコッと笑う。
かわいいなあ…
この写真、俺も欲しいな…と内心思いつつスマホのカメラのシャッターを切る。
次はペンギン。
まさかこんな間近にペンギンが見れるとは…
ペタペタと足音たてながら左右に揺れて歩く姿が
漫画みたいに滑稽で面白い。
ついついペンギンの後ろ頭を俺がツンツン突いてしまい、
機嫌を悪くしたペンギンに振り返られ、睨まれ。
噛まれそうになり慌てる。
「アハハ、ダメだよ~篠原くん。」
原田に笑われながら注意されてしまう。
しかし本当に身近でいろとりどりの花や
みたこともないような珍しい鳥たちがいるのに驚く。
でも原田はそのほとんどがわかるらしく、次々と俺に丁寧に説明してくれる。
「すごいなあ…流石だな。」
「いえいえ、そんなことないよ。
趣味も特になくて。
いつも…いや、あの家で本や図鑑ばっかり読んでたから…。
こんな知識だけ増えちゃうし。」
そうか…原田は学校でも
あまり友達がいないみたいに見えるから…
ずっとそうやって過ごしてきたんだな。
あっという間に別れの時間はきてしまった。
「ありがとう。今日はすごく楽しかった。」
「うん。私も。
こんなに楽しかったの本当に久しぶり。
ありがとう。」
「それならよかった。じゃあまた明日。」
「うん。また明日ね。」
手を振りその場で別れた。
でもなんだか名残惜しくて、
また振り返り原田の後ろ姿が駅の改札口に消えるまでずっと見送っていた。
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