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第2部

41:ライアン君のお父さん

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「親父-、ちょっといいかー?」




「ライアン、店の中では言葉づかいをなおしなさいと何回言わせるんだ。」




「ちょっと部屋で話したいことがあるんだ。」




「はぁ……。先に行っていなさい。すぐにいく。」




「わかった。」




「ん?後ろの御嬢さんは、ライアンの友達かな?」




「はじめまして、エレナと申します。ライアン君とは、今日パーティーを組ませていただきました。」




「エレナさん、ライアンに変なことはされてないかい?」




「いえ、ライアン君には助けて頂いた縁なのです。」




「ほぉ、そうなのか。―――――ぜひ、ゆっくりしていってくれ。」




「ありがとうございます。」




「ライアン、こんなに小さい子でもしっかり礼儀を身に着けているんだ、お前もしっかりしなさい。」




「わたし、10さいです!!ライアン君と同じなんです!!小さいけれど、本当はもっと年上なんです!」




「そ、そうなのか、それは申し訳ない。」




「こちらこそ、騒いでしまってすみません。今日一日で何度も言われるもので……。」




「そのうち大きくなると思うよ。」




「はい、がんばります……。」




「へ、へやにいこうか。」




「そうですね。」










応接間に入り改めて向き合ったところでライアン君が口を開く。




「おれが冒険者になって各国を回ってみたい、っていう話はしていただろ?」




「ああ、そういう話は確かにあった。それで、それに関することなのか。」




「今回、エレナとギルド側のお願いでパーティーを組むことになったんだ。エレナはいろんな事情があって、各国を回って調べなくちゃいけないことがあるらしくて、一か所にはとどまれないんだって。だから、おれもついて行こうと思ってるんだ。」




「そうか。……お前の技量はよく知っている。ただ、いろいろなところに行く、ということはそれ以外の、生活、礼儀などの力も必要だ。それらも自分でできるのか?」




「すべては最初からできるかはわからない。でも、毎日しっかり成長できるように努力はする。エレナに迷惑をかけちゃ元も子もないからな。」




「エレナさんは、どう考えているのかね? ライアンがいて目的は達成できるのか、足りない部分があるやつだ、お荷物にはならないのか?」




「えっと、私はこれまで一人でやることの方が断然多くて、対人経験が足りません。私ができることはライアン君に教えたり、私がやったり、ライアン君が得意なことは補ってもらったり、教えてもらったり、そういう風にして一緒にやっていければいいな、と思っています。」




「そうか……。」




「いつ、ここを出る予定なのだ?」




「まだはっきりとは決めていませんが、近いうちに出発しようかな、とは考えています。」




「ライアン、成人になったら、という話だったな。」




「っ、ああ。」




「いいか、世界を見て、感じて学んで来い。」




「えっ?いいのか?」




「お前は確かにそこらの一般人よりは強い。でも、だからと言ってすべての人に勝てる力を持つわけじゃない。己の力を過信するな。そして、精神、常識、生きていくうえで大切なものを身につけろ。」




「ああ、わかってる。ありがとう。」




「エレナさん。」




「はい。」




「こいつは、口は悪いし、礼儀もない。生活面においても迷惑をかけるだろう。もしかしたら大変かもしれない。その時は遠慮なく言ってやってくれ。こいつを、息子を宜しく頼む。」




「はい。ライアン君は、無事に返します。」




「ライアン、女に言わせてどうする。守れるぐらいの力をつけろよ?」




「いわれなくてもわかってるさ。」




「出発が決まったら教えてくれ。」




「わかりました。あ、あの、こんなこと聞くのはあれなんですけど、本当にいいんですか?」




「うちは結構大きな商会になっただろう?そうすると、下級貴族に近い存在にもなる。だから、上の娘二人は貴族に嫁に出した。そんなことはさせたくなかったが仕方ないものは仕方ない。男は、継ぐか、婿入りするか、自分の店を持つか。生まれる前から人生の道が決まってるようなものだ。できれば自由に生きてほしい。まあ、とは言ったもののうちのは変わっているのかなんなのか、ありがたいことに皆が喜んで決まった道に進んだが。」




「そうなんですね。」




「ああ。だから、突拍子もないことだったが、自由になれるうちに自由にできるのなら、可能性はつぶしたくないんだ。商人としてではなく、親として、だな。」




「私、ライアン君と一緒に行くことができるのは、心強いんです。だから、成長を楽しみに待っていてください!わたしも、ライアン君の成長、お手伝いしますから!」




「楽しみに待っているよ。――――そろそろ仕事に戻る。ライアン、早いうちに荷物はまとめておきなさい。」




「ああ、わかった。」




「では、また。」




「はい、お時間、ありがとうございました。」







ライアン君のお父さんが部屋を出て行ったのを見送って、ライアン君は切り出した。




「なぁ、さっき言ってた話、ってなんだ?」




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