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第2部
49:旅の始まりの前日
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「準備は終わってんの?」
「私は、全部マジックバックに入っているから。」
「あー、そっか。」
「でも、ハクが帰ってこないんだよね……。」
そう、2年前のあの日、ハクが眠っているのを最後に、一度も見ていない。
「オオカミだっけ?」
「そうだよ。」
「迷子なんじゃねーの?」
「んー、それはないんじゃないかな?ハクが、契約した人の居場所は何となく感じられる、って言っていたの。」
「へー、ならあんしんだな。そのうち帰ってくるんじゃない?……ん?ハクが言ってたの?」
「? そうだよ?どうかした?」
「いやいや、おかしいから。なんで魔獣がしゃべってんのさ。」
「?? 契約したら念話できるようになるんだって、ハクが言ってたよ?」
「普通はそんなことできないから。契約したらなんとなく感情が伝わってくることもあるけど、それも珍しいんだからね?」
「そうなの!?」
「あんまり外で言うなよ?」
「う、うん。気を付ける。」
まさかふつうは会話できないなんて……。
あれ、でも、だったらなんでハクは会話できてるの?
ハク、普通のオオカミさんじゃないの?
まあ、確かに強かったし特別なのかも。
突然変異、みたいな?
この日はそれぞれ早めに寝て、翌日朝早くに出発することにした。
ライアン君と別れた後、私は武器屋に行ってみた。
その理由は、接近戦で戦えるようにするためである。
魔法はしっかりイメージすることが必要だし、近距離では向いていない。
そこで、何かあった時のために剣とか、何か使えたらいいかも、と思ったのだ。
武器屋さんはギルドの近くにある。
小さいところだが、初心者なので問題ないだろう。
”武器屋、ガーランド”
店の中に入ると、剣を中心にいろいろなものが売っていた。
メインで使わないなら、短剣とかがいいのかな?
店内を見渡していると、店主だろうか、体格の良いおじさんが出てきた。
「いらっしゃい。お使いか?」
「いえ、今日は私の使う武器を探しに来ました。」
「嬢ちゃんが使うのか?……やめておけ。」
「なぜですか?身を守るために、私も一つくらい必要だと思うのです。」
「こども、それも女がここの武器を扱えるとはおもえねぇ。せいぜいあとこんくらいはデカくならなきゃな。」
そういって、手を20センチくらい広げる。
「私も、練習すれば、できると思うのですが?」
「ああ、できるだろうよ、戦いごっこならな。相手が魔物だか人だかわかんねーが、型ができたとしても、今のお嬢ちゃんは、簡単に吹き飛ばされるだろうよ。」
「で、ですが……。」
「うちの武器使ってその日のうちに死んだ、とかシャレになんねーんだ。悪いがうちでは嬢ちゃんには売れないよ。」
「……。そうですか、ありがとうございました。」
「また大きくなったら来るといい。」
武器屋の人が意地悪しているわけじゃないのは分かる。
わたしが逆の立場だったらやっぱり断ると思うから。
何も知らない人にとっては、私は小さな子供なのだ。7歳くらいに見えるから……。
それに、あそこには大人用しかなかったから、もし買ったとしても確かに使えなかったかもしれない。
子供用のとかないかな?
王都とかだったらありそうだよね。たぶん、大きいお店があると思うから私が使えるものもあると思う。
サッバネレントに行く間にいくつかの国を通るから、どこかの王都によっていこう。
武器を得ることはできなかったが、旅の予定が一つできた。
あ、武器もつくっちゃえば?って思った人がいたら、大間違い!
あの魔法は、構造をしっかり理解していないと使えない。
私は、地球のものだったらわかるけど、この世界のは分からない。
この世界は、魔獣とかいるから、同じつくりでいいのかわからないし、作る工程とかは、鍛冶屋のところで企業秘密としてしっかり守られながら伝えていっているため、武器とかには無関係だった私には知ることは不可能だった。
それと、武器は結構複雑で、数ミリの違いで使えないものになったりするから、一度実際に創ってみてからじゃないとうまくいかない可能性が高いんだって。
95.7%無理、とソフィアナさんに言われてしまった。
その数字は、私のステータスの器用さを見てのことだった。
……地味にショックだよね。
「私は、全部マジックバックに入っているから。」
「あー、そっか。」
「でも、ハクが帰ってこないんだよね……。」
そう、2年前のあの日、ハクが眠っているのを最後に、一度も見ていない。
「オオカミだっけ?」
「そうだよ。」
「迷子なんじゃねーの?」
「んー、それはないんじゃないかな?ハクが、契約した人の居場所は何となく感じられる、って言っていたの。」
「へー、ならあんしんだな。そのうち帰ってくるんじゃない?……ん?ハクが言ってたの?」
「? そうだよ?どうかした?」
「いやいや、おかしいから。なんで魔獣がしゃべってんのさ。」
「?? 契約したら念話できるようになるんだって、ハクが言ってたよ?」
「普通はそんなことできないから。契約したらなんとなく感情が伝わってくることもあるけど、それも珍しいんだからね?」
「そうなの!?」
「あんまり外で言うなよ?」
「う、うん。気を付ける。」
まさかふつうは会話できないなんて……。
あれ、でも、だったらなんでハクは会話できてるの?
ハク、普通のオオカミさんじゃないの?
まあ、確かに強かったし特別なのかも。
突然変異、みたいな?
この日はそれぞれ早めに寝て、翌日朝早くに出発することにした。
ライアン君と別れた後、私は武器屋に行ってみた。
その理由は、接近戦で戦えるようにするためである。
魔法はしっかりイメージすることが必要だし、近距離では向いていない。
そこで、何かあった時のために剣とか、何か使えたらいいかも、と思ったのだ。
武器屋さんはギルドの近くにある。
小さいところだが、初心者なので問題ないだろう。
”武器屋、ガーランド”
店の中に入ると、剣を中心にいろいろなものが売っていた。
メインで使わないなら、短剣とかがいいのかな?
店内を見渡していると、店主だろうか、体格の良いおじさんが出てきた。
「いらっしゃい。お使いか?」
「いえ、今日は私の使う武器を探しに来ました。」
「嬢ちゃんが使うのか?……やめておけ。」
「なぜですか?身を守るために、私も一つくらい必要だと思うのです。」
「こども、それも女がここの武器を扱えるとはおもえねぇ。せいぜいあとこんくらいはデカくならなきゃな。」
そういって、手を20センチくらい広げる。
「私も、練習すれば、できると思うのですが?」
「ああ、できるだろうよ、戦いごっこならな。相手が魔物だか人だかわかんねーが、型ができたとしても、今のお嬢ちゃんは、簡単に吹き飛ばされるだろうよ。」
「で、ですが……。」
「うちの武器使ってその日のうちに死んだ、とかシャレになんねーんだ。悪いがうちでは嬢ちゃんには売れないよ。」
「……。そうですか、ありがとうございました。」
「また大きくなったら来るといい。」
武器屋の人が意地悪しているわけじゃないのは分かる。
わたしが逆の立場だったらやっぱり断ると思うから。
何も知らない人にとっては、私は小さな子供なのだ。7歳くらいに見えるから……。
それに、あそこには大人用しかなかったから、もし買ったとしても確かに使えなかったかもしれない。
子供用のとかないかな?
王都とかだったらありそうだよね。たぶん、大きいお店があると思うから私が使えるものもあると思う。
サッバネレントに行く間にいくつかの国を通るから、どこかの王都によっていこう。
武器を得ることはできなかったが、旅の予定が一つできた。
あ、武器もつくっちゃえば?って思った人がいたら、大間違い!
あの魔法は、構造をしっかり理解していないと使えない。
私は、地球のものだったらわかるけど、この世界のは分からない。
この世界は、魔獣とかいるから、同じつくりでいいのかわからないし、作る工程とかは、鍛冶屋のところで企業秘密としてしっかり守られながら伝えていっているため、武器とかには無関係だった私には知ることは不可能だった。
それと、武器は結構複雑で、数ミリの違いで使えないものになったりするから、一度実際に創ってみてからじゃないとうまくいかない可能性が高いんだって。
95.7%無理、とソフィアナさんに言われてしまった。
その数字は、私のステータスの器用さを見てのことだった。
……地味にショックだよね。
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