68 / 115
第二章 街予定地の問題を解決しよう編
2 街予定地に到着するまで車内販売試食会 その② 食堂車
しおりを挟む
「ふぃぃ……疲れたぁ……」
「半端ねぇ数だった……」
蒸気機関車が出発してからしばらく経って、俺と五郎は固定式の大理石テーブルに突っ伏していた。
出発前に、宣伝を兼ねて綿菓子無料プレゼント、なんてのを見に来てくれた人達にしたんだけど、予想以上に盛況すぎた。
次から次に人がやって来て、出発時間を三十分もオーバーしちゃうほど。
俺も配ったりを手伝ったんだけど、鬼気迫る勢いで綿菓子を求めて人が来たので、ちょっと気疲れしちゃったんだ。
(あそこまでウケるとは思わなかったなぁ……)
元居た世界の感覚をまだ引き摺ってるせいか、こういう所の見極めで偶にポカをする。
俺たちにとってはありふれた物でも、こっちの人達にとっては生まれて初めて見る物なんだ。
(気を付けよう……)
なんて思っていると、ふわりと甘い香りが。心が落ち着くような、その匂いに誘われて顔を上げると、
「お疲れ様でした。アザルの花茶を淹れてみたんですが、飲んで頂けますか?」
メイドさんがお茶を入れたカップを俺の前に置いてくれた。
カルナのメイドさんのミリィだ。魔術協会の代表としてカルナには乗って貰ったんだけど、彼女も一緒について来ている。
「ありがとう。ちょうど、喉が渇いてたんだ。助かったよ」
礼を一つ返して一口。やさしい甘さが、ふんわりと広がる。熱くも温くもない、ちょうど良い温度だ。
「美味しい。お茶を淹れるの、上手なんだね」
褒められたミリィは、はにかんだように小さく笑顔を浮かべる。
「ありがとうございます。ここの設備が、良かったお蔭です」
「それだけじゃないと思うよ。本人の腕だよ」
「おお、確かにな。アザルの花茶、淹れる温度が少し違うだけで、味が変わるからな。この味出すにゃ、何度も試したはずだ。謙遜しなくても良いんだぜ」
本職の料理人な五郎に褒められて恥ずかしかったのか、ミリィは顔を軽くうつむかせると、
「いえ、そんなことは……その、カルナさまが、お好きでしたから……」
うっすらと耳を赤くして、小さな声で応えた。
ちなみに、少し離れたテーブルに座ってるカルナの耳も赤いです。
お茶を飲んで聞こえない振りしてるけど、バレバレです。
そんな2人に苦笑しそうになるけど、気付かれると更に顔を赤くしそうなので我慢我慢。
代わりに、ここの台所の使い勝手を聞いてみる。
「ねぇ、ミリィ。ここの設備が良いって言ってくれたけど、そんなに使い勝手が良かった?」
これにミリィは、顔を輝かせながら応えてくれる。
「ええ、とても素晴らしいです。スイッチをひねるだけで火がつくなんて。それも細かな調節まで出来るんです。夢のようです、まるで」
心の底から感激してるのが伝わって来るぐらい、声が弾んでる。
彼女が感激してるのは、ガスコンロのことだ。魔導具でも似たような物はあるんだけど、基本的に融通が利かない。
強火がずっと続く、とかの大雑把な物しかないんだ。しかも、とんでもなく高いし。
その点ガスコンロなら、細かな火の調整も出来るので便利だ。
台所仕事をするメイドさんなら、その便利さに喜ばない訳がない。
「気に入って貰えたなら良かったよ。本職のメイドさんが気に入るほどなんだから、他のみんなも気に入ってくれるだろうね」
「ええ、きっとそうです」
まるで自分の事のように、嬉しそうにミリィは言ってくれる。
「こんなに大きな乗り物に乗れるだけでもすごいのに、台所も何もかも全部あるんです。こんな素敵な乗り物、見たことないです」
嬉しそうに褒めてくれるミリィに、ちょっと照れるぐらい俺は嬉しくなる。
(苦労はあったけど、食堂車を作って正解だったな)
協力してくれたみんなの事を思い出しながら、俺はいま居る場所を改めて見まわした。
一言で言うと高級レストラン。そう思えるぐらい立派な食堂車なんだ、いま居るのは。
固定された大理石の4人掛けテーブルが幾つも置かれ、足元は落ち着いた色彩の絨毯敷き。
車体が高く大きいので、揺れを防止する機構をガッツリ組み込み、走行中でもテーブルに置かれたお茶が零れないようにしている。
調度類も、落ちついた品の良いものを揃え、居心地良くしていた。
蒸気機関車を運行するのに、どうやって商売として回していこうかと考えて、その一つの案として出したのがこれなんだ。
上流階級向けの超豪華列車。その一環として、超高級路線の食堂車を導入してる。
他にも、一両丸ごと使い切った『移動するスイートルーム』なんてのも作ってる。
そんな物を作って儲けが出るのかというと、思いっきり出る。お客をガッチリ掴めば、という話ではあるけども。
なにしろこの世界、貴族とかがガッツリと実権を握ってるのだ。元居た世界の「お金持ち」とは次元の違う権力者がごろごろいる。
元の世界だと自家用ジェット機を買うノリで、ぽんっと蒸気機関車を買えるのが結構いるのだ。
そういったお客用の食堂車両の試運転も、今日は兼ねている。
だから10人ほど、今この食堂車には居るのだけど、みんな思い思いにくつろいでる。
「これなら大丈夫、かな?」
「なにがだ?」
思わず思ったことを口にしちゃった俺に、五郎が訊いてくる。
「ん? いや、みんなくつろいでくれてるし、これならお客さんが喜んできてくれるだろうなって思ったんだよ」
「乗り心地が好いからな。でもよ、食堂車に乗ってるんだ。それだけじゃ物足りねぇだろ」
そう言って五郎は立ち上がると、台所に向かう。
「何か作ってくれるの?」
「作る、ってよりは、もう作ってある。金持ち用じゃない、一般向けの車内販売も、するって言ってただろ」
「うん、そのつもりだけど……え? ひょっとしてもう作ったの?」
「ああ、試作段階だが、幾つかな。せっかくの機会だから、試食して貰おうと思ってな。だから、有希も呼んで、子供達も連れて来て貰ったんだ」
五郎の言葉に、子供達と一緒に居る有希に視線が向く。家族で旅行をしてるみたいに、子供達がはしゃいでるのが、見てて和む。
「子供用とかも、作ったの?」
「子供用じゃねぇけど、子供が食べても美味い物を作ったつもりだ。ま、実際に食べて貰った訳じゃないからな、試して貰わねぇとダメだけどな」
そう言うと、振り返る事も無く台所に。車両の一角を使って、外からは見えない仕様になってるので、なにがあるのかは分からない。
「楽しみだな」
なにが出て来るのか、ワクワクしながら俺は、みんなと一緒に待っていた。
「半端ねぇ数だった……」
蒸気機関車が出発してからしばらく経って、俺と五郎は固定式の大理石テーブルに突っ伏していた。
出発前に、宣伝を兼ねて綿菓子無料プレゼント、なんてのを見に来てくれた人達にしたんだけど、予想以上に盛況すぎた。
次から次に人がやって来て、出発時間を三十分もオーバーしちゃうほど。
俺も配ったりを手伝ったんだけど、鬼気迫る勢いで綿菓子を求めて人が来たので、ちょっと気疲れしちゃったんだ。
(あそこまでウケるとは思わなかったなぁ……)
元居た世界の感覚をまだ引き摺ってるせいか、こういう所の見極めで偶にポカをする。
俺たちにとってはありふれた物でも、こっちの人達にとっては生まれて初めて見る物なんだ。
(気を付けよう……)
なんて思っていると、ふわりと甘い香りが。心が落ち着くような、その匂いに誘われて顔を上げると、
「お疲れ様でした。アザルの花茶を淹れてみたんですが、飲んで頂けますか?」
メイドさんがお茶を入れたカップを俺の前に置いてくれた。
カルナのメイドさんのミリィだ。魔術協会の代表としてカルナには乗って貰ったんだけど、彼女も一緒について来ている。
「ありがとう。ちょうど、喉が渇いてたんだ。助かったよ」
礼を一つ返して一口。やさしい甘さが、ふんわりと広がる。熱くも温くもない、ちょうど良い温度だ。
「美味しい。お茶を淹れるの、上手なんだね」
褒められたミリィは、はにかんだように小さく笑顔を浮かべる。
「ありがとうございます。ここの設備が、良かったお蔭です」
「それだけじゃないと思うよ。本人の腕だよ」
「おお、確かにな。アザルの花茶、淹れる温度が少し違うだけで、味が変わるからな。この味出すにゃ、何度も試したはずだ。謙遜しなくても良いんだぜ」
本職の料理人な五郎に褒められて恥ずかしかったのか、ミリィは顔を軽くうつむかせると、
「いえ、そんなことは……その、カルナさまが、お好きでしたから……」
うっすらと耳を赤くして、小さな声で応えた。
ちなみに、少し離れたテーブルに座ってるカルナの耳も赤いです。
お茶を飲んで聞こえない振りしてるけど、バレバレです。
そんな2人に苦笑しそうになるけど、気付かれると更に顔を赤くしそうなので我慢我慢。
代わりに、ここの台所の使い勝手を聞いてみる。
「ねぇ、ミリィ。ここの設備が良いって言ってくれたけど、そんなに使い勝手が良かった?」
これにミリィは、顔を輝かせながら応えてくれる。
「ええ、とても素晴らしいです。スイッチをひねるだけで火がつくなんて。それも細かな調節まで出来るんです。夢のようです、まるで」
心の底から感激してるのが伝わって来るぐらい、声が弾んでる。
彼女が感激してるのは、ガスコンロのことだ。魔導具でも似たような物はあるんだけど、基本的に融通が利かない。
強火がずっと続く、とかの大雑把な物しかないんだ。しかも、とんでもなく高いし。
その点ガスコンロなら、細かな火の調整も出来るので便利だ。
台所仕事をするメイドさんなら、その便利さに喜ばない訳がない。
「気に入って貰えたなら良かったよ。本職のメイドさんが気に入るほどなんだから、他のみんなも気に入ってくれるだろうね」
「ええ、きっとそうです」
まるで自分の事のように、嬉しそうにミリィは言ってくれる。
「こんなに大きな乗り物に乗れるだけでもすごいのに、台所も何もかも全部あるんです。こんな素敵な乗り物、見たことないです」
嬉しそうに褒めてくれるミリィに、ちょっと照れるぐらい俺は嬉しくなる。
(苦労はあったけど、食堂車を作って正解だったな)
協力してくれたみんなの事を思い出しながら、俺はいま居る場所を改めて見まわした。
一言で言うと高級レストラン。そう思えるぐらい立派な食堂車なんだ、いま居るのは。
固定された大理石の4人掛けテーブルが幾つも置かれ、足元は落ち着いた色彩の絨毯敷き。
車体が高く大きいので、揺れを防止する機構をガッツリ組み込み、走行中でもテーブルに置かれたお茶が零れないようにしている。
調度類も、落ちついた品の良いものを揃え、居心地良くしていた。
蒸気機関車を運行するのに、どうやって商売として回していこうかと考えて、その一つの案として出したのがこれなんだ。
上流階級向けの超豪華列車。その一環として、超高級路線の食堂車を導入してる。
他にも、一両丸ごと使い切った『移動するスイートルーム』なんてのも作ってる。
そんな物を作って儲けが出るのかというと、思いっきり出る。お客をガッチリ掴めば、という話ではあるけども。
なにしろこの世界、貴族とかがガッツリと実権を握ってるのだ。元居た世界の「お金持ち」とは次元の違う権力者がごろごろいる。
元の世界だと自家用ジェット機を買うノリで、ぽんっと蒸気機関車を買えるのが結構いるのだ。
そういったお客用の食堂車両の試運転も、今日は兼ねている。
だから10人ほど、今この食堂車には居るのだけど、みんな思い思いにくつろいでる。
「これなら大丈夫、かな?」
「なにがだ?」
思わず思ったことを口にしちゃった俺に、五郎が訊いてくる。
「ん? いや、みんなくつろいでくれてるし、これならお客さんが喜んできてくれるだろうなって思ったんだよ」
「乗り心地が好いからな。でもよ、食堂車に乗ってるんだ。それだけじゃ物足りねぇだろ」
そう言って五郎は立ち上がると、台所に向かう。
「何か作ってくれるの?」
「作る、ってよりは、もう作ってある。金持ち用じゃない、一般向けの車内販売も、するって言ってただろ」
「うん、そのつもりだけど……え? ひょっとしてもう作ったの?」
「ああ、試作段階だが、幾つかな。せっかくの機会だから、試食して貰おうと思ってな。だから、有希も呼んで、子供達も連れて来て貰ったんだ」
五郎の言葉に、子供達と一緒に居る有希に視線が向く。家族で旅行をしてるみたいに、子供達がはしゃいでるのが、見てて和む。
「子供用とかも、作ったの?」
「子供用じゃねぇけど、子供が食べても美味い物を作ったつもりだ。ま、実際に食べて貰った訳じゃないからな、試して貰わねぇとダメだけどな」
そう言うと、振り返る事も無く台所に。車両の一角を使って、外からは見えない仕様になってるので、なにがあるのかは分からない。
「楽しみだな」
なにが出て来るのか、ワクワクしながら俺は、みんなと一緒に待っていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる