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第二章 街予定地の問題を解決しよう編
8 まずは前線基地で準備しよう その②
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「こちらから進撃し続けるのではなく、引き付けてから倒す。
戦術の基本は、それで良いのですね?」
「はい。魔物は、どこにどれだけ居るのか分かりません。踏み込み過ぎて魔物の群れに囲まれるよりも、継続して狩り続けられる体制を取った方が良いですから」
魔物をこちらから探し出して全てを狩り尽くすのではなく、魔物と遭遇し、そこから前線基地であるここまで帰って来て戦う。
それが今回の戦い方だ。
この戦い方を選んだのは、シュオルの広さが一番の理由だ。
街として積極的に利用できるのは、いま居る場所から半径数キロといった所だけど、その外側にもシュオルの痕跡はある。
街に供給する食糧を作るための外周村落。そこまで入れれば、記録からすれば20キロを超える。
その広さを、500人程度で魔物を探し回って戦うのは無理があり過ぎる。
なので、まずは囮として魔物を探し出す部隊を出し、その後に魔物を引き付けつつ、前線基地まで誘導した上で倒すということだ。
「囮となる部隊は、志願者からはどれほど出されるのですか?」
駆け引きをするように、ラングレーさんは問い掛けてくる。これに俺は、穏やかな声で返した。
「分隊3つを一つの部隊として、それを5部隊出します」
「……それは、ほぼ志願者の全員ですね。それで構わないのですか?」
「はい。まずは志願者の皆さんには、実戦を経験して貰いたいので。言い方は悪いですが、無理やりにでも強くなって貰う必要がありますから」
「強制的なレベルアップ、といった所ですか?」
「はい。それと同時に、向き不向きの見極めもしたいですから。前線で戦うのに向いていないなら、それはそれで、後方支援に向かって貰います」
「ははっ、手厳しい。意外ですね。もっと、お優しいことを言われると思いましたが」
「不向きな仕事に回して、潰れるような真似はさせたくないですから。その為なら、幾らでも厳しいことは言います」
「……なるほど。指導者に向いてらっしゃる。さて、そちらがそこまで言われるなら、私達としても同様の数を出さねばなりませんね。となれば、この前線基地には200名ほどが残ることになる。それでよろしいですか?」
「はい、それでお願いします。人員の選別は、お任せします」
どこか指揮権の取り合いのようになってしまっているけど、ある意味しょうがない。
こちらとしては、あくまでも協力して貰っている立場なんだ。あまり無茶は言えない。けれど、
「ただ一つ、お願いしたい事があるのですが、かまいませんか?」
「……なんでしょう?」
警戒するように聞き返すラングレーさんに、俺は言った。
「こちらの人員を、一部そちらの部隊に引き受けて頂けませんか?」
「人員の受け入れ、ですか?」
「はい。円滑な情報交換も兼ねて、お願いしたいと思っています」
「……構いませんが、一体どなたを?」
この問い掛けに返したのは、3人の美女たちだった。
「わしらじゃ。よろしく頼む」
「お願いね~」
「よろしく」
それは魔術神マゲイアの勇者である、和花と武子、そして瑠璃だ。
いつもは幼女の姿になっている3人は、今日は本来の姿になっている。
場合によっては、神与能力を全開で使って貰わないといけないので、その妨げになる幼女化は解除していたんだ。
「指揮は、そちらに従うからのぅ。せいぜい、こき使ってくれ」
にやり、という感じなのに、どこか妖艶さを感じさせる笑みを浮かべ和花が言った。
すらりとしていながら、出る所は出て引っ込む所は引っ込んでいるというモデル体型な上に、匂い立つような色香も併せ持っている。
そんな和花に続けるように、武子と瑠璃もラングレーさんに言う。
「魔術より~、本当は拳で戦うのが好みなんだけど~、言う通りに戦います~」
180センチ近い、女性としては長身の武子は、のんびりとした声で言う。
背は高いのだけど、全体のプロポーションが均整がとれ、女性としての丸みも十分過ぎるほどあるので色っぽい。
実家が古武道を教えていたとかで、それを習熟していた事もあり、姿勢は綺麗で凛とした雰囲気を漂わせていた。
「まっ、臨時雇いの部下だと思って、好きに使って下さい」
おっとりとした声で、瑠璃も言う。
清楚で儚い美少女といった見た目なのだけど、どこかさばさばした雰囲気を醸し出していた。
そんな3人の言葉を受けてラングレーさんは、
「勇者の御三方に協力して頂けるとは、頼もしい限りです。ですが、仰られたように、こちらの指示に従って頂きますが、かまいませんね?」
「はい。それでお願いします」
こちらの目的は、死者を1人も出さないための保険なので、指揮権の取り合いみたいな権力闘争はする気はない。
だから、その部分はラングレーさんの要望を丸ごと飲み込み、受け入れた。
そうして更に幾つかミーティングを重ね話し合いを終らせると、今度は待っている志願者のみんなの元に。
じっと直立不動のまま、こちらを目を輝かせてみているみんなに、くすぐったい気持ちになる。
けど、それに流される訳にはいかないので、言うべきことは言ったんだ。
「これから戦いに出ます! 各自、道中の車内で言ったことを思い出して下さい!
絶対に死なず、生きて戻って来ること!
その邪魔になる物は全部、ここで捨てて下さい!
見栄も欲も羞恥もなにもかも! 生き残る勇気を胸に、生き足掻く覚悟を!
それが出来た人だけを、これから戦いの場に連れていきます!」
思い思いに俺の言葉を受け止めてくれるみんなの表情に、俺は勇気が湧いて出る。
それはかつて、俺たち勇者が浮かべていた表情。
戦う意志と、生き残ろうとする決意を込めた表情だった。
それに支えられるように、俺は静かに号令を口にする。
「覚悟が出来た人から、車内で伝えた配置通り隊列を組んで下さい。
全てが組み終わってから、魔物を引き付ける囮役として、戦いに出ます」
俺の号令を聞くと同時に、みんなは動く。
慣れない部分はあったけど、みんな精一杯動いていた。
僅かな時間で全ての隊列は組み終わり、それを確認した俺は、みんなを率いて戦いの場に赴いた。
戦術の基本は、それで良いのですね?」
「はい。魔物は、どこにどれだけ居るのか分かりません。踏み込み過ぎて魔物の群れに囲まれるよりも、継続して狩り続けられる体制を取った方が良いですから」
魔物をこちらから探し出して全てを狩り尽くすのではなく、魔物と遭遇し、そこから前線基地であるここまで帰って来て戦う。
それが今回の戦い方だ。
この戦い方を選んだのは、シュオルの広さが一番の理由だ。
街として積極的に利用できるのは、いま居る場所から半径数キロといった所だけど、その外側にもシュオルの痕跡はある。
街に供給する食糧を作るための外周村落。そこまで入れれば、記録からすれば20キロを超える。
その広さを、500人程度で魔物を探し回って戦うのは無理があり過ぎる。
なので、まずは囮として魔物を探し出す部隊を出し、その後に魔物を引き付けつつ、前線基地まで誘導した上で倒すということだ。
「囮となる部隊は、志願者からはどれほど出されるのですか?」
駆け引きをするように、ラングレーさんは問い掛けてくる。これに俺は、穏やかな声で返した。
「分隊3つを一つの部隊として、それを5部隊出します」
「……それは、ほぼ志願者の全員ですね。それで構わないのですか?」
「はい。まずは志願者の皆さんには、実戦を経験して貰いたいので。言い方は悪いですが、無理やりにでも強くなって貰う必要がありますから」
「強制的なレベルアップ、といった所ですか?」
「はい。それと同時に、向き不向きの見極めもしたいですから。前線で戦うのに向いていないなら、それはそれで、後方支援に向かって貰います」
「ははっ、手厳しい。意外ですね。もっと、お優しいことを言われると思いましたが」
「不向きな仕事に回して、潰れるような真似はさせたくないですから。その為なら、幾らでも厳しいことは言います」
「……なるほど。指導者に向いてらっしゃる。さて、そちらがそこまで言われるなら、私達としても同様の数を出さねばなりませんね。となれば、この前線基地には200名ほどが残ることになる。それでよろしいですか?」
「はい、それでお願いします。人員の選別は、お任せします」
どこか指揮権の取り合いのようになってしまっているけど、ある意味しょうがない。
こちらとしては、あくまでも協力して貰っている立場なんだ。あまり無茶は言えない。けれど、
「ただ一つ、お願いしたい事があるのですが、かまいませんか?」
「……なんでしょう?」
警戒するように聞き返すラングレーさんに、俺は言った。
「こちらの人員を、一部そちらの部隊に引き受けて頂けませんか?」
「人員の受け入れ、ですか?」
「はい。円滑な情報交換も兼ねて、お願いしたいと思っています」
「……構いませんが、一体どなたを?」
この問い掛けに返したのは、3人の美女たちだった。
「わしらじゃ。よろしく頼む」
「お願いね~」
「よろしく」
それは魔術神マゲイアの勇者である、和花と武子、そして瑠璃だ。
いつもは幼女の姿になっている3人は、今日は本来の姿になっている。
場合によっては、神与能力を全開で使って貰わないといけないので、その妨げになる幼女化は解除していたんだ。
「指揮は、そちらに従うからのぅ。せいぜい、こき使ってくれ」
にやり、という感じなのに、どこか妖艶さを感じさせる笑みを浮かべ和花が言った。
すらりとしていながら、出る所は出て引っ込む所は引っ込んでいるというモデル体型な上に、匂い立つような色香も併せ持っている。
そんな和花に続けるように、武子と瑠璃もラングレーさんに言う。
「魔術より~、本当は拳で戦うのが好みなんだけど~、言う通りに戦います~」
180センチ近い、女性としては長身の武子は、のんびりとした声で言う。
背は高いのだけど、全体のプロポーションが均整がとれ、女性としての丸みも十分過ぎるほどあるので色っぽい。
実家が古武道を教えていたとかで、それを習熟していた事もあり、姿勢は綺麗で凛とした雰囲気を漂わせていた。
「まっ、臨時雇いの部下だと思って、好きに使って下さい」
おっとりとした声で、瑠璃も言う。
清楚で儚い美少女といった見た目なのだけど、どこかさばさばした雰囲気を醸し出していた。
そんな3人の言葉を受けてラングレーさんは、
「勇者の御三方に協力して頂けるとは、頼もしい限りです。ですが、仰られたように、こちらの指示に従って頂きますが、かまいませんね?」
「はい。それでお願いします」
こちらの目的は、死者を1人も出さないための保険なので、指揮権の取り合いみたいな権力闘争はする気はない。
だから、その部分はラングレーさんの要望を丸ごと飲み込み、受け入れた。
そうして更に幾つかミーティングを重ね話し合いを終らせると、今度は待っている志願者のみんなの元に。
じっと直立不動のまま、こちらを目を輝かせてみているみんなに、くすぐったい気持ちになる。
けど、それに流される訳にはいかないので、言うべきことは言ったんだ。
「これから戦いに出ます! 各自、道中の車内で言ったことを思い出して下さい!
絶対に死なず、生きて戻って来ること!
その邪魔になる物は全部、ここで捨てて下さい!
見栄も欲も羞恥もなにもかも! 生き残る勇気を胸に、生き足掻く覚悟を!
それが出来た人だけを、これから戦いの場に連れていきます!」
思い思いに俺の言葉を受け止めてくれるみんなの表情に、俺は勇気が湧いて出る。
それはかつて、俺たち勇者が浮かべていた表情。
戦う意志と、生き残ろうとする決意を込めた表情だった。
それに支えられるように、俺は静かに号令を口にする。
「覚悟が出来た人から、車内で伝えた配置通り隊列を組んで下さい。
全てが組み終わってから、魔物を引き付ける囮役として、戦いに出ます」
俺の号令を聞くと同時に、みんなは動く。
慣れない部分はあったけど、みんな精一杯動いていた。
僅かな時間で全ての隊列は組み終わり、それを確認した俺は、みんなを率いて戦いの場に赴いた。
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