箱入り令嬢と秘蜜の遊戯 -無垢な令嬢は王太子の溺愛で甘く蕩ける-

瀬月 ゆな

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不穏

好きと嫌いの狭間で 2  ☆

「あっ、やあぁ……っ!」

 肉厚な舌がフィオレンツィアの最も恥ずかしい部分を舐め、舌先だけでなく口元まで蜜に塗れさせながら固く尖った蕾を執拗に嬲る。

「ひあっ……! あんっ、あ、あ――!」

 剥き出しにされた、ひどく敏感な蕾は何をされてもフィオレンツィアの背筋を震わせた。
 自然と腰がアドルフォードの舌を追って動く。
 だめ。はしたない。
 理性が奥底で必死に制止しようとするが、本能は言うことを聞かなかった。

 自分が溢れさせた蜜が椅子の上に、ぬるついた淫らな水たまりを作っているのが分かる。
 だからと言って蜜の滴りを止めることは出来なかった。皮に染み込みきれずにいる蜜がお尻の方へと流れ、フィオレンツィアが身動きする度に湿った音を奏でた。
 これほどぐっしょりと濡らしてしまっては、この椅子はもう使い物にならないだろう。

 そんな様子も全てアドルフォードに見られている。
 眼前で淫らな蜜をひたすらこぼす小さな蜜口は、アドルフォードの目にどう映っているのだろう。時折ひくつく様が、やはり男を咥え込もうと物欲しげに誘っていると嫌悪しているのだろうか。

 でも、フィオレンツィアを乱しているのはアドルフォードだ。
 淫らに誘うように躾けられた身体が、そう躾けた相手を求めるのは当然のことだろう。

「おにっ、にい、さま……!」
「こんなに気持ちイイって啼き濡らして、可愛いね」

 水音を立てて蜜口がくすぐられた。これまで全く蜜をこぼさずにいた仕返しと言わんばかりに入口付近を撫でる指を追い、腰が浮き上がる。
 先程までの乾いた様が嘘のように愛欲のはしたない蜜を滴らせ、挿れて、かき混ぜてとねだっていた。

 耳を塞ぎたくなるようないやらしい水音と共に指が挿入されて背中がのけぞる。欲望に従順な蜜口は待ち望んでいたものをきつく締めつけ、離さなかった。
 けれど、フィオレンツィアはいやいやと首を振り続ける。

 好き。
 嫌い。
 相反する二つの感情がフィオレンツィアの中でぶつかり合う。それらは決して混じり合うことはなくて、激しくぶつかり合ってフィオレンツィアの柔らかな部分を傷つけた。

「こ、なの……いや……っ! きら、い……! おに、さまなんか、だ、いきら……」

 アドルフォードはいつだって手慣れていた。
 フィオレンツィアは、何もかもが初めてなのに。

 きっとすでに他の女性を抱いたことだってあるのだ。
 だから、いつだってこんなにも。

 想像するだけで胸が痛くて今にも潰れてしまいそうになる。
 他の女性に触れた手でフィオレンツィアに触れ、他の女性に愛を囁いた唇でフィオレンツィアに口づける。他の女性とは身も心も結ばれる為に剛直をれることは出来ても、フィオレンツィアにはそうしてくれない。

 フィオレンツィアだけを愛してくれないのなら、アドルフォードなんて大嫌いだ。

 なのに身体はアドルフォードが与える快楽を欲しがる。
 もうずっとそうだ。

「きらい……っ、あ……っ! んっ、んん……、あ――っ!」

 欲しがるそれを与えられれば、こんなにも簡単に達してしまう。

 だって、ずっと、何をされたって大好きだから。

 アドルフォードは指を引き抜き、フィオレンツィアの四肢を縛る紐をほどいた。上半身を抱き起こし、噛みつくような口づけをして舌を絡め合う。
 ずるい。フィオレンツィアはずっと縛られていたせいでわずかに感覚のなくなった手を伸ばし、アドルフォードの首に縋りついた。

 大好き。
 大嫌い。
 愛してる。

 愛してるって言って欲しい。

 きつく抱き締められて息が詰まりそうになる。でも苦しくも痛くもなかった。愛情や執着といった想いだけで縛られるのなら悲しくなんかならない。

 蜜口を指でかき混ぜられていた時にあがっていた音とはまた違う、濡れた粘膜同士のこすれ合う淫らな音が、しゃくりあげた泣き声の合間に響く。

「や……。もっと」

 唇が離れてしまうとフィオレンツィアは物足りなさから首を振った。抱きつき直し、今度は自分の方から唇を重ねる。
 口づけも疑似的な性交渉のようだ。重ね合わせて一つになって、蕩けてしまいそうになる。そしてそれは、誰が相手でもいいわけじゃなかった。

 気が済むまで口づけを交わし、身体が力を失う。
 だけど心が満たされた気は全然しなかった。ひどく混乱して、もう何も考えられない。――考えたく、なかった。

 くずおれるまま椅子の肘掛けに伏せれば涙が次々と溢れて腕を濡らした。

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