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七章
6.あの時の砂浜
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「どうだ? 去年建てられたばかりだがサービスはよく、食事も美味いと評判らしい。何よりこの絶景!」
「綺麗ね~」
「プライベートビーチもあるが、行ってみるか?」
「いえ、ここからでも十分楽しめるから」
「そうか? 服や靴の心配をしているなら、ちゃんと砂浜に行く用に持ってきてるぞ?」
「いいの。今日は明日に向けて休もうかなって」
「なら何か温かい飲み物を用意してもらおう。待っていてくれ」
バッカスはそう告げると荷物を置いて、部屋の外へと繰り出した。
一人になったイーディスはバルコニーに用意された椅子に腰掛けた。このホテルは王都まで馬車で一刻と少し離れているが、真っ白な砂浜と青い海までは数歩で到着出来る。また新しいホテルではあるが王都にある有名ホテルの系列店で、最上級のサービスが得られる。飲み物だって本当はバッカスがもらいにいかずともホテルスタッフに頼めば持ってきてくれるのだ。
それでもバッカスが部屋を出たのはイーディスを一人にするためだろう。寝室は別に用意してあるとはいえ、警護の面から部屋は一緒。海を眺めるにも人の気配が近くにあってはゆっくり出来ないと思ったのだろう。イーディスは彼の好意に甘えることにした。
「なんでよりによってこの海なの……」
はぁっと深い息を吐きながら、両手で顔を覆う。疲れているのではない。こみ上げる涙を、今さらながらの後悔を自分なりに受け入れるためだ。
この海はリガロとの思い出の海、早朝に連れられたあの場所だった。あの時は眠気に負けたイーディスが座っていた場所はホテルの所有地となっている。一般の立ち入りは禁止されており、馬を走らせて~なんてことは出来なくなってしまった。ホテルや砂浜だけではない。ホテルが建ったことにより、周りにもポツポツと店が建っている。馬に乗りながら見た光景はすっかり変わってしまっている。十年以上も経てばそんなものだ。仕方ないことだと理解していても、寂しさはある。
またリガロと一緒に来たかった、なんて今さらながらの欲が沸き上がり、それと共に溢れ出す涙が頬を伝った。
「私ってなんでこんなに諦め悪いんだろう」
思い出になんて全然消化出来ていないじゃないか。もう他人でしかない彼を思って後何度泣けばいいのか。彼が新たな女性と共に歩き出した時、大泣きすれば枯れてくれるのだろうか。
ああ、辛い。苦しい。悲しい。愛おしい。
どんなに変わろうともこの場所にはリガロとの思い出が残っている。そして明日訪問予定の会場にも。だから友人達はシンドレアをイーディスから遠ざけようとしていた。だがイーディスはシンドレアにやってきたことを後悔はしていない。試合のチケットを取ってくれたバッカスにも感謝をしている。どんなに涙を流そうと、変わってしまったものと向き合いたいと思うから。
ひとしきり泣いたイーディスは洗面所で顔を洗い、化粧の落ちた自分と鏡越しに向き合う。目が少しだけ腫れた顔を両手で挟んだ。パチンっと大きな音がして、頬は赤く染まる。けれど涙は完全に引っ込んだ。
「今回シンドレアに来たのは視察のため。感傷に浸るためじゃないわ」
役目を果たせ、と自分に言い聞かせもう一度頬を叩いた。
それから戻ってきたバッカスから飲み物を受け取り、早めの夕食を取ってベッドに入る。
翌朝は早く起きて、馬車のまま王都をゆっくりと回る。そして会場に到着してからはバッカスにエスコートされ、個室へと向かう。確保したのが貴族や豪商が使用する個室ではなく、王族やVIPが使う部屋とは思わなかった。普通の席とは違い、一般席からも見ようと思えばイーディスの顔が見える。顔を売るには最適だが、事前に伝えておいて欲しかった。
「最後まで気が抜けないわね……」
「ガラスは外から見えないようにも出来るらしいから、大会が始まったら切り替えようと思っている」
「それなら大会はじっくり見ることが出来そうですね!」
「リガロ様以外にも注目の選手とかいるのか?」
「いいえ、見るのは客席の方。少し気になることがあるんです」
「気になること?」
「学生時代にもここに来たことがあるのですが、その時に敵意? みたいなものを向けられまして。それが『イーディス』に向けられたものであれば特に問題はないのですが、リガロ様への尊敬が歪んでいた場合、厄介だなと」
昨日、存分に感傷に浸ったイーディスは渡せなかったネクタイとその日の大会のことを思い出していた。あの時は身分差があるから仕方ないとへこんでいたが、彼から向けられたのは魔だったのではないか? と仮定すると見え方が変わってくる。
聖母はイーディスを魔から守るために魔道書に隠したと魔王は言っていた。そしてリボンも魔を消費するためだったと。だがイーディスが魔を向けられていたのは後に魔道書となる本を所持していた学園内だけとは限らない。
「リガロ様が彼に向けられた魔を集めきれていない可能性があるってことか?」
「はい。とはいえ、あの時と違って今はメリーズ様とアルガ様がいらっしゃいますし、癒やしの力でカバー出来るとは思うのですが……念のためです」
他にも思い当たる節がない訳ではない。リガロがそっけなくなる前からご令嬢達から向けられていた嫉妬も魔であったとすれば……。考え出したらキリがない。だが向けられる対象が『イーディス』個人ではなく、癒やしの力でもどうにか出来ていないのなら早めに対処する必要はある。
「イーディスに敵意を向けたということは、相手は平民か?」
「ルームサービスを頼んだ時に来たスタッフなので、おそらく」
「個室へのサーブ担当か。その上、リガロ様を尊敬しているとなるとまだいる可能性はあるな。飲み物を頼む時は俺が入り口の所で受け取ることにして。測定中一人にするのは不安だな。かといって出歩かせる訳にも……そうだ、ローザ嬢を呼ぼう。ちょっと声かけてくるわ」
ローザが剣術大会の会場にいるということはつまり公務ということで、当然隣にはスチュワート王子がいるのだろう。ただでさえカルドレッドの仕事で二人の時間を奪っているのに、外でも急に呼び出すなんてそんな酷いことは出来ない。
「そこまでする必要は……」
バッカスを引き留めようと手を伸ばすが、彼の行動の方が早かった。無情に閉じられたドアはほんの数分で開けられる。
「バッカス様が席を外している時と言わず、大会中はずっとご一緒させて頂きますわ!」
満面の笑みを浮かべたローザによって。
敵意を向ける輩など私がこらしめてやります、と胸を叩くローザだが、その背後には悲壮感を漂わせた王子が佇んでいる。乙女ゲームとは違う道を歩んだ二人だが、ゲームシナリオとは別の障害が訪れているらしいことは見て取れる。ただその障害に関係する相手がイーディスかバッカスであることも分かってしまうので、見て見ぬフリをするしかない。
ローザはそれでは、と王子に小さく頭を下げるとパタンとドアを閉めた。彼はイーディス達に深く頭を下げたが、一度も口を開くことはなかった。
「綺麗ね~」
「プライベートビーチもあるが、行ってみるか?」
「いえ、ここからでも十分楽しめるから」
「そうか? 服や靴の心配をしているなら、ちゃんと砂浜に行く用に持ってきてるぞ?」
「いいの。今日は明日に向けて休もうかなって」
「なら何か温かい飲み物を用意してもらおう。待っていてくれ」
バッカスはそう告げると荷物を置いて、部屋の外へと繰り出した。
一人になったイーディスはバルコニーに用意された椅子に腰掛けた。このホテルは王都まで馬車で一刻と少し離れているが、真っ白な砂浜と青い海までは数歩で到着出来る。また新しいホテルではあるが王都にある有名ホテルの系列店で、最上級のサービスが得られる。飲み物だって本当はバッカスがもらいにいかずともホテルスタッフに頼めば持ってきてくれるのだ。
それでもバッカスが部屋を出たのはイーディスを一人にするためだろう。寝室は別に用意してあるとはいえ、警護の面から部屋は一緒。海を眺めるにも人の気配が近くにあってはゆっくり出来ないと思ったのだろう。イーディスは彼の好意に甘えることにした。
「なんでよりによってこの海なの……」
はぁっと深い息を吐きながら、両手で顔を覆う。疲れているのではない。こみ上げる涙を、今さらながらの後悔を自分なりに受け入れるためだ。
この海はリガロとの思い出の海、早朝に連れられたあの場所だった。あの時は眠気に負けたイーディスが座っていた場所はホテルの所有地となっている。一般の立ち入りは禁止されており、馬を走らせて~なんてことは出来なくなってしまった。ホテルや砂浜だけではない。ホテルが建ったことにより、周りにもポツポツと店が建っている。馬に乗りながら見た光景はすっかり変わってしまっている。十年以上も経てばそんなものだ。仕方ないことだと理解していても、寂しさはある。
またリガロと一緒に来たかった、なんて今さらながらの欲が沸き上がり、それと共に溢れ出す涙が頬を伝った。
「私ってなんでこんなに諦め悪いんだろう」
思い出になんて全然消化出来ていないじゃないか。もう他人でしかない彼を思って後何度泣けばいいのか。彼が新たな女性と共に歩き出した時、大泣きすれば枯れてくれるのだろうか。
ああ、辛い。苦しい。悲しい。愛おしい。
どんなに変わろうともこの場所にはリガロとの思い出が残っている。そして明日訪問予定の会場にも。だから友人達はシンドレアをイーディスから遠ざけようとしていた。だがイーディスはシンドレアにやってきたことを後悔はしていない。試合のチケットを取ってくれたバッカスにも感謝をしている。どんなに涙を流そうと、変わってしまったものと向き合いたいと思うから。
ひとしきり泣いたイーディスは洗面所で顔を洗い、化粧の落ちた自分と鏡越しに向き合う。目が少しだけ腫れた顔を両手で挟んだ。パチンっと大きな音がして、頬は赤く染まる。けれど涙は完全に引っ込んだ。
「今回シンドレアに来たのは視察のため。感傷に浸るためじゃないわ」
役目を果たせ、と自分に言い聞かせもう一度頬を叩いた。
それから戻ってきたバッカスから飲み物を受け取り、早めの夕食を取ってベッドに入る。
翌朝は早く起きて、馬車のまま王都をゆっくりと回る。そして会場に到着してからはバッカスにエスコートされ、個室へと向かう。確保したのが貴族や豪商が使用する個室ではなく、王族やVIPが使う部屋とは思わなかった。普通の席とは違い、一般席からも見ようと思えばイーディスの顔が見える。顔を売るには最適だが、事前に伝えておいて欲しかった。
「最後まで気が抜けないわね……」
「ガラスは外から見えないようにも出来るらしいから、大会が始まったら切り替えようと思っている」
「それなら大会はじっくり見ることが出来そうですね!」
「リガロ様以外にも注目の選手とかいるのか?」
「いいえ、見るのは客席の方。少し気になることがあるんです」
「気になること?」
「学生時代にもここに来たことがあるのですが、その時に敵意? みたいなものを向けられまして。それが『イーディス』に向けられたものであれば特に問題はないのですが、リガロ様への尊敬が歪んでいた場合、厄介だなと」
昨日、存分に感傷に浸ったイーディスは渡せなかったネクタイとその日の大会のことを思い出していた。あの時は身分差があるから仕方ないとへこんでいたが、彼から向けられたのは魔だったのではないか? と仮定すると見え方が変わってくる。
聖母はイーディスを魔から守るために魔道書に隠したと魔王は言っていた。そしてリボンも魔を消費するためだったと。だがイーディスが魔を向けられていたのは後に魔道書となる本を所持していた学園内だけとは限らない。
「リガロ様が彼に向けられた魔を集めきれていない可能性があるってことか?」
「はい。とはいえ、あの時と違って今はメリーズ様とアルガ様がいらっしゃいますし、癒やしの力でカバー出来るとは思うのですが……念のためです」
他にも思い当たる節がない訳ではない。リガロがそっけなくなる前からご令嬢達から向けられていた嫉妬も魔であったとすれば……。考え出したらキリがない。だが向けられる対象が『イーディス』個人ではなく、癒やしの力でもどうにか出来ていないのなら早めに対処する必要はある。
「イーディスに敵意を向けたということは、相手は平民か?」
「ルームサービスを頼んだ時に来たスタッフなので、おそらく」
「個室へのサーブ担当か。その上、リガロ様を尊敬しているとなるとまだいる可能性はあるな。飲み物を頼む時は俺が入り口の所で受け取ることにして。測定中一人にするのは不安だな。かといって出歩かせる訳にも……そうだ、ローザ嬢を呼ぼう。ちょっと声かけてくるわ」
ローザが剣術大会の会場にいるということはつまり公務ということで、当然隣にはスチュワート王子がいるのだろう。ただでさえカルドレッドの仕事で二人の時間を奪っているのに、外でも急に呼び出すなんてそんな酷いことは出来ない。
「そこまでする必要は……」
バッカスを引き留めようと手を伸ばすが、彼の行動の方が早かった。無情に閉じられたドアはほんの数分で開けられる。
「バッカス様が席を外している時と言わず、大会中はずっとご一緒させて頂きますわ!」
満面の笑みを浮かべたローザによって。
敵意を向ける輩など私がこらしめてやります、と胸を叩くローザだが、その背後には悲壮感を漂わせた王子が佇んでいる。乙女ゲームとは違う道を歩んだ二人だが、ゲームシナリオとは別の障害が訪れているらしいことは見て取れる。ただその障害に関係する相手がイーディスかバッカスであることも分かってしまうので、見て見ぬフリをするしかない。
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