転生して10年経ったので街を作ることにしました

笹村

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第一章 街を作る前準備編

11 王都のみんなに会いに行こう その③ 料理が出るまでお喋りしよう

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「久しぶり、山田」
「上の名前で呼ぶんじゃないわよぉ!」

 中華テーブルを前に座っていた山田薫やまだかおるが、身体をくねくねさせながら声を上げる。

「ちゃんと薫ちゃんと呼びなさいっ、薫ちゃんって!」
「え~。調子乗りそうでやだ~」
「アンタがかわい子ぶってんじゃないわよぉっ! お尻揉んであげるからこっち来なさい!」
「断る! 俺の尻も何もかもリリスの物だからな!」
「キーっ! 隙あらば惚気のろけるわねアンタわっ!」
「もちろんだ!」

 いつもの如くいつものように、薫とバカな会話をする。
 勇者の中で、特に仲の好い一人なので、気安いのを通り越してこういうバカ話が出来る相手だ。

「とにかく良いからこっち座んなさい! 私の隣に! なんなら膝の上でも良いわよ!」

 ガチで男好きなのはともかく、隙あらばこっちの尻を本気で揉もうとするのは頂けないが。
 ちなみに薫は、20代後半に見える男である。
 さっきからくねくねと奇怪な動きをしているが、それを見てもなお「美形」だと思えるほどの、正真正銘の男だ。

 そんな薫は、幻惑の女神ヘルの勇者であると同時に、王都の男娼たちの顔役だったりする。
 元居た世界でも、自力で自分の店を持った上に、愛人5人に店を持たせていたというだけあって、かなりの辣腕だ。

「囲ったつもりの子にお金持ち逃げされてブロークンハートなのよぅ! お尻揉むぐらい良いじゃないのよぅ!」

 かなりのアホでもあるが。

「知るか! ってか、またか! 顔ばっかで選んでるからそんなことになるんだろうが!」
「お尻も見てるわよ!」
「相変わらずだね、アンタら」

 バカ話をしている俺と薫にツッコミが入る。視線を向ければ、胸が大きいので窮屈そうに作業着を来た、20代前半に見える女性の姿が。

「久しぶり、咲」

 彼女は、生命の女神ドゥルガーの勇者である、佐々木咲ささきさきだ。
 生命の神与能力チートスキルを使い、他の同系統の神与能力チートスキルを持った勇者達と協力して、農業や畜産に勤しんでいる。
 薫の隣に座っていた咲は、

「久しぶり、陽色。珍しいわね、こっちに来るの。有希に誘われたの?」

 いつものように、寝起きみたいな、とろんとした表情かおで訊いてくる。
 それに俺は笑顔で返す。

「うん。こっちに来る用事があったから、ついでに有希の所に寄って、誘って貰ったんだ」
「あ、そゆこと。だから有希と一緒に来てたんだ」
「そうだよ。そういえば、みんな来るって聞いていたんだけど、他のみんなは?」
「都合と時間が合ったら、て話だったから、いま来てるのはうちらだけよ」
「そっか。残念だけど、待ってたら、他のみんなも集まるかな?」

 咲と話しながら、有希と一緒に空いていた中華テーブルに座る。
 いま居る部屋は、祝福の女神ヘスティアの勇者、大口五郎が開いている料理店の地下室だ。
 勇者のみんなが集まって食事会が出来るぐらいの、広さとテーブルがある。

 わざわざここにみんなが集まっているのは、下手に勇者のみんながぞろぞろ集まると、何事かと思われるからだ。
 それを避けるために、ここに来るみんなは、有希のどこでも倉庫のドアを通じて来るようにしている。

「そういえば、今日の新メニューって甘い物って聞いたけど、なんなのかな?」

 待ち遠しくなって、俺はみんなに聞いてみる。
 五郎は、元の世界で本格的に修行した料理人だけあって、色々と美味しい物を作ってくれるのだ。

(待ち遠しいな~)

 うきうきしながら待っているのは俺だけでなかったのか、みんなも期待感をいっぱいにして口々に喋り出す。

「詳しくは、来てのお楽しみ、ってことらしいっすよ」
「うちの所に水飴と蜂蜜の発注があったから、それ使った何かじゃない?」
「洋菓子かしらぁ? でも和菓子も良いわよねぇ。こっちの世界に来てから、一度も食べたことないわぁ」
「和菓子か。こっちの豆を使った料理って、しょっぱい系しかないから、あんことかあると嬉しいよね」
「あんこっすか。だったら大判焼きとか、たいやきも良いっすね。リト達も喜びそうっす」
「それならカスタードもありじゃない? ブロイラー方式で卵の安定供給の目処立ったから、作って欲しいのよね。あ~、シュークリームも食べたい」
「え? ブロイラー実用段階にまで来たの? マジで?」
「マジよ。卵ご飯を食べるために必死になったんだから」

 徐々に話が変わって来たころ、部屋の入り口の扉が開かれる。

「待たせたな!」

 勢い良く入って来たのは、目つきの鋭い20代前半に見える男性、大口五郎だ。
 五郎は、大きな皿に乗せられた真っ白なお菓子を俺たちの前に差し出し、自信たっぷりに言った。

「中国皇帝も愛した『龍のひげ』だ。美味いから、食ってくれ!」

 そうして差し出されたのは、

「わたがしじゃん」
「わたがしっすね」
「わたがしかぁ」
「わたがしよねぇ」

 一口サイズの綿菓子にみえる何かだった。
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