占い屋キャンドルライト〜占い師アカリのよしなしごと〜

ひらえす

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プロローグ

占い師は繕い物をする〜衣装と床とSNSと〜

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 ちくちく。
 ちくちく。ちくちくちくちく。

 無心で針を動かして、細かい針目で繕い物をしているのは、若い女だ。
 ただそれだけならば特に珍しくもないが、その格好がそこそこ個性的……シースルー生地のアラビアの踊り子の衣装のような、それでいて肌の露出は最低限にとどめられているような、いわゆる創作衣装のようなものを身につけている。
 顔には鼻から下を覆うマスクのようなものまでつけている。
 ちなみに、そのマスクの下には普通に不織布のマスクがうっすら透けて見えている。
このご時世、これがなくては他人と会えない。
「よし!」
 繕い物は、今着ている衣装の裾の方で、どうやら何かに引っ掛けてしまった箇所のようだ。上手く繕えた、とマスクの下の口が弧を描き、繊細に施された化粧に彩られた目が細められた。
「やっぱり床の張り替えは考えた方が良さそうだよねぇ……」
 ぎしりと軋みがちな木製の床は、掃除や手入れこそ行き届いているものの、やはり古さを感じさせる。

「ここだけ貼り直して、ワックスかければなんとかなるかなぁ……ウチ、照明は暗めでいいし」
 長めに整えた爪を顎に当て、うーんとしばらく悩んでいた女は、傍らのスマートフォンの通知に気づいてチェックする。
「あ、予約だ! やったぁ!」
 ここのところの新型ウイルスによる伝染病のおかげで、来店客が減っていたのは否めない。
「うふふ~~」
 女の名前は、灯里。
 占い屋キャンドルライトでは、占い師のあかりと名乗っている。
 当年とって28歳。占い師の中ではまだまだ若いと言われる年代だが、3年前にこの店の店主になった。
 その昔、的中率100%以上と言われた占い師だった祖父母からのお墨付きでこの店を譲られた、立派な店主だ。

「さあ、今日も頑張りましょ!」
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