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1話
1-9 発熱。
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初デートの翌日、
また学校の花壇の水やり当番の日が来た。
今年一番の暑さとニュースでキャスターが騒いでいた通り、
太陽の陽射しは一層強くなり、
カンカン照りの暑さで汗があとからあとからふきでてきて、
背中をつたって流れ落ちていく。
「やべー俺、ちと汗臭くないか、これ…?」
クンクンと自分の脇を匂いかけると、
花壇の前に見慣れたおさげの後ろ姿が見えた。
傍に駆け寄り声をかける。
「おっ!おはよう。原田。」
「おはよう、篠原くん。」
彼女が振り返り微笑む。
「昨日はありがとう。すごく楽しかった。」
「うん。俺も。あ、また撮った写真見せてよ。」
「あ、そうだね。今度持ってくるね。」
「また…どこか遊びに行こうな。」
「え?」
原田がキョトンとした顔になる。
「えっと…これはつまりデートに誘ってるんだけどさ…ダメですかね?」
やっと理解してもらえたのか原田は目に見えるほど顔が耳まで真っ赤になった。
「は…はい。」
「本当に?やった~♪」
小躍りして花たちに水やりをしていく。
今日は気分が最高潮なので、
俺様が花たちにお水を大サービスしてあげるとしよう。
「しかし…あっついよな~」
「あ、私がジュース買ってこようか?」
「それナイス☆
いいよ、自販機は遠いし
俺が買ってくるから。原田は悪いけど
ホースやバケツの後片付けを頼むな。」
「わかった。お願いします。」
そういうとダッシュで校内の自販機まで走る。
冷えたペットボトルのスポーツドリンクを二本買って戻った俺の目に信じられない光景が映った。
向日葵の花壇のなかで原田が真っ赤な顔をして俯せになり倒れていたのだ。
「原田っ!!大丈夫か!?」
慌てて駆け寄り抱き起こす。体が異常に熱い。
息も荒い気がする。
熱中症だろうか?
意識が朦朧としてるのか呼び掛けても原田は反応しない。
これはヤバい。
意識もなくしてそうだ。
俺は急に怖くなり、無我夢中で原田を抱き抱えて保健室へ走った。
抱えられた自分でもびっくりするくらい、原田の体は軽かった。
保健室に運び込むと喜代美先生は一瞬驚いてひきつった顔をしたが、すぐに冷静になり、
迅速に対応してくれた。
しばらくしてベッドのカーテンから喜代美先生が出てきて俺の悲愴な顔を見て微笑んだ。
「そんなに心配しなくてももう大丈夫よ。
原田さん暑さで少し脱水症状を起こしただけだから。」
「そうですか…あ~よかった…」
心底ホッとしてその場で脱力してしまう。
「あらら!大丈夫?篠原くんもベッドで寝る?」
笑いながら喜代美先生にからかわれ、顔を真っ赤にしながら、その申し出は丁重に断った。
原田の様子をカーテンを少し開け伺う。
顔はまだ熱のせいで腫れて赤いが、落ち着いた呼吸をして深く眠っているようだ。
よかった…本当に。
「さ、篠原くんはもう帰ったほうがいいんじゃない?」
喜代美先生に促され時計を見る。いつのまにかもう日が暮れかけるような夕方になっていた。
こんなに時間が経っていたなんて全然気付かなかった。
「でも…」
原田が起きるまでは傍にいたい。
「原田さんなら大丈夫よ。
お家にも連絡してお母さんがもうすぐ迎えに来られるみたいだから。」
「そう…ですか。わかりました。じゃあ後をお願いします。」
頭を下げ保健室を出ようとした。
「篠原くん。」
喜代美先生に呼びとめられる。
「はい?」
「…篠原くん。原田さんのこと好きなのね?」
「え…。えーと…」
ストレートな質問に頬が熱くなりしどろもどろになってしまう。
「それならよかった。」
喜代美先生の顔が綻び、そして力強くうなずいてこう言った。
「じゃあその気持ち大事にしてね。」
「…はい。」
俺も力強く頷いてその場を去った。
また学校の花壇の水やり当番の日が来た。
今年一番の暑さとニュースでキャスターが騒いでいた通り、
太陽の陽射しは一層強くなり、
カンカン照りの暑さで汗があとからあとからふきでてきて、
背中をつたって流れ落ちていく。
「やべー俺、ちと汗臭くないか、これ…?」
クンクンと自分の脇を匂いかけると、
花壇の前に見慣れたおさげの後ろ姿が見えた。
傍に駆け寄り声をかける。
「おっ!おはよう。原田。」
「おはよう、篠原くん。」
彼女が振り返り微笑む。
「昨日はありがとう。すごく楽しかった。」
「うん。俺も。あ、また撮った写真見せてよ。」
「あ、そうだね。今度持ってくるね。」
「また…どこか遊びに行こうな。」
「え?」
原田がキョトンとした顔になる。
「えっと…これはつまりデートに誘ってるんだけどさ…ダメですかね?」
やっと理解してもらえたのか原田は目に見えるほど顔が耳まで真っ赤になった。
「は…はい。」
「本当に?やった~♪」
小躍りして花たちに水やりをしていく。
今日は気分が最高潮なので、
俺様が花たちにお水を大サービスしてあげるとしよう。
「しかし…あっついよな~」
「あ、私がジュース買ってこようか?」
「それナイス☆
いいよ、自販機は遠いし
俺が買ってくるから。原田は悪いけど
ホースやバケツの後片付けを頼むな。」
「わかった。お願いします。」
そういうとダッシュで校内の自販機まで走る。
冷えたペットボトルのスポーツドリンクを二本買って戻った俺の目に信じられない光景が映った。
向日葵の花壇のなかで原田が真っ赤な顔をして俯せになり倒れていたのだ。
「原田っ!!大丈夫か!?」
慌てて駆け寄り抱き起こす。体が異常に熱い。
息も荒い気がする。
熱中症だろうか?
意識が朦朧としてるのか呼び掛けても原田は反応しない。
これはヤバい。
意識もなくしてそうだ。
俺は急に怖くなり、無我夢中で原田を抱き抱えて保健室へ走った。
抱えられた自分でもびっくりするくらい、原田の体は軽かった。
保健室に運び込むと喜代美先生は一瞬驚いてひきつった顔をしたが、すぐに冷静になり、
迅速に対応してくれた。
しばらくしてベッドのカーテンから喜代美先生が出てきて俺の悲愴な顔を見て微笑んだ。
「そんなに心配しなくてももう大丈夫よ。
原田さん暑さで少し脱水症状を起こしただけだから。」
「そうですか…あ~よかった…」
心底ホッとしてその場で脱力してしまう。
「あらら!大丈夫?篠原くんもベッドで寝る?」
笑いながら喜代美先生にからかわれ、顔を真っ赤にしながら、その申し出は丁重に断った。
原田の様子をカーテンを少し開け伺う。
顔はまだ熱のせいで腫れて赤いが、落ち着いた呼吸をして深く眠っているようだ。
よかった…本当に。
「さ、篠原くんはもう帰ったほうがいいんじゃない?」
喜代美先生に促され時計を見る。いつのまにかもう日が暮れかけるような夕方になっていた。
こんなに時間が経っていたなんて全然気付かなかった。
「でも…」
原田が起きるまでは傍にいたい。
「原田さんなら大丈夫よ。
お家にも連絡してお母さんがもうすぐ迎えに来られるみたいだから。」
「そう…ですか。わかりました。じゃあ後をお願いします。」
頭を下げ保健室を出ようとした。
「篠原くん。」
喜代美先生に呼びとめられる。
「はい?」
「…篠原くん。原田さんのこと好きなのね?」
「え…。えーと…」
ストレートな質問に頬が熱くなりしどろもどろになってしまう。
「それならよかった。」
喜代美先生の顔が綻び、そして力強くうなずいてこう言った。
「じゃあその気持ち大事にしてね。」
「…はい。」
俺も力強く頷いてその場を去った。
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