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第二章―魔法国家フォルトゥナ 『魔導師に潜む闇』
94-2.ありのままの姿
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「失礼」
主人から顔を背け、肩を震わせているのは言い出しっぺのリオである。
更にその隣では彼と同様に肩を震わせているエリアスの姿まである。どうやら彼もまた、クリスティーナの様子を途中から窺っていたようだ。
不敬な護衛二人の様子を目の当たりにし、クリスティーナの眉間の皺は更に深く刻まれる。
主人を笑い者にする二人へと腹立たしさを募らせたクリスティーナは手始めに隣の従者の足を勢い良く踏みつけた。
「い゛っ……」
短い悲鳴と共に、笑いとは別の理由で肩を震わせることになった従者。
彼は爪先の痛みに呻きながら精一杯の不服を申し立てた。
「お行儀が悪いですよ、お嬢様……」
「何のことかしら」
平然と白を切るクリスティーナはリオの隣で自分は無関係であると言いたげに背筋を伸ばすエリアスの姿をも目敏くとらえる。
自分と同様に笑っていたリオが制裁を受けたのを見て危機感を覚えたのだろう。
しかし今更取り繕ったとて遅い。
「貴方達の首が明日まで繋がっているといいわね」
「ひぇ……っ」
クリスティーナは冷ややかにエリアスを睨みつけながら物騒な発言をする。
勿論冗談の類だが、少なくともクリスティーナが気を悪くしたことは伝わっただろう。今まで積み重ねてきた悪評の効果も相まってか、その言葉の威力は想像以上であったようだ。エリアスは青ざめたまま硬直した。
護衛二人への制裁を終えたことで漸くクリスティーナの気は済んだ。
一連の流れと物騒な空気を誤魔化すように咳払いを一つしてから何事もなかったかのように彼女はレミへと皿を差し出す。
「ごめんなさい、上手く出来なかったわ」
「い、いや……」
目を白黒とさせながら向かいに座る三人を順に見やるレミ。
彼は目の前に出された皿を受け取りながらも、その体勢を持続させたまま暫しの間呆けてしまう。
数秒程互いに見つめ合うような時間が発生したことで、自身の物騒な言動を不快に思われでもしたのだろうかとクリスティーナは勘繰ってしまう。
しかしそれも束の間。彼の口元が緩んだかと思えばそこから笑い声が溢れた。
主人から顔を背け、肩を震わせているのは言い出しっぺのリオである。
更にその隣では彼と同様に肩を震わせているエリアスの姿まである。どうやら彼もまた、クリスティーナの様子を途中から窺っていたようだ。
不敬な護衛二人の様子を目の当たりにし、クリスティーナの眉間の皺は更に深く刻まれる。
主人を笑い者にする二人へと腹立たしさを募らせたクリスティーナは手始めに隣の従者の足を勢い良く踏みつけた。
「い゛っ……」
短い悲鳴と共に、笑いとは別の理由で肩を震わせることになった従者。
彼は爪先の痛みに呻きながら精一杯の不服を申し立てた。
「お行儀が悪いですよ、お嬢様……」
「何のことかしら」
平然と白を切るクリスティーナはリオの隣で自分は無関係であると言いたげに背筋を伸ばすエリアスの姿をも目敏くとらえる。
自分と同様に笑っていたリオが制裁を受けたのを見て危機感を覚えたのだろう。
しかし今更取り繕ったとて遅い。
「貴方達の首が明日まで繋がっているといいわね」
「ひぇ……っ」
クリスティーナは冷ややかにエリアスを睨みつけながら物騒な発言をする。
勿論冗談の類だが、少なくともクリスティーナが気を悪くしたことは伝わっただろう。今まで積み重ねてきた悪評の効果も相まってか、その言葉の威力は想像以上であったようだ。エリアスは青ざめたまま硬直した。
護衛二人への制裁を終えたことで漸くクリスティーナの気は済んだ。
一連の流れと物騒な空気を誤魔化すように咳払いを一つしてから何事もなかったかのように彼女はレミへと皿を差し出す。
「ごめんなさい、上手く出来なかったわ」
「い、いや……」
目を白黒とさせながら向かいに座る三人を順に見やるレミ。
彼は目の前に出された皿を受け取りながらも、その体勢を持続させたまま暫しの間呆けてしまう。
数秒程互いに見つめ合うような時間が発生したことで、自身の物騒な言動を不快に思われでもしたのだろうかとクリスティーナは勘繰ってしまう。
しかしそれも束の間。彼の口元が緩んだかと思えばそこから笑い声が溢れた。
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