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転換期
しおりを挟む(その言葉は、彼女から聞きたかったな)
正冶は、母からの仕送りをまだ続けていた。
「ねぇ、これどう?」
「うん、似合っているけど、こっちはどう?」
正冶は、仕事デートで、さおりとGRLS LOVE FACTORY というブランドでショッピングを
していた。彼氏用のものも、もう購入しており、時間はまだ十分に残されている。
「じゃーん。どう?」
「うん、似合ってるよ。」
「やっぱり、正にエスコートしてもらって正解☆あたしものすごく可愛くない!?」
そして、ショッピングはお客さんの満足行く結果で、さおりは、正をホテルの高級ランチ
に誘った。
「ねぇ、、正、この後、どう?」
(来た・・・)
「今日は楽しかったよ。」
知らない不利をしてみるが、効果はなさそうだ。
「解ってるでしょう?もう、部屋は押さえてあるの。」
チラリ。値踏み交渉する視線。
「俺とそんなことしたら、彼氏に知られたらまずいよ?」
「まぁ、正が欲しいんだけどね。私のものになりなよ、確かに仕事続けられないけど、穴埋
めくらいしてあげる!」
「実においしい・・・」
(悪い話じゃない。けど。)
正冶は、如愛に受けた施しの時と比べてみる。
(この子も、此のままじゃ、お店来なくなるかもな・・・)
こういうときほど、男女の駆け引きに強くないと、ホストとしてやっていけない。
時計を気にする。まだ確かに夕暮れ時には時間は早い。
聞いていなかったかのように、食事をしたいが、相手は客だ、下手にあしらえない。
「・・・わかったわ、荷物、部屋まで運んでよね、それだけでいいよ、もう。」
(・・・・)
やばいな。
そんな事を言っているが、諦めたようには見えない。
「最後に言っておくよ、僕は仕事、辞めるつもりはないからね。君との付き合いも、お客さんと
して、大切にするけど、プライベートは、お願いですから、ノータッチで。」
怒らせてしまったようだが、大抵のこういうケースは、俺で収まる。
「まさかね、正って、そんなにも女なれしているようでまだなの?」
部屋まで荷物を運び、去ろうとしたとき、後ろから抱きつかれた。
「そう見える?]
一瞬。子守唄を歌う如愛が頭をよぎる。
「今日は、やっぱりのらない気分なんだ、すまない。」
美味しい話ではあるが、さおりを払いのける。
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