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チュート殿下 23 8歳になりました!
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『俺』が目覚めて『僕』と一つになり、新生の俺が爆誕してから、ゆるゆると月日は流れて、3年。つまり、帯剣の儀暗殺未遂事件から、3年たって8歳になったということだ。
結局あの時の犯人も、俺の社交界?デビューもうやむやになって、この離宮にこもって3年ということだ。
身体は相変わらず小さいサイズのままだ。元の世界の年齢の時を思い出しても大きくないのに、この世界の人間はすべからくサイズが大きいように思える。
つまり、非常にちんまいサイズだということだ。ゲームでは小さいことはなかったと記憶しているから、心配することはないと思う、このことに関しては……。
とにかく、ここは『剣と魔法の……』であるわけであるし、将来の俺は帯剣していた、と思うし、きっと剣は使えていると思うから、武器を使えるようになることに拘った。
でも、無かったんだよね~この身体で扱える武器が……。子供サイズにしても難しかった。スチルにあったあの腰に差したものは何だったのか。模造刀?この世界にも身体強化魔法とかあるのかな?
魔力の制御に関しては、いっぱい頑張った。『僕』ができていたことができなくなっていたので、このことにチートは働かないのか心配していたのだ。
無詠唱にもこだわったから、少し時間がかかったけど、上級精霊と契約しているマーシュからもお墨付きがもらえるほど上手に操れるようだ。唱えないけど詠唱のセリフは全部覚えたよ、偽装するためにも。
でも、どうも俺の使う魔法はこの世界にある普通の魔法とは色々と違っちゃってるようなのだ。詠唱通りの魔法が出ないらしい、威力とか形とか効果とか……。第一にこの年齢で魔法を行使すること自体おかしいことなので、この離宮の中でもマーシュとリフル以外の前で使うことは禁止。
それに、この世界で確認されている全ての属性の魔法を使える、みたい……。というか、この世界の属性では考えられないような魔法も使えるようなので、はっきりと言えないようだ。
簡単に言えば、俺が想像したことを、スキル君がなんかして、魔法を創造してくれるので、こっちの形に当てはめようとすると、そのようなことはできないよということになるらしい。
でも、やはり得意なのはこっちでいうところの光属性のもののようで、治療系のものは、自分に対して意識しないで使っているようだ。(なのになぜ、成長促進魔法を自分にかけていないのだろうか……解せぬ……)
隠蔽系も得意になった。隠して化けるの。髪の色や目の色も息をするように変えられるようになったよ。
この世界では、魔力の有り無しとか強さ、属性が何かとかが、髪の毛や瞳の色で判断されるので、体に関する色を変える魔法は存在してないそうだ。魔法だけでなく、髪を染めるとか、カラコンを入れるとかも無い。
だけど、できちゃった。
今も俺は髪も目も茶色に見えるように偽装している。この離宮に全く人が訪ねてこないこともないからね。
今日も今日とて離宮の中庭で、自分なりのストレッチなんかしている。
この前、「何の踊りをしていらっしゃるのですか?」と、真顔のリフルに聞かれたけどな。
走り込みもしたいけど、そこまでこの離宮は広くないし、建物の裏側に回ることを侍従たちが嫌がるから、この日の当たる中庭でできることをすることにしたのだ。
魔法に関しては、どの魔法も発動は離宮の地下に作られた訓練場でのみ許されている。
この離宮の結界は結構すごい代物らしいのだが、魔力察知能力の高い人には感づかれる可能性もあるということで、地下でこそっと行うことになっている。
魔法を使っているときは、隠蔽魔法が解かれてしまうので、どの道隠れて行うしかないのだけどね。
魔法にしても剣術もどきにしても、訓練や練習のみで実践は全くできないので、自分の実力がどのくらいのものなのか全く分からない。
学校に行くのも、ギルドに登録して冒険者になるのも、とにかくこの国では10歳の精霊契約の儀式が終わらないと始まらないのだ。
平民に関してはこのような取り決めはなく、家の事情で7歳くらいになればなにがしかの奉公に出る者も少なくないらしい。
そのような話を、座学の途中リフルから聞いたので
「じゃあ、平民の振りをしてギルドに登録したら実践もできるかも」
と、聞いてみたが
「ギルドの登録に年齢制限は無かったので、行けると言えば行けるかもしれませんけど……」
何とも歯切れの悪い返事しか帰ってこない。
もっと強く聞いてみたら、イヤイヤリフルが答えてくれた所には
「一応暗黙の了解として、登録年齢の最年少は8歳以上となっていますし、年齢の制限はなくとも、身長の規定はあったと……」
なんですと⁉
「種族によって違いますが、人族は130㎝はなければいけなかったと……」
「へっ……⁈」
リフルのこの一言に、引っかかることがたくさんありすぎて、プチパニック!
長さの単位はやっぱり日本製の……だとか、普通8歳で130㎝以上あるってことだとか……。
「種族ってなに?」
『ドキ恋』に人間以外全く出てこなかったから、この世界が剣と魔法の国だとしても、そこまでファンタジーだと思ってなかったよ⁈
「あぁ、殿下はまだそこまでお勉強してませんでしたか」
うんうんと頷きながら、リフルは得意げに自分の知識を披露してくれた。
「この国は人族の王様で貴族に人族以外いないので、この王都でほかの種族の方を見かけることはほぼ無いですが、この国に全くほかの種族の方が住んでいないわけでもありませんよ」
この国のミスリル鉱山にはドワーフ族が少なからず住み着いているし、隣の国との境に広々と横たわる森にはエルフも暮らしているということだ。獣人は定住している者がほぼいないらしい。
「ファンタジー……」
俺は身長のことは忘れて、まだ見ぬファンタジーの住人に思いをはせるのだった。
結局あの時の犯人も、俺の社交界?デビューもうやむやになって、この離宮にこもって3年ということだ。
身体は相変わらず小さいサイズのままだ。元の世界の年齢の時を思い出しても大きくないのに、この世界の人間はすべからくサイズが大きいように思える。
つまり、非常にちんまいサイズだということだ。ゲームでは小さいことはなかったと記憶しているから、心配することはないと思う、このことに関しては……。
とにかく、ここは『剣と魔法の……』であるわけであるし、将来の俺は帯剣していた、と思うし、きっと剣は使えていると思うから、武器を使えるようになることに拘った。
でも、無かったんだよね~この身体で扱える武器が……。子供サイズにしても難しかった。スチルにあったあの腰に差したものは何だったのか。模造刀?この世界にも身体強化魔法とかあるのかな?
魔力の制御に関しては、いっぱい頑張った。『僕』ができていたことができなくなっていたので、このことにチートは働かないのか心配していたのだ。
無詠唱にもこだわったから、少し時間がかかったけど、上級精霊と契約しているマーシュからもお墨付きがもらえるほど上手に操れるようだ。唱えないけど詠唱のセリフは全部覚えたよ、偽装するためにも。
でも、どうも俺の使う魔法はこの世界にある普通の魔法とは色々と違っちゃってるようなのだ。詠唱通りの魔法が出ないらしい、威力とか形とか効果とか……。第一にこの年齢で魔法を行使すること自体おかしいことなので、この離宮の中でもマーシュとリフル以外の前で使うことは禁止。
それに、この世界で確認されている全ての属性の魔法を使える、みたい……。というか、この世界の属性では考えられないような魔法も使えるようなので、はっきりと言えないようだ。
簡単に言えば、俺が想像したことを、スキル君がなんかして、魔法を創造してくれるので、こっちの形に当てはめようとすると、そのようなことはできないよということになるらしい。
でも、やはり得意なのはこっちでいうところの光属性のもののようで、治療系のものは、自分に対して意識しないで使っているようだ。(なのになぜ、成長促進魔法を自分にかけていないのだろうか……解せぬ……)
隠蔽系も得意になった。隠して化けるの。髪の色や目の色も息をするように変えられるようになったよ。
この世界では、魔力の有り無しとか強さ、属性が何かとかが、髪の毛や瞳の色で判断されるので、体に関する色を変える魔法は存在してないそうだ。魔法だけでなく、髪を染めるとか、カラコンを入れるとかも無い。
だけど、できちゃった。
今も俺は髪も目も茶色に見えるように偽装している。この離宮に全く人が訪ねてこないこともないからね。
今日も今日とて離宮の中庭で、自分なりのストレッチなんかしている。
この前、「何の踊りをしていらっしゃるのですか?」と、真顔のリフルに聞かれたけどな。
走り込みもしたいけど、そこまでこの離宮は広くないし、建物の裏側に回ることを侍従たちが嫌がるから、この日の当たる中庭でできることをすることにしたのだ。
魔法に関しては、どの魔法も発動は離宮の地下に作られた訓練場でのみ許されている。
この離宮の結界は結構すごい代物らしいのだが、魔力察知能力の高い人には感づかれる可能性もあるということで、地下でこそっと行うことになっている。
魔法を使っているときは、隠蔽魔法が解かれてしまうので、どの道隠れて行うしかないのだけどね。
魔法にしても剣術もどきにしても、訓練や練習のみで実践は全くできないので、自分の実力がどのくらいのものなのか全く分からない。
学校に行くのも、ギルドに登録して冒険者になるのも、とにかくこの国では10歳の精霊契約の儀式が終わらないと始まらないのだ。
平民に関してはこのような取り決めはなく、家の事情で7歳くらいになればなにがしかの奉公に出る者も少なくないらしい。
そのような話を、座学の途中リフルから聞いたので
「じゃあ、平民の振りをしてギルドに登録したら実践もできるかも」
と、聞いてみたが
「ギルドの登録に年齢制限は無かったので、行けると言えば行けるかもしれませんけど……」
何とも歯切れの悪い返事しか帰ってこない。
もっと強く聞いてみたら、イヤイヤリフルが答えてくれた所には
「一応暗黙の了解として、登録年齢の最年少は8歳以上となっていますし、年齢の制限はなくとも、身長の規定はあったと……」
なんですと⁉
「種族によって違いますが、人族は130㎝はなければいけなかったと……」
「へっ……⁈」
リフルのこの一言に、引っかかることがたくさんありすぎて、プチパニック!
長さの単位はやっぱり日本製の……だとか、普通8歳で130㎝以上あるってことだとか……。
「種族ってなに?」
『ドキ恋』に人間以外全く出てこなかったから、この世界が剣と魔法の国だとしても、そこまでファンタジーだと思ってなかったよ⁈
「あぁ、殿下はまだそこまでお勉強してませんでしたか」
うんうんと頷きながら、リフルは得意げに自分の知識を披露してくれた。
「この国は人族の王様で貴族に人族以外いないので、この王都でほかの種族の方を見かけることはほぼ無いですが、この国に全くほかの種族の方が住んでいないわけでもありませんよ」
この国のミスリル鉱山にはドワーフ族が少なからず住み着いているし、隣の国との境に広々と横たわる森にはエルフも暮らしているということだ。獣人は定住している者がほぼいないらしい。
「ファンタジー……」
俺は身長のことは忘れて、まだ見ぬファンタジーの住人に思いをはせるのだった。
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