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クリフ・マークィス・ゲイル 6
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とても尊敬している宰相である父であるが、何故か王家絡みのことに関しては、発言が時々違っていたりするので信用していない。
と言うのか、私も含めて王家のことに関しては辻褄が合わなくても不思議に思わないことが多々発生する事に、毎日の日記から気付いてしまったのだ。
それは王都に長く居ればいるほど顕著になることも……。
尊敬して畏怖していた侯爵であり宰相である父の、信じられない発言と行動から、私は自分自身を信じることができずに起こした行動であったが、それは自分の方が正しくて、父達、王都に住む人々の方が間違っていると言う結果だった。
はっきりとは確かめていないが、王都に留まる事を殊の外嫌がる妹には、きっと私も知らない何かがあるのだろうと、この頃強く思う。
そして、妹の精霊契約が終わり、初級学校に進む準備などで、それなりに広い屋敷の中でもバタバタソワソワとした雰囲気が漂うなか、久し振りに屋敷の中で顔を合わせた父に、初級学校においてアースクエイク殿下と接触し懐柔する事を命ぜられたのだ。
今まで、この国には殿下は一人きりだと言い切っていた宰相が、その事に何の疑問も無いような顔で命じてきた。
「この度入園される殿下に接触し、生徒会に勧誘し、その人となりを把握せよ」
この国では貴族として生きていく上で、王立学園を卒業することが最低限必要であると考えられている。
王立学園には魔法を使えることが必須であるが、貴族であっても早々上位の精霊と契約できるものは稀で、下位の精霊であっても契約できれば一応貴族としての面子は保てるといったところ。
精霊魔法が使えなくても、現在使われている魔道具は魔石を燃料とし使いこなせるので、普段の生活の上では魔法が使えないことで不自由することはない。
魔石はこの世界に存在している動物の中で、何故か魔力を持っている魔獣の心臓の中に存在するものとして知られる。
人間にも同じことが言えるらしく、魔力を持つ者の心臓の中には魔石が存在しているそうだ。
私もそれなりに魔力があり、強い精霊と契約を結ぶことができたから、この心臓に魔石が存在するのかもしれない。
ただし、ただ魔力が多いだけではなく、魔法を使いこなせるような、所謂大魔法師と呼ばれる方ではなければ、目視できるような魔石は存在しないらしい。
この国ではない、英雄が建国したと言われる国には、その英雄王の残された魔石が至宝として祭壇に祀られていると聞く。
「……」
考えたくなくて意識が少し逸れたが、折しも今日の昼、初等学園で、次期生徒会役員を指名するための会議を、学園長も参加されて行ってきたばかりだったのだ。
いきなり現れた王子に混乱するはずが、誰もが混乱することなく会議が進んだ事に、実はその時顔に出さないようにするのが精一杯だったくらい驚いていた。
新1年生は仕方がないと思う、きっと家の中で関わりがなければ早々王族の話が出ることも無い。しかし、私と同じ2年生はこの前まで伯爵殿下と関わりを持ち、彼が唯一の王位継承権を持つ者として対応していたのだ。
背中を何かを這うような、気持ちが悪い思いが会議中ずっとしていた。
王都に出て来てからの違和感と戦った日々。
そうだ、今まで気づかなかったが、妹が精霊契約を成し得たその時から、アースクエイク殿下の存在が頭の中から消えて無くなることが無くなった……?
私が気持ちが悪い思いを耐えている間も会議は続き、当然のようにアースクエイク殿下の名前は次期役員候補の名簿の一番上に載せられていたのだった。
初級学園は貴族が通う義務はないが、通うものが当たり前と捉えられている、ちなみに平民は通えない。
ごく稀に、平民で精霊契約を結べる者がいるが、それらの者は神殿の中にある学び舎と呼ばれるところで一般的なマナーとともに魔法についても学ぶと言われている。
その中のほんの一握りの高度魔法を扱える資格が生まれた者が、王立学園に特待生として通ったり、貴族の養子となって通ったりするらしいのだ。
だから、ほとんどの 魔法が使える平民は神殿でそのまま、適した役職に就くものが大概であると聞く。
神殿が究極に求めているのは、治癒、治療の高度な魔法で、それは水の精霊魔法の究極で有り、より強いものはそれに特化していると考えられる光の精霊魔法となるのだが、それは王家血筋を引く者にしか発現しないと考えられている。
「……」
その王家の特徴の金を、現陛下よりもより鮮やかに纏っている殿下が私の目の前に一人で座っていた。
殿下との接触は、生徒会長としてだけではなく、父からの密命をも受けていたが、その殿下との接触は殿下が学校生活に慣れてからと言う事もあり、のびのびになっていたのだ。
殿下との接触、それは学園長からの授業中の呼び出しから唐突に突然始まったのだった。
と言うのか、私も含めて王家のことに関しては辻褄が合わなくても不思議に思わないことが多々発生する事に、毎日の日記から気付いてしまったのだ。
それは王都に長く居ればいるほど顕著になることも……。
尊敬して畏怖していた侯爵であり宰相である父の、信じられない発言と行動から、私は自分自身を信じることができずに起こした行動であったが、それは自分の方が正しくて、父達、王都に住む人々の方が間違っていると言う結果だった。
はっきりとは確かめていないが、王都に留まる事を殊の外嫌がる妹には、きっと私も知らない何かがあるのだろうと、この頃強く思う。
そして、妹の精霊契約が終わり、初級学校に進む準備などで、それなりに広い屋敷の中でもバタバタソワソワとした雰囲気が漂うなか、久し振りに屋敷の中で顔を合わせた父に、初級学校においてアースクエイク殿下と接触し懐柔する事を命ぜられたのだ。
今まで、この国には殿下は一人きりだと言い切っていた宰相が、その事に何の疑問も無いような顔で命じてきた。
「この度入園される殿下に接触し、生徒会に勧誘し、その人となりを把握せよ」
この国では貴族として生きていく上で、王立学園を卒業することが最低限必要であると考えられている。
王立学園には魔法を使えることが必須であるが、貴族であっても早々上位の精霊と契約できるものは稀で、下位の精霊であっても契約できれば一応貴族としての面子は保てるといったところ。
精霊魔法が使えなくても、現在使われている魔道具は魔石を燃料とし使いこなせるので、普段の生活の上では魔法が使えないことで不自由することはない。
魔石はこの世界に存在している動物の中で、何故か魔力を持っている魔獣の心臓の中に存在するものとして知られる。
人間にも同じことが言えるらしく、魔力を持つ者の心臓の中には魔石が存在しているそうだ。
私もそれなりに魔力があり、強い精霊と契約を結ぶことができたから、この心臓に魔石が存在するのかもしれない。
ただし、ただ魔力が多いだけではなく、魔法を使いこなせるような、所謂大魔法師と呼ばれる方ではなければ、目視できるような魔石は存在しないらしい。
この国ではない、英雄が建国したと言われる国には、その英雄王の残された魔石が至宝として祭壇に祀られていると聞く。
「……」
考えたくなくて意識が少し逸れたが、折しも今日の昼、初等学園で、次期生徒会役員を指名するための会議を、学園長も参加されて行ってきたばかりだったのだ。
いきなり現れた王子に混乱するはずが、誰もが混乱することなく会議が進んだ事に、実はその時顔に出さないようにするのが精一杯だったくらい驚いていた。
新1年生は仕方がないと思う、きっと家の中で関わりがなければ早々王族の話が出ることも無い。しかし、私と同じ2年生はこの前まで伯爵殿下と関わりを持ち、彼が唯一の王位継承権を持つ者として対応していたのだ。
背中を何かを這うような、気持ちが悪い思いが会議中ずっとしていた。
王都に出て来てからの違和感と戦った日々。
そうだ、今まで気づかなかったが、妹が精霊契約を成し得たその時から、アースクエイク殿下の存在が頭の中から消えて無くなることが無くなった……?
私が気持ちが悪い思いを耐えている間も会議は続き、当然のようにアースクエイク殿下の名前は次期役員候補の名簿の一番上に載せられていたのだった。
初級学園は貴族が通う義務はないが、通うものが当たり前と捉えられている、ちなみに平民は通えない。
ごく稀に、平民で精霊契約を結べる者がいるが、それらの者は神殿の中にある学び舎と呼ばれるところで一般的なマナーとともに魔法についても学ぶと言われている。
その中のほんの一握りの高度魔法を扱える資格が生まれた者が、王立学園に特待生として通ったり、貴族の養子となって通ったりするらしいのだ。
だから、ほとんどの 魔法が使える平民は神殿でそのまま、適した役職に就くものが大概であると聞く。
神殿が究極に求めているのは、治癒、治療の高度な魔法で、それは水の精霊魔法の究極で有り、より強いものはそれに特化していると考えられる光の精霊魔法となるのだが、それは王家血筋を引く者にしか発現しないと考えられている。
「……」
その王家の特徴の金を、現陛下よりもより鮮やかに纏っている殿下が私の目の前に一人で座っていた。
殿下との接触は、生徒会長としてだけではなく、父からの密命をも受けていたが、その殿下との接触は殿下が学校生活に慣れてからと言う事もあり、のびのびになっていたのだ。
殿下との接触、それは学園長からの授業中の呼び出しから唐突に突然始まったのだった。
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