純白の抒情詩〈リューリカ〉

黒井ここあ

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第一章 妖精と呼ばれし娘

三、カラスとの約束(12)

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 暗闇に包まれた森に、梟の鳴く声が響く。
 リュリの住まう大樹に梟が羽を休めているらしく、その声はとても近くに聴こえていた。
 夜、リュリは蜜蝋で作った大きな蝋燭を灯し、その明るさと温かさを楽しんでいた。
 その小屋の様子を外から見たならば、まるで大樹そのものがランタンになったかのようだろう。
 静けさが満ちる夜の森の中心に、その大きなランタンの中では楽しそうなお喋りが花開いていた。

「あのね、カラスさん、今日はすごいことがわかったの!」

 彼女は切り株を再利用した机の上にランプを、そしてその上に小さな硝子のポットを置いて、その様子をぼんやりと見つめていた。
 ハーブティーを入れるためのお湯を沸かしているのだ。
 沸騰するのを待つのに、彼女は机に頬杖をついて、自身も湯だったような顔をしてため息をついた。

「男の子って、大きくなると、ああなるんだね……」

 リュリの話し相手はもちろん、お喋りの白カラスだった。
 白カラスははちみつを食べるのに精一杯ですぐ喋ることが適わなかったが、代りに興味深そうに少女の方をちらっと一瞥すると、またはちみつを啄み始めた。
 だが、リュリの言葉の意味を察するや、白カラスは慌てて瓶からくちばしを上げた。
 粘つくはちみつのせいで、活舌はそんなに良くなかった。

「何が、大きくなる、とだって?」

 そんな白カラスの様子を気にも留めず、リュリは夢見がちに髪の先をくるくると弄びながら続ける。
 銀色に輝く髪がランプの炎で赤く染まる。

「大人の男の人って、声が低いんだね。それに……、こう、大きいっていうか、がっしりっていうか、強そうっていうか……」

 白カラスはしわがれた声で横槍を入れる。

「リュリ、お前、男に――大人の人間に会ったのか! よもや、顔を見せたのではないだろうな?」

「うん、そうなの。初めて見たけど……」

「だからあれほど、街に行ってはいけないと――!」

「行ってないってば! 家に帰る途中に、また怖い目にあって。気付いたらあの人がいたの。それで……」

 それで、と言葉を濁し、のぼせた顔をするリュリに、白カラスはもはやお手上げだった。
 硝子のポットの中に沸々と気泡が溜ってきた。
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感想 2

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みんなの感想(2件)

高天神田
2018.06.07 高天神田

ロザリンデこれからどうなるか楽しみ。

解除
BUN
2018.05.15 BUN
ネタバレ含む
2018.05.15 黒井ここあ

読んでくださってありがとうございます。
登場人物ともども、至らぬ点が多々ございますが、どうか最後まで見守っていただければと存じます。

解除

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