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第二章 街予定地の問題を解決しよう編
9 進撃開始 その④
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「3班は2班と入れ替わりで遠距離攻撃魔術! 攻撃の隙間は作るな! 途切れず攻撃を続け、2班はその間に後退しろ!」
カルナが自分の受け持つ部隊に指示を出す。カルナ達の元に向かった魔物は2体。
盾を持つ巨大な魔物と、何本もの触腕を手甲のような武器で覆った魔物。
最初、同時に突進して来たそれを分断するために、カルナが巨大な雷の塊を叩き付け動きを止めると部隊に指示を飛ばし、その場に釘付けにしたのだ。
一撃の威力よりも攻撃速度に重点を置いて、絶え間ない飽和攻撃を与えている。
それは全て、もう1体の魔物を倒そうと奮闘する、近接戦闘部隊を援護する為だ。
「ギイュイイイン」
魔物が鳴き声を上げながら、触腕を振るう。
頭部に当たる球状の黒の塊に無数の目玉を生やし、周囲全てを見詰めながら魔術師たちを襲っていた。
「ひっ!」
恐怖にひきつった声を上げながら、魔術師の1人が触腕を辛うじて避ける。
魔物の腕は、それぞれ両肩に4本ずつの合計8本。
それが不規則な動きで襲い掛かってくる。
人間の腕のような動きじゃない。まるでゴムか何かのようにうねり、地面を抉る威力を叩き込もうとして来る。
それを受ける魔術師たちの動きは悪い。
魔術で防御できるとはいえ、生き死にの掛かった戦いを生身で初めてしているのだ。
恐怖で動きが鈍るのも仕方がない。
しかも、それ意外にも理由がある。
魔術で強化した肉体の感覚に意識が連いて行けてないんだ。
魔術師の人達の大半は、何らかの戦闘訓練をした事の無い素人なので、体の動かし方自体が分かってない。
強化した自分の体に振り回されるようにして、避けるのが精いっぱいだった。
けれどそれも、少しずつ慣れていっている。
時間さえあれば、どうにかなったかもしれない。
でも、魔物がそれを許さない。
鞭のように腕をしならせ、規則性の無いデタラメな動きを見せる。
地面を抉りながら、攻撃範囲を少しずつ広げていき、魔術師たちを追い詰める。
反撃するどころか、攻撃するために踏み込む事すら出来ず、魔術師たちは距離を取ることしか出来ない。
そこに、腕を振り回しながら魔物が突っ込んでくる。
あまりの速さに避け切ることが出来ず、それどころかこけてしまった魔術師の1人に、魔物の腕が迫る。
まさに一瞬。魔術師を抉るように跳んできた魔物の腕が当たろうとしたその時、ミリィの拳が殴りつけ粉砕した。
鋼が砕けるような激音と共に、魔物の腕が跡形もなく砕け散る。
僅かに、魔物は動きが鈍る。その猶予を、ミリィは魔術師への言葉に費やした。
「怪我はありませんか?」
やさしい、穏やかな声。戦いの中にあって余裕を見せるようなその声に、助けられた魔術師の少年は息を飲むようにして小さく頷く。
「好かった」
安心するような笑顔を一瞬だけ見せ、ミリィは魔物と対峙する。
「待って、1人じゃ、危ないです!」
恐怖と戦いながら立ち上がり、ミリィを心配する魔術師の少年に、
「大丈夫です。独りじゃ、ありませんから。みなさんが、います」
ミリィは力強く返し、魔物に立ち向かう。
まっすぐに踏み込む。魔物の腕を一つ破壊したとはいえ、まだ7つが健在。
しかも破壊された腕すら、瞬く間に再生している。
それでもミリィは恐れずに踏み込む。
魔物は迎撃せんと、健在な7つの腕全てを解き放った。
それぞれがタイミングをずらし襲い掛かる7つの腕は、しかし1つたりともミリィに触れることすら出来ない。
右から襲い掛かった一撃は、踏み込みの速さに追い付けず空振りし、左から襲いくる一撃は、殴りつけられ弾かれる。
そこから間髪入れず続けざまの5連撃を、ミリィは軽やかな足さばきで全てを避け切った。
まるで舞い踊るかのような流麗な動きで、魔物の攻撃を捌き切ったミリィは、さらに一歩前に。
引き絞られる拳が狙うは、がら空きの胴体。
詠唱と共に、撃ち放つ。
「我が拳は刃なり、我が敵を断ち切るものなり。斬り裂け、刃拳!」
弧を描いて放たれた拳は、半月状の衝撃波を撃ち出す。
至近距離で放たれたそれを、魔物は避け切れない。
横一文字に、上半身と下半身を断ち切られた。
だが、その瞬間――
「ギイイイイイッ!」
叫び声を上げながら魔物は自分の腕を伸ばし、切り離された上半身と下半身を掴み無理やり合わせると、傷口を握り潰すようにして無理やり塞ぐ。
その途端、斬り口が蠢き身体を繋げる。
ふざけた再生力を見せた魔物は、即座に大きく後ろに跳び退き、ミリィから距離を取った。
ミリィを脅威と見たのか、その後の魔物は戦法を変える。
間断なく拳を撃ち出しながら、絶えずミリィに踏み込まれないよう動き続ける。
ミリィは即座に追うも、放たれる拳を叩き落し、あるいは砕く間に距離を離されてしまう。
追い付くことが出来ない。そんなミリィをあざ笑うかのように、
「ヒイキキキキキキッ!」
魔物は鳴き声を上げながら拳を放ち続けた。
けれど、そんな物はミリィの勢いを止める邪魔になんてならない。
どれだけ逃げられようが追い続け、その拳を届かせようと踏み込み続ける。
果敢に戦う一人の少女。魔術師ではない、それどころか自分達よりも年が低いかもしれない彼女の勇敢さ。
それを目の当たりにした魔術師たちに、闘志が灯る。
それは魔術師としての意地であり、ミリィを助けねばという勇気。
戦う意志で恐怖を飲み込み、魔術師たちは一歩踏み出した。
カルナが自分の受け持つ部隊に指示を出す。カルナ達の元に向かった魔物は2体。
盾を持つ巨大な魔物と、何本もの触腕を手甲のような武器で覆った魔物。
最初、同時に突進して来たそれを分断するために、カルナが巨大な雷の塊を叩き付け動きを止めると部隊に指示を飛ばし、その場に釘付けにしたのだ。
一撃の威力よりも攻撃速度に重点を置いて、絶え間ない飽和攻撃を与えている。
それは全て、もう1体の魔物を倒そうと奮闘する、近接戦闘部隊を援護する為だ。
「ギイュイイイン」
魔物が鳴き声を上げながら、触腕を振るう。
頭部に当たる球状の黒の塊に無数の目玉を生やし、周囲全てを見詰めながら魔術師たちを襲っていた。
「ひっ!」
恐怖にひきつった声を上げながら、魔術師の1人が触腕を辛うじて避ける。
魔物の腕は、それぞれ両肩に4本ずつの合計8本。
それが不規則な動きで襲い掛かってくる。
人間の腕のような動きじゃない。まるでゴムか何かのようにうねり、地面を抉る威力を叩き込もうとして来る。
それを受ける魔術師たちの動きは悪い。
魔術で防御できるとはいえ、生き死にの掛かった戦いを生身で初めてしているのだ。
恐怖で動きが鈍るのも仕方がない。
しかも、それ意外にも理由がある。
魔術で強化した肉体の感覚に意識が連いて行けてないんだ。
魔術師の人達の大半は、何らかの戦闘訓練をした事の無い素人なので、体の動かし方自体が分かってない。
強化した自分の体に振り回されるようにして、避けるのが精いっぱいだった。
けれどそれも、少しずつ慣れていっている。
時間さえあれば、どうにかなったかもしれない。
でも、魔物がそれを許さない。
鞭のように腕をしならせ、規則性の無いデタラメな動きを見せる。
地面を抉りながら、攻撃範囲を少しずつ広げていき、魔術師たちを追い詰める。
反撃するどころか、攻撃するために踏み込む事すら出来ず、魔術師たちは距離を取ることしか出来ない。
そこに、腕を振り回しながら魔物が突っ込んでくる。
あまりの速さに避け切ることが出来ず、それどころかこけてしまった魔術師の1人に、魔物の腕が迫る。
まさに一瞬。魔術師を抉るように跳んできた魔物の腕が当たろうとしたその時、ミリィの拳が殴りつけ粉砕した。
鋼が砕けるような激音と共に、魔物の腕が跡形もなく砕け散る。
僅かに、魔物は動きが鈍る。その猶予を、ミリィは魔術師への言葉に費やした。
「怪我はありませんか?」
やさしい、穏やかな声。戦いの中にあって余裕を見せるようなその声に、助けられた魔術師の少年は息を飲むようにして小さく頷く。
「好かった」
安心するような笑顔を一瞬だけ見せ、ミリィは魔物と対峙する。
「待って、1人じゃ、危ないです!」
恐怖と戦いながら立ち上がり、ミリィを心配する魔術師の少年に、
「大丈夫です。独りじゃ、ありませんから。みなさんが、います」
ミリィは力強く返し、魔物に立ち向かう。
まっすぐに踏み込む。魔物の腕を一つ破壊したとはいえ、まだ7つが健在。
しかも破壊された腕すら、瞬く間に再生している。
それでもミリィは恐れずに踏み込む。
魔物は迎撃せんと、健在な7つの腕全てを解き放った。
それぞれがタイミングをずらし襲い掛かる7つの腕は、しかし1つたりともミリィに触れることすら出来ない。
右から襲い掛かった一撃は、踏み込みの速さに追い付けず空振りし、左から襲いくる一撃は、殴りつけられ弾かれる。
そこから間髪入れず続けざまの5連撃を、ミリィは軽やかな足さばきで全てを避け切った。
まるで舞い踊るかのような流麗な動きで、魔物の攻撃を捌き切ったミリィは、さらに一歩前に。
引き絞られる拳が狙うは、がら空きの胴体。
詠唱と共に、撃ち放つ。
「我が拳は刃なり、我が敵を断ち切るものなり。斬り裂け、刃拳!」
弧を描いて放たれた拳は、半月状の衝撃波を撃ち出す。
至近距離で放たれたそれを、魔物は避け切れない。
横一文字に、上半身と下半身を断ち切られた。
だが、その瞬間――
「ギイイイイイッ!」
叫び声を上げながら魔物は自分の腕を伸ばし、切り離された上半身と下半身を掴み無理やり合わせると、傷口を握り潰すようにして無理やり塞ぐ。
その途端、斬り口が蠢き身体を繋げる。
ふざけた再生力を見せた魔物は、即座に大きく後ろに跳び退き、ミリィから距離を取った。
ミリィを脅威と見たのか、その後の魔物は戦法を変える。
間断なく拳を撃ち出しながら、絶えずミリィに踏み込まれないよう動き続ける。
ミリィは即座に追うも、放たれる拳を叩き落し、あるいは砕く間に距離を離されてしまう。
追い付くことが出来ない。そんなミリィをあざ笑うかのように、
「ヒイキキキキキキッ!」
魔物は鳴き声を上げながら拳を放ち続けた。
けれど、そんな物はミリィの勢いを止める邪魔になんてならない。
どれだけ逃げられようが追い続け、その拳を届かせようと踏み込み続ける。
果敢に戦う一人の少女。魔術師ではない、それどころか自分達よりも年が低いかもしれない彼女の勇敢さ。
それを目の当たりにした魔術師たちに、闘志が灯る。
それは魔術師としての意地であり、ミリィを助けねばという勇気。
戦う意志で恐怖を飲み込み、魔術師たちは一歩踏み出した。
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