転生したら当て馬王子でした~絶対攻略される王太子の俺は、フラグを折って幸せになりたい~

HIROTOYUKI

文字の大きさ
35 / 196

チュート殿下 22 詠唱ってなんか厨二くさい……

しおりを挟む
 この世界の魔法には詠唱が必要だ。

 『ドキ恋』の中のミニゲームの、学園の魔法の実地演習編で、普段獣すらいないような王都近郊の森の中で、魔獣に出くわして攻撃魔法をぶっ放、というのがあった。チュート殿下(俺)以外の次作の攻略対象者それぞれの得意属性の攻撃魔法を、詠唱付きで放つシーンの全スチル、集めたことを思い出す。

 チュート殿下は得意なのが光と水属性なのだが、性格的に自主練とかするわけないから、レベルが低い。特に光属性はレベルが高くないと攻撃系の魔法は放てない。このシーンでは何とか水属性魔法の方で撃退するのだ。

 みんなそれぞれ、なんか大声で長々と詠唱した後、魔法名を叫んでいた。俺は見ることすら恥ずかしかったから、ゲーム時はミュートかけてた。姉鬼がゲームするときは、大音響で流すから、声はしっかり覚えているけど……。

 「詠唱……ヤダナ……」

 何と言っても厨二感満載だし。

 それに,『僕』は詠唱なんかしてなかったよ。それとも,鑑定には詠唱いらないの?元々。

「攻撃魔法は詠唱することがほとんどです。詠唱する方が魔力量を効率的に使うことができると言われています」
  
 駄々洩れの魔力を意識して抑えるために、キッチリと魔法のことを学ぶことから始めることになった。教本はリフルも使っていた初級学校のもの。教師役は、上級精霊の契約者でもあるマーシュ。

 10歳から使う教本で、まず字が読めるのか不安だったが。なんか、読めた……。 

 もしかしたら、よくある異世界特典もってるかもしれない。

「私が使う地属性の結界魔法などは、詠唱ではなく魔方陣を使うこともあります。魔導具は魔石に効果のある魔方陣を刻むことで稼働する道具のことです。この離宮にも数多くの魔導具がございます」

 電力の変わりが魔力。ゲームのなかでもいろいろな魔導具が出てきていたが、なぜか乗り物が馬車で、飛行機は存在がなく、個人的な通信機器スマホのようなものも、テレビもない。文化レベルは中世ヨーロッパ、何と言っても乙女ゲームの世界だから、ご都合主義もいっぱいの生活様式だ。

 不便なところは乙女の萌要素なんだろう。

 不都合なところは魔法で何とかしちゃうか、不都合とすら考えないかだ。

 だから、色々転生者ヒャッハーができる余地があるんだな。俺はヒャッハーする気はこれっぽちもないけど……。

 魔導具のことは、使う都度教えてもらうことにして、やっぱり詠唱に話は戻る。

 初級学校の教本にも、各属性の初級魔法の詠唱の台詞が書かれている。
 
 『我は乞う、火の精霊フォーコとの契約の元に、燃え盛れファイアアロー』

 【火属性の初級魔法 火のやを放つ レベル差は射程距離に強く現れる】

 俺が教本を読んでいると、その部分の補強をマーシュがしてくれる。

「詠唱で必ず必要なのは、契約している精霊の御名と使用する魔法の名前です。しかし、使える魔法まに自身のレベルが足りない場合、その魔法は発動致しません」

 もちろん、自分が契約できている精霊の属性魔法しか使うことはできない。これには生活魔法は含まれないらしい。何故かは……わかっていない。ただ昔からそうであって、使えるものは使えるのだから、原因を調べるまでもない、という考えらしい。

「以上のことから、通常生活魔法と呼ばれる、種火を付けたり、小さいライトを灯したり、魔導具を使用するために初めに流す魔力は、属性を問わないので誰でも、幼子でも使えますが、属性魔法は契約をしなければ使えない魔法であるので、通常契約できる10歳以降に使うことのできる魔法とされているのです」

 このことは研究されていて、過去の事例からも、例外はほぼ無いとされている通説らしい。 

 例外がここに居るけどな!

 詠唱も、全くしないつまり、無詠唱で発動せることができた例はないらしい。

 優秀な魔導士が短縮詠唱で発動した事例は残っているようだが、威力が落ちるため、よほどのことがないと、きっちり詠唱するのがこの世界の魔法の常識で、強い攻撃魔法を打てる魔法使いはあくまでも後衛、安全な後ろの方から魔法を打ち込む砲台の役目だそうだ。

「そこまで強い攻撃魔法を扱える者が少ないのです。ここ最近特に上級精霊と契約できる者が少なくなってしまったので」

 だから、超魔法使い以外は自分の身を守るための何か武器、剣とか槍とかを、訓練するのが常識だそうだ。

 そこで、思いっきり期待したまなざしでマーシュがを仰ぎ見る。ビバ!剣と魔法の世界‼
   
「貴族の男児は帯剣の儀を迎えた後から、武器を決めて練習を始めます。……あくまでも個人差がありますので……」

 ……俺はもやし君の中のもやし君だから、もう少し身体がしっかりしてきてから……ということになった。

 まぁ、仕方ないよね、まだ走れるかどうかもわからないし……。でも、約束できたし、楽しみだなぁ、どんな武器を遣おうか。
  
 俺は早速マーシュに、この世界の武器について書かれた本を見てみたいとお願いをした。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

転生したら最強種の竜人かよ~目立ちたくないので種族隠して学院へ通います~

ゆる弥
ファンタジー
強さをひた隠しにして学院の入学試験を受けるが、強すぎて隠し通せておらず、逆に目立ってしまう。 コイツは何かがおかしい。 本人は気が付かず隠しているが、周りは気付き始める。 目立ちたくないのに国の最高戦力に祭り上げられてしまう可哀想な男の話。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

悪役令息に転生したけど、静かな老後を送りたい!

えながゆうき
ファンタジー
 妹がやっていた乙女ゲームの世界に転生し、自分がゲームの中の悪役令息であり、魔王フラグ持ちであることに気がついたシリウス。しかし、乙女ゲームに興味がなかった事が仇となり、断片的にしかゲームの内容が分からない!わずかな記憶を頼りに魔王フラグをへし折って、静かな老後を送りたい!  剣と魔法のファンタジー世界で、精一杯、悪足搔きさせていただきます!

お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~

志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」 この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。 父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。 ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。 今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。 その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

処理中です...