New World・New Life・New Battle

山神悠

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第四章 『町へ』

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 外からは賑やかな町の音が聞こえてくる。
 女性の笑い声、低い声の男の人が野菜を売ろうと声を張り上げている。
「なぁ、お前らはこれから、どうすんの?
 帰る方法は分かんないんだろ?帰る方法を知ってる奴なんていんの?」
 まだ、信じたくは無かったけど、みんなに、とりあえず聞いてみる。
「俺らは、大和が寝てる間、まずは、この町で、この世界について知るのが先決だって判断したんだけど…。」
「そう言えば、この家には人が住んでいないの?」
 ここは町の中心部で、しかも、部屋は空き家にしては綺麗過ぎる。
「どうやら、ここは空き家らしいんだ。ここの家に住んでいた人はだいぶ前に引越ししたらしいんだけど、この世界じゃあ、国が空き家になった家の掃除を一ヶ月に一回しているらしいんだ。」
 楓生のスラスラと町の人から聞いた情報を話す姿は、まるで、この世界に長い間住んでいたかのようだ。
「だから、あまりこの家に長くいることは出来ない。でも、この世界の貨幣と俺らの世界の貨幣は、当たり前だけど、違うからものを一つも買えなかった…。」
「じゃあ、これから、どうするんだよ!情報収集するったって、衣食住が揃ってなかったら話にならねぇよ!野草食えって言ったって、この世界の草と俺らの世界は違うだろうし…」
「一番は仕事をするか、誰か支援者的な人が居ればいいんだけど…」
 楓生がそう言った瞬間、今まで黙っていた太陽が、
「そう言えば、俺、夢の中に男の人が出てきたんだけど、もしかたら、その人がこの世界の人なら、支援してくれるんじゃない?」
「そう言えば、俺の夢にも男の人が出てきた!確かその人は、『フォリスト村で待つ。』って言ってたけど…」
「それは本当か?!大和!」
 大聖が目を丸くして聞いてきた。
「本当だよ!」
「まぁ、試しに町の人にでも聞いて見よう。
 町に出たら、俺達は旅人って事で!」
「了解!」
 楓生への、返事をするタイミングは三人ともピッタリだった。

 外へ出ると、空には雲が一つもなく、太陽が眩しかった。町には潮風が吹いている。どうやら、この町は港町らしい。
 まず、俺らは、さっきまでいた家から、少し歩いた所にある本屋を訪れた。
 店の扉を開けると、まるでサンタクロースのように顎に長い白い髭を生やしたおじいさんが、椅子に座っていた。
 俺達は、そのおじいさんにフォリスト村を知っているか試しに聞いてみた。
「おじいさん、フォリスト村って知ってますか?」 
 大聖が聞いてみる。
「知ってはいるが、お客様は、いったいどこから来たんだい?あまり、ここら辺では見ない服装だけど…」
「実は、この村に行くために、旅をしてまして…。」
「そうだったのですか…ちなみにどこから?
「山を超えたところにある村からです。」
 山がこの町の近くにあるかどうは知らなかったので、そうは言ったももの、嘘だとバレたらどうしようかと思うととても不安だった。
「山を超えて来たのか?!それは相当大変だっただろ。」
「まぁ、大変でした」
 思いつきで言った嘘だったので、おじいさんの反応に適当に返答した。
「そうだろ、そうだろ。まぁ、その村に私は一度だけ行ったことがありますよ。ただ、今いるこの町からだいぶありますよ。」
「ちなみに、ここからだと、どのくらいかかりますか?」
「まぁ、馬車で3日くらいですかね…ただ、最近、その村に行く途中に盗賊が出るそうですけど…。あなた達の属性は何ですかな?」
「属性!?」
「ご存知無いのですか?この世界には、火、水、雷、風、草、魔、天の七種類の属性があるんですが、その属性によって使える魔法が決まってくるんです。魔と天の属性を持つ人なんて見た事無いですが…もしよろしければ、私の知り合いに属性鑑定士がいるのですが、鑑定してもらいますか?」
 ーー魔法!!
「是非お願いします!」
 太陽がいきなり言葉を発し、ためらい無く頼んだ。
「場所ですが、この店を出て、左に曲がり、まっすぐ行くと、右手に「ライ」という、看板が出てるので、分かると思いますよ!私から店には連絡はしておくので。」
「分かりました!ありがとうございます!」
 太陽がお礼を言う。
 俺らは、店を出て、言われた通り、左に曲がり、真っ直ぐ歩き始めた。
 道には石が敷き詰められ、とても綺麗に整備されている。道の両サイドにはレンガでできた建物が立ち、その前にはテントが並んで魚や野菜、果物、アクセサリーなどを売っている。そのため、町のいたる所から、威勢のいい声が聞こえてくる。魚を売る人の声、野菜や果物を売る人の声、アクセサリーを売る人の声、買い物をしている人の声。
「へい!そこの兄ちゃん達、旅人かい?この辺ではあまり見ない服装だけど、旅の途中かい?
 果物屋のおじさんが俺達に話しかけてきた。
 楓生は、いきなり話しかけられて驚いていたが、冷静におじさんの質問に答えた。
「はい、旅をしています。今、『ライ』というお店に行く途中何です。」
「ああ、『ライ』ねぇ。そのお店、最近カフェを始めたんだよなー。」
「カフェですか?」
「そうだよ。今は、君たちくらいの女の子がお店をやってるよ。元々はライちゃんのお母さんが属性鑑定の店として開いていたんだけど、半年前に亡くなってねぇ…先月からカフェと属性鑑定を行う店としてカフェをオープンしたんだよ。今は、ライちゃんが、1人でお店をきりもりしてるんだよ…」
「亡くなったと言うと、病気ですか?」
 「そうみたいだね…それはそうと、モモを買わないかい?皮ごと食べれて、種もないから食べやすいよ!しかも、今が旬だからとっても甘いんだよー!」
 見た感じは向こうを世界のモモと同じだ。
「ごめんなさい、今、お金を持っていないので…。」
「そうか、まぁ、ここで、出会えたのは何かの縁だ!今回は特別、4個くれてやる。その代わり今度寄ってくれよな!」
 おじさんは笑顔で俺達に、モモを渡す。楓生は、モモを片手に、
「はい!お金が入ったら必ず!」
 そう言うと、俺達は、お辞儀を軽くして、その場を後にした。
 メメは桃のような味がして、元の世界を懐かしく感じた。
 その後も、町の雰囲気に魅了されながら歩いていると、本屋のおじいさんの言う通り、右側に『カフェ ライ』と書かれた看板が出ていた。店は、小さいものの、レンガで出来ているため、おしゃれなカフェという感じがする
 俺は、店の扉の前に立つと、ゆっくりと店の扉を開けた。




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