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Ⅱ 出会い《さいかい》 その③
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……なんだ、こいつ。
最初に浮かんだのは、そんな疑問だった。
見た目で、そう思ったって訳じゃない。
年は若い。
下手すりゃ、俺と同じぐらいだから、二十歳を超えてそうには見えない。
背は俺よりも頭一つ分ぐらい大きいから、並より少し高いぐらいか。
すらりとした身体つきをしてるけど、貧弱って感じはしない。
質の良いやたらと高そうな服に隠れてよく分からないけど、しっかりと締まってる感じだ。歩き方でそこらは分かる。
今の俺と同じくらいの長さの金髪は、何だかとてもさらさらとしてて、ちょっとムカつく。日焼け一つない肌は綺麗なぐらい白くて、晴れた日の空みたいな青い目をしてた。
そこまではいい。
問題は、何でコイツは俺を見て不安そうな表情をしてるのかってことだ。
俺が襲い掛かって来ると思ってる、とかじゃない。
そういった怯えた気配は無い。
代わりにあるのは、こっちを気遣うような雰囲気。
……何故だか、俺が盗賊をしに城壁都市に来る時、子供達が俺に見せる表情に似てた。
こんな表情、どこの誰だか知らないヤツにされる覚えなんてない。
どういうつもりなのか知らないけど、はっきり言って、変な奴だこいつ。
そう俺が決め付けていると、そいつは見た目通りの女みたいな清んだ声で俺に声を掛けた。
「好かった。目が醒めたんだ。
ここに連れてきた時は意識がなかったから、心配したよ。
本当に、好かった」
……なんだろう、気のせいなのか……こいつの言葉は優しい気がする。
馬鹿なのか、ひょっとして。
俺がそんな風に考えていると、そいつは俺の傍へと近付く。
反射的に、俺は後ずさる。
「ぁ……」
悲しそうな声をあげて、こいつは身体を硬くする。
って、なんでだ? なんでこいつ――
「泣きそうな表情、すんのかよ」
思わず口に出してしまってから後悔する。
目の前のこいつがどんな相手かも分からないのに、不用意に思った事をそのまま口に出して良い訳がない。
自分の不用意さに焦る俺に、返ってきた声は更に焦っていた。
「ご、ごめんっ! その、また会えるなんて思ってなかったのに会えたから嬉しかったけど、どうして良いか分からなくて。気を遣わせちゃったならごめん。
でも、本当に、ソフィアとまた会えて嬉しいんだ……ただ、それだけなんだよ」
今にも泣き出しそうな表情のまま、絞り出すような響きを込めて、こいつは俺に語り掛けてくる。
じくりと、なぜだか胸が痛む。
その理由を知りたいと、俺は思ってしまった。
けれど今、それ以上に知らなければいけない事は他にある。
「お前、俺に会ったことがあるのかよ」
そう、今こいつは『また会えた』と言った。
それどころか、俺の名前すら知っている。
こいつがどこの誰なのか俺は知らないのに、そんなの恐怖以外の何物でもない。
だから俺は、少しでもこいつの事が知りたくて問い掛ける。
ここから逃げ出してみんなの元に変えるためにも、そうしなきゃいけない。
なのに俺は一瞬とはいえ、しなきゃいけないって思い全部が消え失せちまった。
ぽろぽろと、泣き出したこいつを見てしまったからだ。
「……そう、だよね……ごめん……昔の事なんだから、覚えてる訳ないよね……」
満開に咲いてた花が、一気にしおれるように。
それまでどこかおどおどとしてたけど、それ以上にどこかはしゃいでいるような気配があったのに、今では見る影もない。
どこの誰なのか分からない。
でもそれでも、今こいつが、泣いてしまうほど悲しいんだってことは、それだけは分かった。
ざわざわする。
どうしようもなく、胸の奥がざわついて居ても立っても居られない。
それが何でかなんて分からない。
けれどどうしようもなく、どうにかしたいって想っちまってた。
だから、つい、思うよりも早く、俺はこいつに言ってしまう。
「泣くなっ! 忘れられて悲しいんなら、名前を教えろっ!
それを聞いても覚えてなかったら、ちゃんと俺が謝る。
そうしたら、二度と忘れねぇ。
だから、教えてくれよ、お前の名前」
手を差し出すように、言葉を向ける。
それを受け取り返すかなんて分からなくても、それでもそうしたいって、思っちまった。
返事は、すぐには返ってこなかった。
代わりに返って来たのは、はにかむような笑顔。
俺の言葉を受け止めるような間を空けて、涙を流したまま嬉しそうに笑ったんだ。
「……やっぱり、優しいね、ソフィアは」
まじりけのない、心からの言葉。
何の疑いも無く、俺はそう思っちまった。
どくりっ、と。鼓動が跳ねる。
それと同時に、深い深い心の奥底で、小さく何かがざわめくように跳ねている。
想い出せ、というように。
でもその時の俺に、そんな事に想いを向ける余裕なんてなかった。
だって、どうしようもなく、恥ずかしかったからだ。
(ちょ、なんだこれ?!)
なんでか分かんないけど体が熱い。
子供が子供を褒めるような言葉でしかなかったのに、俺はこいつの言葉に、体が熱くなるほど恥ずかしさを感じてる。
混乱する。どうしようもなく混乱する。
なんであんな言葉だけで自分がこんなになっちまってるのか分からないまま、恥ずかしさをごまかしたくて、俺はつい、言ってしまった。
「誰が優しいんだよ、ばかばかバーカっ!
さっきみたいな言葉で勘違いしてたらひどい目に遭うんだからなっ!」
これに、こいつの笑顔は更に柔らかく、それに嬉しさと楽しさ、おまけに喜びまで混ざって大きくなった。
(なんでだよ!)
思わず心の中で突っ込みを入れちまうけど、声に出せない。
それがむずがゆくて更に恥ずかしい。
そうして声を出せずにいる俺に、涙をぬぐったこいつは、穏やかな声で言った。
「すぐには無理だけど、壁の外に戻してあげる」
「……は?」
言葉の意味は分かっても、すぐには受け入れられないでいる俺に、こいつは続ける。
「足首はかなり痛めてるみたいだから、それが治るまではここに居て。
治るまでに、安全にここから外に行けるように手配をしておくから」
そう言ったこいつの表情は、どこか遠かった。
まるで二度と会えない別れを告げるように。
穏やかだけど、どうしようもなく距離を感じさせる笑顔を浮かべ、言い切った。
それが、違う意味で俺の身体を熱くさせる。
「お前、なに勝手なこと言ってんだ」
「大丈夫。心配しないで。ちゃんと安全に、帰してあげるから」
「ふざけんなっ。お前――」
――名前も教えないくせに勝手なこと言うな!
どうしようもない腹立たしさに、俺がそう言おうとした、その時だった。
「なにを一人で舞い上がってんですかアンタはっ!」
新たに部屋に入って来たヤツが、俺よりも早く突っ込み(物理込み)を入れたのは。
最初に浮かんだのは、そんな疑問だった。
見た目で、そう思ったって訳じゃない。
年は若い。
下手すりゃ、俺と同じぐらいだから、二十歳を超えてそうには見えない。
背は俺よりも頭一つ分ぐらい大きいから、並より少し高いぐらいか。
すらりとした身体つきをしてるけど、貧弱って感じはしない。
質の良いやたらと高そうな服に隠れてよく分からないけど、しっかりと締まってる感じだ。歩き方でそこらは分かる。
今の俺と同じくらいの長さの金髪は、何だかとてもさらさらとしてて、ちょっとムカつく。日焼け一つない肌は綺麗なぐらい白くて、晴れた日の空みたいな青い目をしてた。
そこまではいい。
問題は、何でコイツは俺を見て不安そうな表情をしてるのかってことだ。
俺が襲い掛かって来ると思ってる、とかじゃない。
そういった怯えた気配は無い。
代わりにあるのは、こっちを気遣うような雰囲気。
……何故だか、俺が盗賊をしに城壁都市に来る時、子供達が俺に見せる表情に似てた。
こんな表情、どこの誰だか知らないヤツにされる覚えなんてない。
どういうつもりなのか知らないけど、はっきり言って、変な奴だこいつ。
そう俺が決め付けていると、そいつは見た目通りの女みたいな清んだ声で俺に声を掛けた。
「好かった。目が醒めたんだ。
ここに連れてきた時は意識がなかったから、心配したよ。
本当に、好かった」
……なんだろう、気のせいなのか……こいつの言葉は優しい気がする。
馬鹿なのか、ひょっとして。
俺がそんな風に考えていると、そいつは俺の傍へと近付く。
反射的に、俺は後ずさる。
「ぁ……」
悲しそうな声をあげて、こいつは身体を硬くする。
って、なんでだ? なんでこいつ――
「泣きそうな表情、すんのかよ」
思わず口に出してしまってから後悔する。
目の前のこいつがどんな相手かも分からないのに、不用意に思った事をそのまま口に出して良い訳がない。
自分の不用意さに焦る俺に、返ってきた声は更に焦っていた。
「ご、ごめんっ! その、また会えるなんて思ってなかったのに会えたから嬉しかったけど、どうして良いか分からなくて。気を遣わせちゃったならごめん。
でも、本当に、ソフィアとまた会えて嬉しいんだ……ただ、それだけなんだよ」
今にも泣き出しそうな表情のまま、絞り出すような響きを込めて、こいつは俺に語り掛けてくる。
じくりと、なぜだか胸が痛む。
その理由を知りたいと、俺は思ってしまった。
けれど今、それ以上に知らなければいけない事は他にある。
「お前、俺に会ったことがあるのかよ」
そう、今こいつは『また会えた』と言った。
それどころか、俺の名前すら知っている。
こいつがどこの誰なのか俺は知らないのに、そんなの恐怖以外の何物でもない。
だから俺は、少しでもこいつの事が知りたくて問い掛ける。
ここから逃げ出してみんなの元に変えるためにも、そうしなきゃいけない。
なのに俺は一瞬とはいえ、しなきゃいけないって思い全部が消え失せちまった。
ぽろぽろと、泣き出したこいつを見てしまったからだ。
「……そう、だよね……ごめん……昔の事なんだから、覚えてる訳ないよね……」
満開に咲いてた花が、一気にしおれるように。
それまでどこかおどおどとしてたけど、それ以上にどこかはしゃいでいるような気配があったのに、今では見る影もない。
どこの誰なのか分からない。
でもそれでも、今こいつが、泣いてしまうほど悲しいんだってことは、それだけは分かった。
ざわざわする。
どうしようもなく、胸の奥がざわついて居ても立っても居られない。
それが何でかなんて分からない。
けれどどうしようもなく、どうにかしたいって想っちまってた。
だから、つい、思うよりも早く、俺はこいつに言ってしまう。
「泣くなっ! 忘れられて悲しいんなら、名前を教えろっ!
それを聞いても覚えてなかったら、ちゃんと俺が謝る。
そうしたら、二度と忘れねぇ。
だから、教えてくれよ、お前の名前」
手を差し出すように、言葉を向ける。
それを受け取り返すかなんて分からなくても、それでもそうしたいって、思っちまった。
返事は、すぐには返ってこなかった。
代わりに返って来たのは、はにかむような笑顔。
俺の言葉を受け止めるような間を空けて、涙を流したまま嬉しそうに笑ったんだ。
「……やっぱり、優しいね、ソフィアは」
まじりけのない、心からの言葉。
何の疑いも無く、俺はそう思っちまった。
どくりっ、と。鼓動が跳ねる。
それと同時に、深い深い心の奥底で、小さく何かがざわめくように跳ねている。
想い出せ、というように。
でもその時の俺に、そんな事に想いを向ける余裕なんてなかった。
だって、どうしようもなく、恥ずかしかったからだ。
(ちょ、なんだこれ?!)
なんでか分かんないけど体が熱い。
子供が子供を褒めるような言葉でしかなかったのに、俺はこいつの言葉に、体が熱くなるほど恥ずかしさを感じてる。
混乱する。どうしようもなく混乱する。
なんであんな言葉だけで自分がこんなになっちまってるのか分からないまま、恥ずかしさをごまかしたくて、俺はつい、言ってしまった。
「誰が優しいんだよ、ばかばかバーカっ!
さっきみたいな言葉で勘違いしてたらひどい目に遭うんだからなっ!」
これに、こいつの笑顔は更に柔らかく、それに嬉しさと楽しさ、おまけに喜びまで混ざって大きくなった。
(なんでだよ!)
思わず心の中で突っ込みを入れちまうけど、声に出せない。
それがむずがゆくて更に恥ずかしい。
そうして声を出せずにいる俺に、涙をぬぐったこいつは、穏やかな声で言った。
「すぐには無理だけど、壁の外に戻してあげる」
「……は?」
言葉の意味は分かっても、すぐには受け入れられないでいる俺に、こいつは続ける。
「足首はかなり痛めてるみたいだから、それが治るまではここに居て。
治るまでに、安全にここから外に行けるように手配をしておくから」
そう言ったこいつの表情は、どこか遠かった。
まるで二度と会えない別れを告げるように。
穏やかだけど、どうしようもなく距離を感じさせる笑顔を浮かべ、言い切った。
それが、違う意味で俺の身体を熱くさせる。
「お前、なに勝手なこと言ってんだ」
「大丈夫。心配しないで。ちゃんと安全に、帰してあげるから」
「ふざけんなっ。お前――」
――名前も教えないくせに勝手なこと言うな!
どうしようもない腹立たしさに、俺がそう言おうとした、その時だった。
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