【R18】やくざの息子の大切な玩具

真木

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やくざの息子の大切な愛玩動物

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 愛実を初めて見たのは、夕暮れ時の帰り道のことだった。
 中学一年生の天馬は家の教育で高校の課程まで勉強は終わっていて、何か楽しいことがないかと考えてばかりいた。いじめるにも同級生たちは子どもにしか見えなくて、学校ではほとんど誰とも話さずに一日を過ごして、授業が終わったら無気力に帰るだけだった。
 その日は五月晴れで、天馬には余計につまらなかった。兄たちは楽しいことをたくさん知っているだろうに、じきに教えてやるよと笑うばかりで、子どもの天馬を蚊帳の外にしていた。
「ペットを飼ってみたら」
 愛実が同級生に話すのを聞いたのは、そんなときだった。学校からの帰り道、向こうから同級生と並んで歩いてくる愛実は、あまり乗り気がしない様子で言った。
 坂下愛実という同級生の女の子のことは、耳にしていた。とても貧しいらしいが、とても家族思いらしい。そんな付け込みやすい情報は、天馬の中の嗜虐心をくすぐった。 
「かわいいらしいよ」
 天馬はそれを言った愛実の目に釘付けになっていた。言葉の投げやりさに反して、とろりとした夢見る目。甘い蜜色の涙が落ちてきそうな目だった。
 天馬が足を止めると、一瞬愛実は警戒したように天馬から顔を背けて、そのまま横を通り過ぎた。
 天馬は立ち止まったまま、今しがたの愛実の言葉を思い返していた。
 ペットを飼ってみたら。かわいいらしいよ。
 それと共に焼き付いた蜜色の夢見る目が、天馬にぞくっとした楽しさを想像させた。
 ちょうどその二週間後、兄が初めて楽しいことを教えてくれた。体が気持ちよくなる方法で、もう少し大人になったらもっと良くなる方法も教えてやると言った。
「兄ちゃん」
「ん?」
「抜くときにいつも思い出す顔ってある?」
 兄は天馬には答えず、面白そうにふうんと笑う。
 兄は黙って頬杖をついて、先を言えというようにあごをしゃくった。
 だから天馬は無邪気な声で、兄に言った。
「あと、兄ちゃん」
 たぶん自分がやくざの息子だと実感したのはそのときが初めてだった。
「……ペットってかわいいらしいよ」
 窓から差し込む夕陽はとっくに消えて、今しがた解放した良さばかりが天馬を支配していた。
 天馬はどくどくと心臓が高鳴って、今は笑いだしたいくらいにやりたいことがあった。
 兄はそんな天馬を一番よく知る人間で、共鳴するように言った。
「そうか。大事に大事に、飼うんだぞ」
 天馬はうなずいて、兄に買ってほしいペットの名前を教えた。




 天馬が大学生になったとき、兄が愛実の家を借金で追い詰めて、愛実を自分に売ってくれた。兄に本当に感謝している。
 天馬が愛実の初めてを奪って、天馬の部屋に閉じ込めて一月が経つ頃のことだった。
「いいコにしてる愛実ちゃんに、ごほうびあげなきゃね」
 真面目で家族思いの愛実の性格はずっと監視していたからよく知っていて、彼女が決して逃げられないのもわかっていた。
 でも天馬がきっとそのうち自分に飽きて、解放してくれると、そういう夢見る目で愛実が虚空を見ているのもわかっている。
「デートしよ。らぶらぶな思い出、いっぱい作ろ?」
 天馬ははしゃいだ声を上げて、愛実の手を取った。
 愛実はそんな天馬と正反対に、怯えたみたいに言う。
「ま、待って。ふ、服……着ないと」
 愛実はこの部屋で天馬と初めてエッチしてから、一度も服を着せられていなかった。温度も湿度も完全管理された、鳥籠みたいな部屋でずっと裸で過ごしていた。
 天馬は愛実の体を見回すと、にこっと笑って言う。
「愛実ちゃんは服なんて着なくてもかわいい」
「外に行くんでしょ。無理……」
「愛実ちゃんの裸なんて誰にも見せないよ。二人だけのデートなんだから」
 愛実が顔をしかめたのを面白そうに見て、天馬は愛実の唇を優しく食んだ。
 もちろん天馬は、部屋から車庫まで誰にも愛実に会わないように仕組んでいた。
 運転手からは見えないように仕切りが上がった後部座席に乗りこむと、天馬は愛実を横抱きにして座る。
「目的地は着いてからのお楽しみ」
 天馬は愛実の目を黒いリボンで覆って、愛実の視界は閉ざされてしまった。
 車はすぐに高速道路に乗った。高級車の緩い振動の中、天馬はふいにきゅっと愛実の裸の乳首を摘まんだ。
 天馬は愛実の乳首をくるくるといじって、まるで果物をつまむみたいに遊ぶ。
「愛実ちゃん、いちごでも食べよ。ほら、あーん」
「や、は……ん」
 運転手に声が聞こえると愛実が声を押し殺したのに、天馬はちゅうっと音を立てて愛実の乳首を吸った。
「甘いいちごだなぁ。ふふ、ちっちゃいのに、ぴんって立っててかわいい」
 天馬は乳首を軽く噛んだり舌で転がしたり、好き勝手にしながら言う。
「ん、んん……っ」
 やめてなんて言ってしまったら、運転手にこの恥ずかしい遊びを知られてしまうかもしれない。愛実はとっさに天馬の肩に顔を埋めて耐える。
 天馬は愛実の耳をぺろりと舐めて、意地悪くたずねる。
「愛実ちゃん、俺がこうしたら何て言うんだったかな?」
 愛実は、は、ふ、と息を落ち着かせながら、教えられたとおりに言う。
「てんま、すき……」
「うんうん。俺も大好きだよ。それから?」
 愛実はこれから招いてしまうことを想像しながら、息を呑んでその言葉を告げた。
「……もっと、ちょうだい」
 天馬はくっと喉の奥で笑って言った。
「いいコ」
 天馬はその言葉を合図に、愛実の蜜壺に指を入れた。
「ゃ……!」
 愛実は足を閉じようとしたが、愛実の体重のままにずぷりと指を深くに受け入れてしまう。
「ふぁ、ん、あぅ……」
 肩に顔を埋めるだけでは耐えられない波が押し寄せてくる。
 天馬はこの一月の遊びで愛実の弱いところを知りつくしていて、愛実のいいところを容赦なく責め立てる。
 ぐち、くち、くちゅりと水音が閉ざされた愛実の耳に殊更響く。
「こら、愛実ちゃん。こぼしちゃだめでしょ」
 愛実のそこは、もうたっぷりと濡れてどうしようもなく溶けていた。愛実の体からじゅくりと音を立てて、蜜があふれた。
「このシート、高いんだよ。愛実ちゃん家の借金にツケちゃおうかな?」
 借金という言葉に身を固くした愛実を見下ろして、天馬は愛実に自分をまたぐようにこちらを向けて座らせる。
「ごめんなさいのときは、どうするんだっけ?」
「あ……ぅ」
 息が触れる近くで、天馬が笑って待っている気配がする。
 だめ、借金を返さなきゃ。愛実は慌てて天馬の首に手を回す。
 愛実は唇で辿って天馬の唇を探り当てて、自分からその中に舌を入れた。
 この一月で教え込まれたとおり、天馬の舌に自分の舌をからめてちゅう、と吸う。
 歯列をなぞって、あふれた唾液をぺろぺろと舐めて、角度を変えながら何度も唇を合わせる。
 ちゅうは心をこめてしないと、唇が腫れるまで続けてもらうからね。天馬にそう言われていたから、愛実は一生懸命に天馬とキスを交わした。
「……愛実ちゃんのちゅうは、とびきりエロくて好き」
 そんな愛実に天馬は満足げに笑って、愛実は我に返った。
 運転手に聞こえてしまったと思ったときには車は停まっていて、天馬は愛実を横抱きにして車から降りた。
 まだ目はリボンで覆われたままで何も見えないが、風の中に潮の香りがした。けれど外気に触れていたのは少しの時間だった。
 エレベーターに乗り込んで降りたかと思うと、天馬がじゅうたんを歩く足音が聞こえた。
 天馬が鍵を回して、どこかの部屋に入る。彼が部屋を横切って、ようやく愛実を腕から下ろしてくれた。
 リボンが外されたときに、愛実は息を呑んでその光景に見入った。
 そこは丘の上の家で、一面のガラス張りの窓の向こうに青い海が見えた。きらきらと光を浴びて水面が金色に輝いていて、絵画みたいにガラスの中に収まっていた。
「うちのプライベートビーチだよ」
 思わずその光景に見とれた愛実を後ろから抱きしめて、天馬は言う。
「愛実ちゃんがいいコにしてたら、今度は夏に連れてきてあげる」
「……そうやって私で遊ぶの?」
 ふいに愛実がむっとして言うと、天馬はきょとんとして聞き返す。
「愛実ちゃん?」
「玩具でもペットでも、好きに言ってたらいい。私は借金のカタなんだから」
 天馬は一瞬止まって、ぷっと笑う。
「……なんだ。気にしてたんだ、そんなこと」
「当たり前じゃない。私は好きで来たんじゃなくて……」
「うん。愛実ちゃんは、俺の一番大事な玩具でペットだよ」
 さらりと断言して、天馬は愛実の頬を両手で包む。
「俺の好きの全部だよ。愛実ちゃんのいない世界なんて、生き方を知らないよ」
 愛実が目を見張ったら、天馬は不思議そうに首を傾げる。
「変? 俺、何度も言ったじゃない。好きで好きで大好き。恋人って名前じゃ他人っぽいじゃん。俺は愛実ちゃんと動物みたいに一つになってたいんだよ」
 天馬は愛実をガラスに押し付けると、腰を後ろから抱いて持ち上げる。
「あ……」
「もうたまんない。俺、ずっと我慢してたんだよ? 車の中で愛実ちゃんのエロい声ずっと聞きながら、ここまで来たんだから」
「ん、んん、あぅ……っ」
 天馬はずぷずぷと自分を愛実の中に沈めて、がつがつと突き始める。
「なか、もうとろとろ……。愛実ちゃん、他人に聞かれて感じてたんだ? 許せないなぁ」
「て、天馬が、変な、いたずら……」
「借金、来るたび増やしてやろうね。愛実ちゃんが恥ずかしい声出すたび、お仕置きしよ」
 天馬は立ったまま愛実の奥までぐりぐりと突いて言う。
 今日は晴れ渡った明るい日で、カーテンも無い見晴らしのいい部屋だった。裸でガラスに押し付けられて後ろから突かれている愛実は、プライベートビーチとわかっていても恥ずかしかった。
 天馬はそんな愛実の恥ずかしさなどお構いなしに、楽しそうに愛実の中を味わって言う。
「愛実ちゃんがどっか行こうなんて考えもつかないくらい、べったり俺に縛り付けてやる」
「あぅ、ひゃん、あ、んあ……っ」
 絵画みたいに完成された景色の中で獣のようなことをしている。愛実は訳のわからない気持ちになりながら、気が付けば腰を振って応えていた。
 ぐち、みち、ずぷ……二人の接合部で泡立つのは、どちらがあふれさせたものなのか愛実にもわからなくなっていた。
「天、馬……し、て」
「なに? ん、はっ……愛実ちゃん?」
 愛実は息を切らしながら、その言葉を口にする。
「天馬と、きす、しながら……はぁ、イき、たい……っ」
 それは天馬が教えた言葉の一つに違いなかった。
 でもいつもと違う解放感のある部屋でのエッチだったからかもしれなかった。
 愛実はそう言ったとき、なぜだか弾けるくらいに気持ちがよかった。
 天馬は愛実の体が達しそうなときいつもするように、ちゅっと愛実のまなじりを吸ってうなずく。
「うん、は、いいよ。今日もすっごくいい。……ちゅーしたまま、いっちゃお」
 振り向かせた愛実の唇を自分の唇で塞いで、天馬が一番奥まで愛実を突いたときだった。
 どくどくと注がれるものを奥の深くで受け止めた愛実は、まるで喜んでるみたいに背を反らせて達していた。


「いいコト教えてあげよっか、愛実ちゃん。
 俺もここで出来たコなんだって。親父が言ってたよ。
 子どもって、すっごくかわいいらしいよ。今すぐでも遠い先でもいいけど、楽しみだな。
 好き好き。大好き、愛実ちゃん。それはもう知ってるでしょ?
 いつも、いつまでだって、俺とぐちゃぐちゃに愛し合おうね――」
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