シスターもどきは諦めが悪い

夜ノポテ人

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想像以上に…

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バイトが始まって2時間が経過し最初のチャイムが鳴った。やっと休憩…。

最初はどのくらいの力で容器を握ればいいのか、具材の量は丁度いいのかなど、戸惑う事もあったけど…何かあれば責任者が言ってくるに違いないと考え気にせず作業を続けた。

頭を使うことがない単純作業…。おにぎりが流れてきたら注入…おにぎりが流れてきたら注入…の繰り返し。作業中は人と関わる事が無いから人間関係でのトラブルが無いのは結構良いような気がする。でも、反面やりがいや面白味は無い。ただ、時間がくるまで一連の動作を繰り返すだけ。

予想通りさっそく腕が怠くなってきた。具材の容器が重い。持っているだけで疲れる。具材を出すのも必要以上に握力がいるわけじゃないけど、何度も握る・開くを繰り返すと疲労してくる。…これは想像以上にハードかも…。

外に出て設置してあるベンチに座る。他のバイトの人達も座って食事したり、おしゃべりしたりしている。

私は一人でマヨタコを頬張る。うん…おいしい。…別に寂しくはない…。バイトの休憩時間くらい一人になるのは当たり前。現に他のバイトの人でも一人の人は結構いるし。話し掛けてみてもいいのだけど…なんか…『疲れてるから話し掛けるな』オーラが出ているような…。考え過ぎかな。無理に話し掛けて邪険にされるのも嫌だし…。

そんな事を考えながら食事を終える。何をするでもなくぼんやりと時間を過ごす。そろそろチャイムが鳴る頃かも…。持ち場に戻ろう。

チャイムが鳴り業務が再開される。よし、気合いを入れておにぎり様と向き合おう。私が超絶美味なおにぎりにしてみせますよ(?)…具材を注入するだけですが…。

さらに2時間が経過し二度目の休憩を告げるチャイムが鳴る。…疲れがヤバい…。腕がさらに怠くなったし、目も痛くなってきた。

…やらかしちゃった。気を付けていたけど、冷蔵庫からツナマヨの容器を交換する際に二個おにぎりを逃してしまった。タイミングが上手くとれなかった。ベルトコンベアーは高速で流れている訳じゃないけど、カタツムリほどゆっくりじゃない。焦りから生じたミス。立っている場所から冷蔵庫までの距離も地味にある。もっと近くに引き寄せたらダメかな?…ダメでしょうね。私が良くても他の持ち場の人から遠くなってしまう。…自己中は良くない…よね。

さっきと同じ様に外のベンチに腰を下ろす。どうしよう…工場長が来て…

『新人、二個おにぎりを逃したな?ペナルティーだ。給料から2000ゴル引いとくから』

とか言われたら…。泣くかも…。いや、ミスはミスだから受け入れなきゃいけないんだけど…。もう絶対にミスはしない。今は少しでも体を休ませよう。

またチャイムが鳴り、最後のおにぎりバトル(?)が始まる。
あと二時間で業務終了。根性で乗り切るしかない。この試練を乗り越えた時、私は一人前のおにぎり戦士となる…。

そして、バイト時間が終了した。やった…。終わった。まさかこんなに疲れるとは思わなかった。おそらく慣れない夜勤をした事も疲れの要因になったのかもしれない。他のバイトの人達もやはり疲れているように見える。

クリーンルームを出て床に座り込んでいると工場長が近付いてくる。

「皆ご苦労だったな。よくやってくれた。今日の分を渡すから俺の前に並んでくれ。受け取ったら解散。次もよろしく頼む」

皆が工場長の前に並び封筒を受け取り更衣室に向かっていく。

私の番が来た。…少しドキドキする。

「新人。お疲れ様」

「いえ…工場長もお疲れ様でした」

ミスの事言われるかな…。

「新人にしてはよくやったと思う。…が、次は完璧を目指せ」

「はい。申し訳ございませんでした」

素直に謝罪する。

「まあ、気にするな。最初だからな。ミスは誰でもする。次失敗しない事が大切だ。ご苦労だった」

工場長が封筒を渡してくれる。

「それと、明日はどうする?都合が良いなら来てもいいぞ」

うーん…今日と同じ業務を明日もするのは気が重い。けど、ママさんの借金を完済するまではやるしかない…かな。うん、20000ゴル貯まるまでは働かせてもらおう。

「明日も出勤したいです。よろしくお願いします」

「良い返事だ。じゃあ、明日も今日と同じ時間だ。よろしく頼む」

満足そうな工場長。

「わかりました。では、失礼します」

更衣室に向かう。給料の確認は家に帰ってからにしよう。減らされてないといいけど…。

更衣室でノロノロと着替える。眠い。いつもならまだ寝ている時間なのに…。

倉庫を出て自宅に向かって歩く。…疲れた。早く帰ってシャワーを浴びて寝よう。…いや、今日はお風呂にお湯を張って湯船に浸かるのが良いかも…。筋肉痛が心配だし…。そうしよう。

帰り道、ゆっくりと太陽が登り始める。中央地区に向かうにつれて出勤途中と思われる人達が急ぎ足で私を追い越したり、すれ違う。私はのんびり自宅を目指す。…昨日の出勤前と違いなんか気分が良いかも…。皆さんお仕事頑張って下さいね。私は帰って寝ますけど♪…などと思ってしまう。

食堂に着いた。まだお店は開店してない。静かにゆっくりと階段を上がろう。ドタドタ上がると次にミリーに会った時に殴られるかもしれないし…。

ミリー『アンタの足音のせいで目が覚めた』…ボコン!!

私『アゴの骨が…砕けた…酷いでしゅ…』

…とかね。恐い恐い。

部屋に戻り、作業机の上に給料袋を置く。中身が気になるけど、まずはお風呂の準備をする。蛇口を捻り温度を調節。少し熱めが良い。お湯が溜まるまでベッドに横になろう。…っとその前に目覚ましをセットしよう。お湯を出しっぱなしで寝てしまう可能性がある。水道料金が高くなりママさんに怒られるかも…。

ママさん『ユリカさん…どういう事かしら?水道料金の請求が一万ゴル近くきてるわよ。…歯を食い縛りなさい!』…ベチン!!

私『歯が…前歯が二本折れたでしゅ…酷いでしゅ…』

…恐い恐い。普段優しい人ほど怒らせるとヤバいという話が…。

30分ほど経過して目覚ましが鳴る。少しウトウトしたけど何とか起きれた。…これで歯を折られずに済む。湯加減は……良い感じ。じっくり浸かって体を休めれば夜までにはかなり回復するかも…。

いつも通り服を洗濯機に放り込みお風呂に突入する。

…。

…。


少し入り過ぎた…。のぼせてしまったような…。コップに水を汲み一気に飲み干す。着替えを済ませて目覚まし時計をセット。一度、夕方頃に起きて食堂に行こう。

そういえば給料袋の確認をしていなかった。少し不安だけど開けてみる。

…良かった。ちゃんと働いた分入ってた。減らされていなくて安心。7200ゴル……エクセレント!ユリカ…キミは偉業を成し遂げたのだ。自分を誇りに思いなさい。…大袈裟すぎ。でも、こちらの世界で初めてちゃんした仕事をしたのだから。少し自信を持ったって良いはず…。

これで安心して夕方まで寝られる。また夜勤頑張ろう。あと、二日働けば合計21600ゴル。手持ちのお金と合わせて、そこから食費分を引いても返済金額分は残る。あと、二日の辛抱…。借金を完済したらあの工場のバイトは辞退しよう。私の身体能力的に無理っぽい。申し訳ないけど、大きなミスをして迷惑を掛ける前に去ろう。


しかし…話はそうそう上手くいかない事を夜勤二日目に知るのだった。
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