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チュート殿下 105 生徒総会 6
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音声多重を聞き取るのは結構大変だ。昔もあまり副音声を聞く方ではなかったから、これは訓練が必要かもしれない……が、結構面白いことも聞けたな。
俺のことを勧誘する担当になってしまった侯爵子息は、初級学校の時のことで、俺が生徒会というものに非常なアレルギーを持っていることを知っていたから、きっとそのことを異母兄に伝えていたのだろう、他の役員が何度も二人きりで話しているのを目撃しているみたいだし……。
でも、結局俺のことを役員にするという流れは変わらず、彼は匙を投げたんだろうなぁ。今日この場に来ていないというのがそのことを如実に表している。
学園長の方は……きっとわかっていて、あえて指摘することはせずそのまま流したのだろう。今だって、あくまでもオブザーバーの形を貫いているとでも言っているかのように、何のリアクションも取っていない。
驚くでも、仲裁するでもなく、ただそこに座っていることが、そうだと言っているのと同じだ。
きっと説明を求めても、先ほど誰かが考えていたように、「生徒会のことは生徒間で解決するように」とか言って、傍観するに決まっているのだ、このことに関しては学校側に何のうまみもないからな。
表の生徒総会の進行は、準役員扱いの委員会の説明に入っている。
委員会もすべて生徒会の下部組織として存在し、生徒会主催の催し物において、一番適していると考えられる部署が中心となって催し物を運営していく、ということは説明しないで、おいしそうな事だけ説明している。
何でそんなことがわかるのか。それはさっきと同じ、キールが副音声を届けてくれるから。
各委員会の委員長たちも、自分の委員会の有意性を説明しながら、心の中では「でも結局は生徒会の下僕だけどね」という心の叫びが聞こえてくるのです。
この委員会の委員長達に上位の貴族はいない模様。
何と言っても各学年で基本四人が役付きで、その補佐として一人ずつつけることができるので、合計八人前後の人数が生徒会役員になれるだけで、それ以外の上位貴族はなにかの役につくということは無いようだ。
頭脳としての生徒会役員以外の委員会と呼ばれる部署、それこそ実働部隊として手足となって働く者たちの長はほとんどが下級貴族だ。
元々平民出身でこの学園に通うことができる者は極少数であるが、その少数の平民はただ貴族で魔力があるからと入園してきた者達よりも余程優秀であることは考えるまでもないこと。しかしその優秀な平民出身者は役員はもちろんのこと、委員会の長の中にも一人も該当者はいない。
委員会はただの生徒会の手足であるが、その手足の長で在ろうとも長と名の付くものには、平民をつけることは決してないのだ。
いろいろな心の声を聞かせてくれるキールであるが、基本的に俺のことで俺自身が不快になるような心の声は聴かせることは無い。余程俺の命にかかわるようなことは別にして。
だからなのか、壇上の中央でこちらの方に視線を向けて薄笑いを浮かべたような表情を固めたままの異母兄の心の声を聴かせてくれることは決して無かった。
『まぁ、複雑な立場に置かれている奴の心の中も複雑⁉』
キールはその言葉を聞かせるのみで、それから全く異母兄のことに対して触れることは無かった。
これから学園で過ごす上で、知っていなければならないが、俺自身としては決して関係を持ちたくない生徒会とその他諸々の委員会などの説明が終わったところで、第一回目の生徒総会が終わった。
今日の一年生のプログラムもこれで終了のようで、この場で解散となったのだった。
壇上の中央から睨みつけるような視線を感じながら、講堂から退場する時を待つ。あまりゆっくりとしていると、あきらめきれていない様子の生徒会役員の誰かに引き留められそうな気がしてならない。
それほど背後から感じる気配には剣吞なものが含まれている。
もう解散になったのだから、何もこのクラスの退出を待つことなく外に出てしまおうか。
結局掛けたままの認識阻害を強くして、脱出することに決めた。
どうせ誰も認識阻害を破ることもできないのだから、追うことはできないだろう……。
俺のことを勧誘する担当になってしまった侯爵子息は、初級学校の時のことで、俺が生徒会というものに非常なアレルギーを持っていることを知っていたから、きっとそのことを異母兄に伝えていたのだろう、他の役員が何度も二人きりで話しているのを目撃しているみたいだし……。
でも、結局俺のことを役員にするという流れは変わらず、彼は匙を投げたんだろうなぁ。今日この場に来ていないというのがそのことを如実に表している。
学園長の方は……きっとわかっていて、あえて指摘することはせずそのまま流したのだろう。今だって、あくまでもオブザーバーの形を貫いているとでも言っているかのように、何のリアクションも取っていない。
驚くでも、仲裁するでもなく、ただそこに座っていることが、そうだと言っているのと同じだ。
きっと説明を求めても、先ほど誰かが考えていたように、「生徒会のことは生徒間で解決するように」とか言って、傍観するに決まっているのだ、このことに関しては学校側に何のうまみもないからな。
表の生徒総会の進行は、準役員扱いの委員会の説明に入っている。
委員会もすべて生徒会の下部組織として存在し、生徒会主催の催し物において、一番適していると考えられる部署が中心となって催し物を運営していく、ということは説明しないで、おいしそうな事だけ説明している。
何でそんなことがわかるのか。それはさっきと同じ、キールが副音声を届けてくれるから。
各委員会の委員長たちも、自分の委員会の有意性を説明しながら、心の中では「でも結局は生徒会の下僕だけどね」という心の叫びが聞こえてくるのです。
この委員会の委員長達に上位の貴族はいない模様。
何と言っても各学年で基本四人が役付きで、その補佐として一人ずつつけることができるので、合計八人前後の人数が生徒会役員になれるだけで、それ以外の上位貴族はなにかの役につくということは無いようだ。
頭脳としての生徒会役員以外の委員会と呼ばれる部署、それこそ実働部隊として手足となって働く者たちの長はほとんどが下級貴族だ。
元々平民出身でこの学園に通うことができる者は極少数であるが、その少数の平民はただ貴族で魔力があるからと入園してきた者達よりも余程優秀であることは考えるまでもないこと。しかしその優秀な平民出身者は役員はもちろんのこと、委員会の長の中にも一人も該当者はいない。
委員会はただの生徒会の手足であるが、その手足の長で在ろうとも長と名の付くものには、平民をつけることは決してないのだ。
いろいろな心の声を聞かせてくれるキールであるが、基本的に俺のことで俺自身が不快になるような心の声は聴かせることは無い。余程俺の命にかかわるようなことは別にして。
だからなのか、壇上の中央でこちらの方に視線を向けて薄笑いを浮かべたような表情を固めたままの異母兄の心の声を聴かせてくれることは決して無かった。
『まぁ、複雑な立場に置かれている奴の心の中も複雑⁉』
キールはその言葉を聞かせるのみで、それから全く異母兄のことに対して触れることは無かった。
これから学園で過ごす上で、知っていなければならないが、俺自身としては決して関係を持ちたくない生徒会とその他諸々の委員会などの説明が終わったところで、第一回目の生徒総会が終わった。
今日の一年生のプログラムもこれで終了のようで、この場で解散となったのだった。
壇上の中央から睨みつけるような視線を感じながら、講堂から退場する時を待つ。あまりゆっくりとしていると、あきらめきれていない様子の生徒会役員の誰かに引き留められそうな気がしてならない。
それほど背後から感じる気配には剣吞なものが含まれている。
もう解散になったのだから、何もこのクラスの退出を待つことなく外に出てしまおうか。
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どうせ誰も認識阻害を破ることもできないのだから、追うことはできないだろう……。
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