23 / 33
23 当たり前のもの、見えなくなったもの
しおりを挟む
夜勤明けの朝はいつもより遅くとも許されているのだが、その日はカテリナが目を覚ましたときもまだ暗かった。
起きる時間をまちがえてしまったのだろうかと窓を開けて中庭の花時計をのぞいたが、陽射しがまったく照っていないからか何の時間も示してはいなかった。雨も降っていなければ風も吹いていないのに、空は塗りつぶされたように黒く、不気味なくらいに辺りは静かだった。
騎士団の詰め所を見に行くと、昨夜の馬鹿騒ぎが利いたのか同僚たちは雑魚寝状態で眠っていた。カテリナは彼らを起こさないようにそっと扉を閉めて詰め所を後にすると、宿直室に戻った。
食堂はもう閉まっている時間のはずなので昨日買いだめしたパンで朝食を終えて、支度を整えて上層階に向かった。
昨日、国王陛下から王城に勤める者たちに事実上のお休みが言い渡されたからなのだろうが、それにしても誰ともすれ違わないのは奇妙だった。あちこち通行止めで遠回りをしたからか、カテリナの知る王城でもないようだった。
水槽の中を歩くような、どこか現実味のない気分で陛下の執務室に入ると、陛下だけは普段通りに仕事をしていた。
カテリナは当たり前の光景に安心して、あいさつの声をかけようとしたところで立ち止まる。
普段、カテリナが隅の机とセットで使っている椅子が、陛下の机の前に移動していた。今日はその椅子にかけて陛下の前で仕事をしている女性がいた。
王妹マリアンヌは陛下と言葉を交わすでもなく、分け隔てなく国民に見せる微笑もなく、ただ事務的に書類に加筆しては陛下に返していた。対する陛下も、マリアンヌの顔も見ずに書類を受け取り、手短に書類に目を通しては印を押すという動作を繰り返していた。
カテリナは恐ろしく素早く、感情を挟まない国王陛下と王妹殿下の執務風景を今初めて見たわけではなく、二人が良き仕事のパートナーであることは知っていた。ただ王妹マリアンヌは普段、国王陛下から外交を任されて大使たちの相手をしているから、こうして机に向かって国王陛下と事務仕事をしているのは珍しかった。
カテリナが声をかけられなかったのは、そこに兄妹の無二の信頼を見ていたからだった。マリアンヌが諸外国に誇る才媛であるのはずっと知っていた。けれど国王陛下が自分に一番近い椅子を誰のために用意しているのか、突然理解したのだった。
そうだった、私に対するようにイライラする必要も、言葉を尽くして教える必要もない。……王妹殿下は、生まれながらの姫君だもの。
ふいにギュンターが顔を上げて、立ちすくんでいたカテリナを見た。
「おはよう。カティ、危ないところを通ってこなかっただろうな」
今空を覆う雲のようにカテリナが重い気持ちに押しつぶされそうになっていたとき、ギュンターが苦笑交じりに声をかけた。
まるで子ども扱いの言葉に普段ならむっとするはずが、はいとだけ答えて、カテリナはしょげて壁際に立った。
ギュンターはそんなカテリナに一瞬眉を上げたものの、席を立ったマリアンヌに目を移して言う。
「おっと、そろそろ昼だったか」
「ええ。風も出てきたようです。私は今のうちに自室に戻りますが……」
マリアンヌはふと窓の外を見て足を止めて、何事か思いをめぐらしたようだった。
「何か見えたか?」
問いかけた兄に、マリアンヌは考え事から覚めたような顔をして、首を横に振って微笑む。
「何でもありません。では、陛下。夜勤明けのカティさんにあまり無理をさせないよう」
マリアンヌはいつも通りの気配りを見せた後、悠として去っていった。
十年に一度の大きさの嵐という星読み台の知らせは確かなようだった。マリアンヌが去ってまもなく、窓を激しい雨が打ち、王城自体も風にあおられて少し揺れ始めた。
普段晴れ晴れとしたカテリナの心の中も、自分が座っている席が本来自分の席ではないと思うにつけ、曇り空が一向に晴れなかった。
「カティ、どうした。意見したいときは言えばいいんだぞ」
ギュンターが以前なら苛立つところでぎこちない声音で言ったことも、やっぱり自分は未熟なんだと落ち込んだ。
ギュンターはじろりとカテリナを見て言う。
「そろそろわかっていると思うが、俺は言われなければ気づかない人間なんだ。そんな俺でも最近気づいたが、君は呑みこんだ言葉がたくさんあるな?」
彼は目を上げて揺れたカテリナの目をとらえると、仕事の話をするようでそうでもないことにも触れた。
「君は言わないだけで思ってることがたくさんあるはずだ。もっとそれを口に出していい」
そう言われて、カテリナはなんだかむずかゆい感情に背中を押された。カテリナには子どもの頃から周りに隠していることがたくさんあったから、素直な反面、自分を守るために言葉を呑み込む癖もあった。早いうちから父に心配されていたそれを、出会って十日も経たないギュンターにも気づかれていると思うと、少し怖いようでうれしくもあった。
カテリナは一度うつむいてぽつりと言う。
「マリアンヌ様のように陛下を支えられる方は、きっと他にいないのだと思って」
「マリアンヌ?」
思わずカテリナが心に抱いた言葉をそのまま見せると、ギュンターはまったく想像していなかったことを言われたように目をまたたかせた。
カテリナが黙ってうなずくと、カテリナがどういう意図でそれを告げたのかギュンターにも伝わったらしい。
ギュンターはぷっと吹き出して、頬杖をついて言う。
「ははっ! 考えたこともなかったな。付き合いが誰より長いのは確かだが、マリアンヌは妹だぞ?」
「でも、精霊との約束は……!」
最愛の人とのダンスなんですと、カテリナが言葉にしようとしたとき、隣室で物音が響いた。
とっさに騎士としての役目を思い出してカテリナが隣室に走ると、今日はどこも閉じられているはずの窓が開け放たれて雨が入り込んでいた。
「殿下!」
そこに降り込んでくる雨に濡れながら立ちすくむ姫君をみつけて、カテリナは古い記憶を思い出していた。
今は多くの国民が忘れかかっていることだが、王妹マリアンヌは幼い頃、崩壊しかかっていた隣国から亡命してきた姫君だった。先王と先王妃は実の子と分け隔てなくマリアンヌを育て、ギュンターとシエルもそれを受け入れてきたから、マリアンヌも完全にヴァイスラントに馴染んでいるように見える。
それでもカテリナは同じように他国からやって来た母が心に残していたものがあるのだと、父やチャールズから聞いて育ってきた。
カテリナは雨の中に揺れるものを示して言う。
「……ツヴァイシュタットの旗が心配なんですね。私がお取りしますから、お待ちください」
マリアンヌが食い入るようにみつめる先、そこに彼女が幼い日に隣国から持ってきた旗が揺れていた。
ヴァイスラントの精霊は人々に好意的だが、隣国ツヴァイシュタットで信じられていた精霊は元々人間に敵対する恐ろしいものだった。隣国では、精霊が描かれた物は大切に扱わなければ人々に災いをもたらすと言われていた。
数十の旗の中で、黒髪に青い瞳の精霊の横顔が描かれた隣国の旗は、風にあおられて今にも破れてしまいそうだった。カテリナはどうにかマリアンヌを説得して下がらせると、雨の中ベランダに出る。
旗はベランダの外に向かってしなっていて、身を乗り出さないと手は届かないようだった。カテリナはベランダの端に移動して、少し背伸びをしながら虚空に手を伸ばす。
「カティ! 馬鹿、何をしてる!」
「大丈夫です! こういうことは得意なんです!」
背後でギュンターの怒声が聞こえたが、雨音にかき消されそうだった。カテリナは構わずベランダから身を乗り出しながら答える。
いつか父が母に言っていた。人が忘れ掛かっていて気に留めなくなっているものでも、誰かが大切に思っているのなら、それはまだ必要なものだから。大切なものを抱くように、手に取って守ってあげなさい。
昔、母が隣国から持ってきた物たちを捨てられずにいたとき、父がそう言って母を受け入れたように、カテリナもマリアンヌの心を守りたかった。
「……よし。これで……!」
やっとカテリナが旗をつかみ、引き寄せようとしたとき、頭上で雷鳴がとどろいた。
城が大きく揺れたのと共に、世界が落ちてくるような衝撃があった。
「カティ!」
ギュンターの腕がカテリナの体を抱えて部屋の内に引き込んだのと、どちらが先だったか。
荒くれた風に巻き込まれて旗が折れたのを見たのを最後に、カテリナの視界も反転した。
起きる時間をまちがえてしまったのだろうかと窓を開けて中庭の花時計をのぞいたが、陽射しがまったく照っていないからか何の時間も示してはいなかった。雨も降っていなければ風も吹いていないのに、空は塗りつぶされたように黒く、不気味なくらいに辺りは静かだった。
騎士団の詰め所を見に行くと、昨夜の馬鹿騒ぎが利いたのか同僚たちは雑魚寝状態で眠っていた。カテリナは彼らを起こさないようにそっと扉を閉めて詰め所を後にすると、宿直室に戻った。
食堂はもう閉まっている時間のはずなので昨日買いだめしたパンで朝食を終えて、支度を整えて上層階に向かった。
昨日、国王陛下から王城に勤める者たちに事実上のお休みが言い渡されたからなのだろうが、それにしても誰ともすれ違わないのは奇妙だった。あちこち通行止めで遠回りをしたからか、カテリナの知る王城でもないようだった。
水槽の中を歩くような、どこか現実味のない気分で陛下の執務室に入ると、陛下だけは普段通りに仕事をしていた。
カテリナは当たり前の光景に安心して、あいさつの声をかけようとしたところで立ち止まる。
普段、カテリナが隅の机とセットで使っている椅子が、陛下の机の前に移動していた。今日はその椅子にかけて陛下の前で仕事をしている女性がいた。
王妹マリアンヌは陛下と言葉を交わすでもなく、分け隔てなく国民に見せる微笑もなく、ただ事務的に書類に加筆しては陛下に返していた。対する陛下も、マリアンヌの顔も見ずに書類を受け取り、手短に書類に目を通しては印を押すという動作を繰り返していた。
カテリナは恐ろしく素早く、感情を挟まない国王陛下と王妹殿下の執務風景を今初めて見たわけではなく、二人が良き仕事のパートナーであることは知っていた。ただ王妹マリアンヌは普段、国王陛下から外交を任されて大使たちの相手をしているから、こうして机に向かって国王陛下と事務仕事をしているのは珍しかった。
カテリナが声をかけられなかったのは、そこに兄妹の無二の信頼を見ていたからだった。マリアンヌが諸外国に誇る才媛であるのはずっと知っていた。けれど国王陛下が自分に一番近い椅子を誰のために用意しているのか、突然理解したのだった。
そうだった、私に対するようにイライラする必要も、言葉を尽くして教える必要もない。……王妹殿下は、生まれながらの姫君だもの。
ふいにギュンターが顔を上げて、立ちすくんでいたカテリナを見た。
「おはよう。カティ、危ないところを通ってこなかっただろうな」
今空を覆う雲のようにカテリナが重い気持ちに押しつぶされそうになっていたとき、ギュンターが苦笑交じりに声をかけた。
まるで子ども扱いの言葉に普段ならむっとするはずが、はいとだけ答えて、カテリナはしょげて壁際に立った。
ギュンターはそんなカテリナに一瞬眉を上げたものの、席を立ったマリアンヌに目を移して言う。
「おっと、そろそろ昼だったか」
「ええ。風も出てきたようです。私は今のうちに自室に戻りますが……」
マリアンヌはふと窓の外を見て足を止めて、何事か思いをめぐらしたようだった。
「何か見えたか?」
問いかけた兄に、マリアンヌは考え事から覚めたような顔をして、首を横に振って微笑む。
「何でもありません。では、陛下。夜勤明けのカティさんにあまり無理をさせないよう」
マリアンヌはいつも通りの気配りを見せた後、悠として去っていった。
十年に一度の大きさの嵐という星読み台の知らせは確かなようだった。マリアンヌが去ってまもなく、窓を激しい雨が打ち、王城自体も風にあおられて少し揺れ始めた。
普段晴れ晴れとしたカテリナの心の中も、自分が座っている席が本来自分の席ではないと思うにつけ、曇り空が一向に晴れなかった。
「カティ、どうした。意見したいときは言えばいいんだぞ」
ギュンターが以前なら苛立つところでぎこちない声音で言ったことも、やっぱり自分は未熟なんだと落ち込んだ。
ギュンターはじろりとカテリナを見て言う。
「そろそろわかっていると思うが、俺は言われなければ気づかない人間なんだ。そんな俺でも最近気づいたが、君は呑みこんだ言葉がたくさんあるな?」
彼は目を上げて揺れたカテリナの目をとらえると、仕事の話をするようでそうでもないことにも触れた。
「君は言わないだけで思ってることがたくさんあるはずだ。もっとそれを口に出していい」
そう言われて、カテリナはなんだかむずかゆい感情に背中を押された。カテリナには子どもの頃から周りに隠していることがたくさんあったから、素直な反面、自分を守るために言葉を呑み込む癖もあった。早いうちから父に心配されていたそれを、出会って十日も経たないギュンターにも気づかれていると思うと、少し怖いようでうれしくもあった。
カテリナは一度うつむいてぽつりと言う。
「マリアンヌ様のように陛下を支えられる方は、きっと他にいないのだと思って」
「マリアンヌ?」
思わずカテリナが心に抱いた言葉をそのまま見せると、ギュンターはまったく想像していなかったことを言われたように目をまたたかせた。
カテリナが黙ってうなずくと、カテリナがどういう意図でそれを告げたのかギュンターにも伝わったらしい。
ギュンターはぷっと吹き出して、頬杖をついて言う。
「ははっ! 考えたこともなかったな。付き合いが誰より長いのは確かだが、マリアンヌは妹だぞ?」
「でも、精霊との約束は……!」
最愛の人とのダンスなんですと、カテリナが言葉にしようとしたとき、隣室で物音が響いた。
とっさに騎士としての役目を思い出してカテリナが隣室に走ると、今日はどこも閉じられているはずの窓が開け放たれて雨が入り込んでいた。
「殿下!」
そこに降り込んでくる雨に濡れながら立ちすくむ姫君をみつけて、カテリナは古い記憶を思い出していた。
今は多くの国民が忘れかかっていることだが、王妹マリアンヌは幼い頃、崩壊しかかっていた隣国から亡命してきた姫君だった。先王と先王妃は実の子と分け隔てなくマリアンヌを育て、ギュンターとシエルもそれを受け入れてきたから、マリアンヌも完全にヴァイスラントに馴染んでいるように見える。
それでもカテリナは同じように他国からやって来た母が心に残していたものがあるのだと、父やチャールズから聞いて育ってきた。
カテリナは雨の中に揺れるものを示して言う。
「……ツヴァイシュタットの旗が心配なんですね。私がお取りしますから、お待ちください」
マリアンヌが食い入るようにみつめる先、そこに彼女が幼い日に隣国から持ってきた旗が揺れていた。
ヴァイスラントの精霊は人々に好意的だが、隣国ツヴァイシュタットで信じられていた精霊は元々人間に敵対する恐ろしいものだった。隣国では、精霊が描かれた物は大切に扱わなければ人々に災いをもたらすと言われていた。
数十の旗の中で、黒髪に青い瞳の精霊の横顔が描かれた隣国の旗は、風にあおられて今にも破れてしまいそうだった。カテリナはどうにかマリアンヌを説得して下がらせると、雨の中ベランダに出る。
旗はベランダの外に向かってしなっていて、身を乗り出さないと手は届かないようだった。カテリナはベランダの端に移動して、少し背伸びをしながら虚空に手を伸ばす。
「カティ! 馬鹿、何をしてる!」
「大丈夫です! こういうことは得意なんです!」
背後でギュンターの怒声が聞こえたが、雨音にかき消されそうだった。カテリナは構わずベランダから身を乗り出しながら答える。
いつか父が母に言っていた。人が忘れ掛かっていて気に留めなくなっているものでも、誰かが大切に思っているのなら、それはまだ必要なものだから。大切なものを抱くように、手に取って守ってあげなさい。
昔、母が隣国から持ってきた物たちを捨てられずにいたとき、父がそう言って母を受け入れたように、カテリナもマリアンヌの心を守りたかった。
「……よし。これで……!」
やっとカテリナが旗をつかみ、引き寄せようとしたとき、頭上で雷鳴がとどろいた。
城が大きく揺れたのと共に、世界が落ちてくるような衝撃があった。
「カティ!」
ギュンターの腕がカテリナの体を抱えて部屋の内に引き込んだのと、どちらが先だったか。
荒くれた風に巻き込まれて旗が折れたのを見たのを最後に、カテリナの視界も反転した。
0
あなたにおすすめの小説
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
王子の寝た子を起こしたら、夢見る少女では居られなくなりました!
こさか りね
恋愛
私、フェアリエル・クリーヴランドは、ひょんな事から前世を思い出した。
そして、気付いたのだ。婚約者が私の事を良く思っていないという事に・・・。
婚約者の態度は前世を思い出した私には、とても耐え難いものだった。
・・・だったら、婚約解消すれば良くない?
それに、前世の私の夢は『のんびりと田舎暮らしがしたい!』と常々思っていたのだ。
結婚しないで済むのなら、それに越したことはない。
「ウィルフォード様、覚悟する事ね!婚約やめます。って言わせてみせるわ!!」
これは、婚約解消をする為に奮闘する少女と、本当は好きなのに、好きと気付いていない王子との攻防戦だ。
そして、覚醒した王子によって、嫌でも成長しなくてはいけなくなるヒロインのコメディ要素強めな恋愛サクセスストーリーが始まる。
※序盤は恋愛要素が少なめです。王子が覚醒してからになりますので、気長にお読みいただければ嬉しいです。
【12月末日公開終了】有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
【12月末日公開終了】これは裏切りですか?
たぬきち25番
恋愛
転生してすぐに婚約破棄をされたアリシアは、嫁ぎ先を失い、実家に戻ることになった。
だが、実家戻ると『婚約破棄をされた娘』と噂され、家族の迷惑になっているので出て行く必要がある。
そんな時、母から住み込みの仕事を紹介されたアリシアは……?
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
政略結婚した旦那様に「貴女を愛することはない」と言われたけど、猫がいるから全然平気
ハルイロ
恋愛
皇帝陛下の命令で、唐突に決まった私の結婚。しかし、それは、幸せとは程遠いものだった。
夫には顧みられず、使用人からも邪険に扱われた私は、与えられた粗末な家に引きこもって泣き暮らしていた。そんな時、出会ったのは、1匹の猫。その猫との出会いが私の運命を変えた。
猫達とより良い暮らしを送るために、夫なんて邪魔なだけ。それに気付いた私は、さっさと婚家を脱出。それから数年、私は、猫と好きなことをして幸せに過ごしていた。
それなのに、なぜか態度を急変させた夫が、私にグイグイ迫ってきた。
「イヤイヤ、私には猫がいればいいので、旦那様は今まで通り不要なんです!」
勘違いで妻を遠ざけていた夫と猫をこよなく愛する妻のちょっとずれた愛溢れるお話
溺愛王子の甘すぎる花嫁~悪役令嬢を追放したら、毎日が新婚初夜になりました~
紅葉山参
恋愛
侯爵令嬢リーシャは、婚約者である第一王子ビヨンド様との結婚を心から待ち望んでいた。けれど、その幸福な未来を妬む者もいた。それが、リーシャの控えめな立場を馬鹿にし、王子を我が物にしようと画策した悪役令嬢ユーリーだった。
ある夜会で、ユーリーはビヨンド様の気を引こうと、リーシャを罠にかける。しかし、あなたの王子は、そんなつまらない小細工に騙されるほど愚かではなかった。愛するリーシャを信じ、王子はユーリーを即座に糾弾し、国外追放という厳しい処分を下す。
邪魔者が消え去った後、リーシャとビヨンド様の甘美な新婚生活が始まる。彼は、人前では厳格な王子として振る舞うけれど、私と二人きりになると、とろけるような甘さでリーシャを愛し尽くしてくれるの。
「私の可愛い妻よ、きみなしの人生なんて考えられない」
そう囁くビヨンド様に、私リーシャもまた、心も身体も預けてしまう。これは、障害が取り除かれたことで、むしろ加速度的に深まる、世界一甘くて幸せな夫婦の溺愛物語。新婚の王子妃として、私は彼の、そして王国の「最愛」として、毎日を幸福に満たされて生きていきます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる