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チュート殿下 119 この世界の理に 7
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「ただ……一般的な人間としてこの国の物語に認識されている以上、一スキルとして認識されていた時よりも行使できる能力に制限がかかっている、という心配はあります。まだ試していないのではっきり断言はできませんが……」
あの国ではその理に存在自体を認められていなかった代わりに、その理にとらわれないという特典?のようなものが働いていたらしく、俺自身『キールって全能⁈』と思ったことも少なくなかったことを思い出していた。
「存在を認めないという、あちら側からすれば弊害ですかね。何でもできたけれど、直接的にはあの国の人間に手出しをすることはできなかった。その点は如何ともし難くて私としては歯がゆいだけでしたけど……」
実力行使ができたらどうなっていたかわからない発言に、背中の方が少し寒くなったが、確かにキールができたことは隠密的な情報収集とか、俺に関係しての結界防御が主であった。
「私が直接何かをしても、きっとそれは無かったことになるか、殿下が行ったことになったと思うのですが、殿下は殿下の役割があって、その役割をあの伯爵王子にさせたとしても、今度は伯爵王子の役を踊る人間がいるわけで……そのジレンマに右往左往している神?の姿を想像するのも面白いですけど……」
そのキールの言葉を聞いて、まだ一日経っていないが俺の居なくなった離宮のことを思った。
何と言っても俺の敵はあの国の理を操る神?だ。俺の所為で国に残っているマーシュたちに何か不都合な事が起りはしないか心配になった。
俺の心の動きが筒抜けのキールは、俺の生乾きの髪の毛に手をかざすと、火と風の混合魔法で髪の毛をあっという間に乾かして、そのまま頭を撫ぜた。
「大丈夫ですよ。あの私が施した結界の中は、所謂治外法権。この世界のどの神様であっても干渉できない空間になっています。干渉できないというか認識できない空間です」
胸を張っているように見えるのは目の錯覚ではないだろう。
「認識できないことが認識できない空間です」
どや顔もイケメンかよ!
何で俺のスキルであるはずのキールが本体よりもハイスペックなの、何もかも!
「まだこの世界の深淵にたどり着いていない時点で確かなことは言えませんが、これまでのことを総合的に判断するに、この世界の神様よりも、元の世界、つまり地球の理、地球の神様の方が格が上ということですよ。それも随分と」
俺にはわからないが、とにかくこの世界も地球の世界もそれぞれの理というものが存在していて、ある程度の自由の中でそれぞれの世界が形作られているらしいのだが、それらすべてをひっくるめての一番基準となる理、その理をこの世界の神が破った末にある存在が俺であるらしい。
「前世の記憶を持っているということ?」
促されるままベッドに横になり、いつものようにまるで従者のように世話をするキールの顔を下から仰ぎ見ながら問いかける。
「それは一つのカギに過ぎないのではないかと考えます。前世云々はアーク殿下だけではなく、あのお花畑もその様子がうかがわれますからね」
キールも少し考えるように言葉を紡ぐ。
確かに。あの自称ヒロインはよくある電波だ。あの世界が乙女ゲームがもとになっていることを知っていると考えなければ説明できないような行動ばかりとっている。
「その辺はよくわかりませんが、とにかく貴方は地球の神様のような存在に、この世界でいう加護のようなものを授けられていることは間違いないでしょう。何と言ってもその加護のようなものの具現化されたのが、私と言えるようなのですから」
何か、さらっとすごく大切なことを聞かされたような気がするが、その時にはもう俺の意識は夢の中に半分以上足を突っ込んでいたようで、ヒロイン以降の話は耳の中を通り過ぎていっただけだったのだから……。
あの国ではその理に存在自体を認められていなかった代わりに、その理にとらわれないという特典?のようなものが働いていたらしく、俺自身『キールって全能⁈』と思ったことも少なくなかったことを思い出していた。
「存在を認めないという、あちら側からすれば弊害ですかね。何でもできたけれど、直接的にはあの国の人間に手出しをすることはできなかった。その点は如何ともし難くて私としては歯がゆいだけでしたけど……」
実力行使ができたらどうなっていたかわからない発言に、背中の方が少し寒くなったが、確かにキールができたことは隠密的な情報収集とか、俺に関係しての結界防御が主であった。
「私が直接何かをしても、きっとそれは無かったことになるか、殿下が行ったことになったと思うのですが、殿下は殿下の役割があって、その役割をあの伯爵王子にさせたとしても、今度は伯爵王子の役を踊る人間がいるわけで……そのジレンマに右往左往している神?の姿を想像するのも面白いですけど……」
そのキールの言葉を聞いて、まだ一日経っていないが俺の居なくなった離宮のことを思った。
何と言っても俺の敵はあの国の理を操る神?だ。俺の所為で国に残っているマーシュたちに何か不都合な事が起りはしないか心配になった。
俺の心の動きが筒抜けのキールは、俺の生乾きの髪の毛に手をかざすと、火と風の混合魔法で髪の毛をあっという間に乾かして、そのまま頭を撫ぜた。
「大丈夫ですよ。あの私が施した結界の中は、所謂治外法権。この世界のどの神様であっても干渉できない空間になっています。干渉できないというか認識できない空間です」
胸を張っているように見えるのは目の錯覚ではないだろう。
「認識できないことが認識できない空間です」
どや顔もイケメンかよ!
何で俺のスキルであるはずのキールが本体よりもハイスペックなの、何もかも!
「まだこの世界の深淵にたどり着いていない時点で確かなことは言えませんが、これまでのことを総合的に判断するに、この世界の神様よりも、元の世界、つまり地球の理、地球の神様の方が格が上ということですよ。それも随分と」
俺にはわからないが、とにかくこの世界も地球の世界もそれぞれの理というものが存在していて、ある程度の自由の中でそれぞれの世界が形作られているらしいのだが、それらすべてをひっくるめての一番基準となる理、その理をこの世界の神が破った末にある存在が俺であるらしい。
「前世の記憶を持っているということ?」
促されるままベッドに横になり、いつものようにまるで従者のように世話をするキールの顔を下から仰ぎ見ながら問いかける。
「それは一つのカギに過ぎないのではないかと考えます。前世云々はアーク殿下だけではなく、あのお花畑もその様子がうかがわれますからね」
キールも少し考えるように言葉を紡ぐ。
確かに。あの自称ヒロインはよくある電波だ。あの世界が乙女ゲームがもとになっていることを知っていると考えなければ説明できないような行動ばかりとっている。
「その辺はよくわかりませんが、とにかく貴方は地球の神様のような存在に、この世界でいう加護のようなものを授けられていることは間違いないでしょう。何と言ってもその加護のようなものの具現化されたのが、私と言えるようなのですから」
何か、さらっとすごく大切なことを聞かされたような気がするが、その時にはもう俺の意識は夢の中に半分以上足を突っ込んでいたようで、ヒロイン以降の話は耳の中を通り過ぎていっただけだったのだから……。
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