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ほら、ほら、ホラーだね!
しおりを挟むゆうちゃんは、おばあちゃんの家に泊まりに来ていました。
古いおうちなので、歩くと廊下が鳴ります。
ふつうは、ぎしっ、ぎしっ。
でも、おばあちゃんの家の廊下は、少しちがう音がします。
ほらっ、ほらっ。
まるで、空気がぬけるみたいな音。
昼間は気になりません。
けれど夜、トイレに行こうとすると――
ほらっ、ほらっ。
まるで、だれかがささやいているみたい。
「……ほら」
え?
ゆうちゃんは、ぴたっと止まりました。
「ほら、ほら」
音にまじって、小さな声がします。
だれかいるの?
こわい。でも、ちょっと気になる。
ゆうちゃんは勇気を出して、そーっと声のするほうへ歩いていきました。
すると、突然ふすまが開いて、
「ほら、ほら、ホラーだね!」
……え?
ふすまのすきまから、おばあちゃんが、ぬうっと顔を出しました。
「なんだぁ!」
ゆうちゃんは、へなへなと座りこみました。
「ドキドキしたかい?」
「うん。ドキドキした~」
ふたりは、顔を見合わせて笑いました。
そのとき。
ほらっ。
……廊下が、小さく鳴りました。
「あら?」
おばあちゃんも止まります。
ほらっ、ほらっ。
今度は、さっきと反対から音がします。
ふすまの向こうに、白いかげが、すーっと通りました。
ゆうちゃんとおばあちゃんは、顔を見合わせます。
「……ねこ、だよね?」
「うち、ねこはいないよ」
「…………」
「ふふふ。ホラーだね」
ゆうちゃんは、おばあちゃんのようには笑えず、こわくてぎゅっと抱きつきました。
「今日は、おばあちゃんと一緒に寝ようね」
「…うん」
おばあちゃんは、やさしく抱きしめてくれました。
次の朝。
廊下に、小さな足あとが、ちょん、ちょん、ちょん。
おばあちゃんの家には、ねこはいません。
じゃあ、なんだろう……。
そしてその夜から、廊下はときどき――
ほらっ、ほらっ。
と鳴るのでした。
ほら、ほら、ホラーだね!
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