転生して10年経ったので街を作ることにしました

笹村

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第一章 街を作る前準備編

8 2人の夜 リリスと陽色 いちゃいちゃ甘々 その②

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 ぎゅうっと、リリスは強く強く俺を抱きしめる。
 まるで、俺の言葉を確かめるように。

「陽色……」

 泣き出しそうな表情で、リリスは俺を見詰める。
 そんな表情をさせたくなくて、俺はやさしく見詰めながら、想いを口にした。

「大好き。愛してるよ、リリス。逢えなくたって、それは変わらないから。
 だから、大丈夫。寂しくて、苦しいけど、リリスを想うだけで我慢できるから。
 リリスが、謝る理由なんてどこにもないんだよ。
 苦しまないで。お願い、リリス」

 涙を浮かべ、リリスは苦しげに笑みを浮かべる。
 自分も、寂しくてつらいのだと、言葉にしたい想いを飲み込むように。

 リリスに、そんな表情かおをさせたくなくて、俺は何かを口にしようと思う。
 でも、そんな物は必要ないのだと言うように、リリスは俺の胸にちょこんと額を当てると、

「ありがとう。私も大好きよ。愛してるわ、陽色」

 甘えた声を上げてくれた。
 それが、嬉しい。頼られているようで、心が浮き立つ。
 俺は頭を撫でながら、リリスに返す。

「嬉しいです、そう言って貰えるとすごく。それに、誇らしいんですよ。自分の好きな人が、そんな風に誰かの事を大事に想ってくれるんだって。
 きっと、俺以外の勇者も、嬉しくて嬉しくてたまらないと思います。
 だって、みんなも自分の大事なあいてに逢いたいと思ってるんですから」

 納得するように言いながら、俺はリリスを抱きしめる。
 リリスの選択は、きっと最善の選択だ。
 だから、俺は納得しなくちゃいけない。それぐらい我慢できるんだって、見栄を張りたい気持ちもある。
 でも、それでも寂しい。その寂しさを埋めるように、俺はリリスを求める。

 それは、リリスも同じだった。 

「陽色……」

 俺の頬に手を寄せて、確かめるように優しく撫でてくれる。
 耳をくすぐるように指の腹を滑らせ、やわやわと揉むようにつまむ。
 そして小さな子供にするように、髪をくように頭を撫でてくれた。

 されるがままに、俺はリリスの愛撫を受ける。
 心地好くて、言葉も無く、俺はリリスを見詰めていた。

 同じように、リリスも俺を見詰めてくれる。そして心地好さそうに微笑みながら、

「まだ、大丈夫だから。神々みんなが現世で生きることのできる権能を貸すのは、街が出来て、しばらくしてからにするつもり。
 だから、しばらくは離れ離れにならなくても良いの。
 それにね、街が発展すればするほど、私が現世で振える力は大きくなるはずだから。
 そうなれば、一度に多くの神々みんなを、私も現世に留まったまま、ぶことが出来るようになるの。
 ……そのために、しなきゃいけない事も、出て来るとは思うけど」

 気を沈ませるようなリリスに、俺が心配になって問い掛けようとすると、それより早くリリスは続けた。

「街を立派にするの、頑張ってね、陽色。そうすれば、何もかもみんな、上手くいくと思うから」
「…………」

 すぐには俺は返せなかった。
 少しだけ、リリスは俺に隠し事をしているような気がしたから。
 でも、その疑問を俺は飲み込む。リリスがいま口にしたくないのなら、それで良い。きっといつか、伝えてくれる筈だから。
 何もかもさらけ出す事と、信じることは違うんだ。少しぐらいの隠し事や嘘ぐらい、許せないのは心が狭い。
 それがダメだというのなら、俺がリリスに見栄を張るのだって、いけない事になってしまう。

(それに、なんだか可愛いしな)

 隠し事をして、俺に悪いと思っているリリスがかわいい。すごくかわいい。
 誰が何と言おうがかわいい。

「陽色……?」

 リリスの事をかわいいと思うあまり、ゆるんだ表情かおを見られてしまったのか、不思議そうに呼び掛けるリリスに、

「なんでもないですよ~。リリスはかわいいなぁ、って思っただけですから」

 隠す気も無く素直な気持ちを口にする。するとリリスは、ほんのり顔を赤く染めると、

「もう……ばか……」

 恥ずかしそうに、そして嬉しそうに、俺の胸に額をちょこんと当ててきた。

「うあっ、もうっ、やっぱかわいいですっ」
「んっ……もう、そんなことばっかり言うんだから」

 ぎゅむぎゅむと、俺たちは抱き合う。抱きしめるリリスのやわらかな体が心地好くて気持ちいい。
 リリスを感じながら、俺は甘えるように問い掛けた。

「今日は、もう神座むこうに戻らなくても大丈夫なんですか?」
「ええ、大丈夫。しばらくは、戻らなくても良いぐらい、話し合いをしてきたもの。だから、ね――」

 リリスはうるんだ眼差しで俺を見詰めると、

「今夜はずっと、一緒だよ。一緒に、いようね」

 甘えるように言いながら、ねだるように目をつむる。
 俺はそれに、キスで応えた。

「ん……」

 唇と唇を、触れ合わせるような優しいキス。
 キスする瞬間息を止め、離れる瞬間、息が触れ合う。
 確かめるように触れ合って、俺たちは言葉も無く見詰めあった。

 たまらなく、リリスが欲しくなる。もっともっと、リリスに触れたい。
 俺はリリスを抱き寄せ、頭を撫でながら頬に首にキスをする。

「陽色……」

 熱を帯びた、湿り気のある声。俺を求めてくれる声に導かれるように、リリスの耳を唇で食み、背中に手を這わす。

「ぁ……」

 悦びに震えるような、甘えた声をリリスは上げる。耳に聞こえる心地好さに、俺は身体を熱くさせながら、背中を這わす手を更に下へと滑らせる。
 やわらかなお尻を確かめるように撫で楽しむと、更に味わうようにやわやわと揉みなぶる。

「んっ……」

 リリスの堪えるような声。それが聞こえるだけで興奮する。指を食い込ませるように激しさを増しながら、俺は少しずつスカートをたくし上げようとして、

「ぁ……待っ……陽色……」

 切なげに声を上げながら、俺を止めるように服を握りしめるリリスに、俺は動きを止める。

「……リリス?」

 自分が何か悪いことでもしてしまったのかと、不安になって呼び掛けると、

「陽色……」

 リリスは俺を求めるうるんだ眼差しを向けながら、

「ここで、するの?」

 甘え、ねだるように問い掛けた。
 それが俺を更に興奮させる。そして同時に、自分の間違いに気づかさせる。

「ベットの、方が良いよね……ごめん、ガッツキ過ぎた」

 本気で反省する。色々と溜まってた自覚はあるけれど、それにしても余裕が無さすぎた。
 せっかく今日は一晩中一緒に居れるっていうのに、何を焦っているのか。
 我ながら自己嫌悪を感じていると、

「ううん、良いの。陽色がしたいなら、どこでも」

 リリスは俺に抱き着きながら、

「でも、ベットの方が、好いなぁって思って……そっちの方が、嬉しいの」

 どこか恥ずかしそうに言った。

「ああもうっ、リリスかわいいっ」
「んんっ」

 俺はたまらずぎゅっと抱きしめ、次いで体を少し離すと、

「ベットに行こう、リリス。いっぱい、しようね」

 俺はリリスに甘える。するとリリスは恥ずかしそうにうつむきながら、

「うん……私も、いっぱい、したい……」

 嬉しそうに応えてくれると、俺の膝の上から降りる。

「早く、行こう、陽色」

 ねだるように言うリリスに、

「リリス、ちょっとごめんね」
「え……? きゃあっ」

 俺は、ひょいっとリリスを抱き上げる。
 驚いて、かわいらしい声を上げたリリスに、

「このままベットに連れて行きたい。ダメ?」

 俺はリリスにねだる。するとリリスは表情をほころばせながら、

「うん」

 嬉しそうに頷いてくれた。
 それが俺は嬉しくて、リリスの頬にキスをして、俺の寝室へとお姫さまだっこをしながら2人で向かった。
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