転生して10年経ったので街を作ることにしました

笹村

文字の大きさ
105 / 115
第二章 街予定地の問題を解決しよう編

11 反撃開始 その①

しおりを挟む
「ごめん! 遅くなった!」

 俺は蒸気機関車の屋根から跳び降り、手近な魔物を切り裂きながら、魔導具で和花たちに通信する。

【大丈夫~。まだ誰も死んでないから~】
【むしろグットタイミング】
【気にするな! それよりもお前らは新種の魔物を潰せ!
 アレの動きが鈍った瞬間に他の魔物の動きも鈍った!
 アレさえどうにかすればあとはどうにでもなる!】

 和花の助言を受けて、俺はみんなに指示を出す。

「五郎と有希は俺と一緒に新種の魔物退治!
 他のみんなはそれ以外の魔物に対処!
 指揮者権限のあるみんなは適時指示を出して部隊を誘導して!」

 短く指示を出し、俺は振り返る事も無く新種の魔物に向かう。
 他に意識を割く余裕は無い。まずは新種の魔物を倒す事に集中しないと。

 だというのに、新種の魔物はこちらが嫌がることをやってくれる。

「ルアアアアアッ!」

 新種の魔物が吠え声を上げると同時に、わらわらと魔物が俺に向かって来る。
 10体前後だが、いちいち相手している間に、カルナが与えた傷から完全回復しかねない。

 だから、まずは向かって来る魔物の動きを止める。
 手にした魔術武具、村正に過剰な魔力を注ぎ込み巨大化させると、地面に突き刺し魔術を起動する。

「溢れ溺れよ、神変鬼毒酒!」

 村正から生み出した魔術毒を、こちらに向かって来ていた魔物に地面を伝い流し込む。
 それにより魔物たちは、身体が麻痺しろくに動けない。

 けれどその代償に、俺は村正を使えなくなる。
 しかも、魔術毒を生成し流し続ける間中、魔力は消費しっぱなしだ。

(長くは持たない。短期決戦で潰さないと)

 俺は手早く決断すると、新しい魔術武具を召還する。

「武具召喚、天下銘槍、蜻蛉斬り」

 手に重みが生まれる。見るまでもなく蜻蛉斬りが召喚されたのを実感すると、真っ直ぐに新種の魔物に突っ込む。

「ルウウウオオオオウウ」

 新種の魔物は手にした杖を掲げ声を上げる。
 その途端、数十の光の矢が、俺の前方に現れた。

「ギヒ」

 笑うような声を上げ、新種の魔物は俺目掛け一斉に撃ち放つ。
 それは一瞬で、俺が居た場所を貫いた。

 地面が抉れ、幾つもの穴が開く。
 盛大に土煙が上がる中、俺はそれを空から見下ろしていた。

 新種の魔物が光の矢を生み出した瞬間、俺は蜻蛉斬りを支えにして、棒高跳びの要領で上空に跳び上がったのだ。
 魔術により身体強化された俺は、10m以上の高さまで跳び上がる。
 それを、魔物は楽しげに笑いながら見上げていた。

「イヒヒヒャヒャヒャ!」

 上空に跳び上がり落ちていく俺に照準を付け、再び数十の光の矢を生み出す。
 そしてそれが解き放たれようとした瞬間、先んじて俺の蜻蛉斬りが、魔物の顔を串刺しにした。

「ガアアアアアアアッ!」

 串刺しにした蜻蛉斬りは、そこから更に回転しながら貫き、新種の魔物の顔から離れると俺の手の元に。
 俺の思い通りに動き回る自在槍としての機能を十二分に果たす。

(これでくたばってくれると良いんだけど)

 淡い期待を抱くも、勿論そんな物は叶わない。
 顔を貫かれた新種の魔物は、傷口を一瞬で塞ぐと、また何十もの光の矢を生み出し俺に撃ち放つ。

「くそっ」

 思わず悪態をつきながら回避に専念する。
 魔物に流れ弾が跳ぶのは構わないが、仲間のみんなに向かっては堪らない。

 周囲の気配を読みながら新種の魔物の攻撃を誘導しつつ、ギリギリで避けていく。

神与能力チートスキルを発動させるために、幾らかわざと受けるか?)

 俺の神与能力チートスキル死亡遊戯デスマーチは、敵からダメージを受ければ受けるほど、素の能力が強化される。
 けれど、即死すればそこで終わるので、使い所が難しい。

(発動すれば、少々身体が吹き飛ぼうが死ななくなるのは良いけど、そこに行くまでに即死クラスの攻撃受けるとマズいからな)

 魔王との戦いの時は、最初にわざと左腕をふっ飛ばさせ能力を発動し、そのあと胴体の3分の1をえぐられた状態でも戦い続けられたので、やりようによってはどうにでもなる。
 能力発動中は、魔力も増大するので、潤沢な魔力で肉体を一時的に補完し、戦い続けたんだ。

(とはいえ、あの時は魔王が俺を舐めてくれたから、即死攻撃を食らわなくて済んだから可能だっただけだからな。この魔物が、そうしてくれるなら良いんだけど。それに――)

 新種の魔物が放ち続ける光の矢を避け続けながら、俺の脳裏には泣きそうなリリスの表情が浮かぶ。

(気にしてる場合じゃないのは分かってるけど、泣かせたくはないな)

 じれるように俺が悩む中、新種の魔物は光の矢を撃ちながら俺に突進してくる。
 俺に当てることを捨て、逃走進路を塞ぐように光の矢を撃ち続け肉薄すると、手にした杖に光の刃をまとい殴りかかって来る。

「くそっ」

 俺はそれを蜻蛉きりで受け止める。
 新種の魔物は全体重を、撃ち合わせた杖に乗せ、俺の動きを止めると、

「イヒッ」

 神経に触る笑い声をあげ、新たな光の矢を生み出し俺に撃ち出そうとする。

「そりゃ、悪手だろ」
「ギイッ!?」

 余裕のある俺に、疑問の声を上げる新種の魔物は、

「真っ二つ切り!」

 背後から近づいていた五郎に、力いっぱい斬りつけられた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

【完結】平凡な魔法使いですが、国一番の騎士に溺愛されています

空月
ファンタジー
この世界には『善い魔法使い』と『悪い魔法使い』がいる。 『悪い魔法使い』の根絶を掲げるシュターメイア王国の魔法使いフィオラ・クローチェは、ある日魔法の暴発で幼少時の姿になってしまう。こんな姿では仕事もできない――というわけで有給休暇を得たフィオラだったが、一番の友人を自称するルカ=セト騎士団長に、何故かなにくれとなく世話をされることに。 「……おまえがこんなに子ども好きだとは思わなかった」 「いや、俺は子どもが好きなんじゃないよ。君が好きだから、子どもの君もかわいく思うし好きなだけだ」 そんなことを大真面目に言う国一番の騎士に溺愛される、平々凡々な魔法使いのフィオラが、元の姿に戻るまでと、それから。 ◆三部完結しました。お付き合いありがとうございました。(2024/4/4)

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣で最強すぎて困る

マーラッシュ
ファンタジー
旧題:狙って勇者パーティーを追放されて猫を拾ったら聖獣で犬を拾ったら神獣だった。そして人間を拾ったら・・・ 何かを拾う度にトラブルに巻き込まれるけど、結果成り上がってしまう。 異世界転生者のユートは、バルトフェル帝国の山奥に一人で住んでいた。  ある日、盗賊に襲われている公爵令嬢を助けたことによって、勇者パーティーに推薦されることになる。  断ると角が立つと思い仕方なしに引き受けるが、このパーティーが最悪だった。  勇者ギアベルは皇帝の息子でやりたい放題。活躍すれば咎められ、上手く行かなければユートのせいにされ、パーティーに入った初日から後悔するのだった。そして他の仲間達は全て女性で、ギアベルに絶対服従していたため、味方は誰もいない。  ユートはすぐにでもパーティーを抜けるため、情報屋に金を払い噂を流すことにした。  勇者パーティーはユートがいなければ何も出来ない集団だという内容でだ。  プライドが高いギアベルは、噂を聞いてすぐに「貴様のような役立たずは勇者パーティーには必要ない!」と公衆の面前で追放してくれた。  しかし晴れて自由の身になったが、一つだけ誤算があった。  それはギアベルの怒りを買いすぎたせいで、帝国を追放されてしまったのだ。  そしてユートは荷物を取りに行くため自宅に戻ると、そこには腹をすかした猫が、道端には怪我をした犬が、さらに船の中には女の子が倒れていたが、それぞれの正体はとんでもないものであった。  これは自重できない異世界転生者が色々なものを拾った結果、トラブルに巻き込まれ解決していき成り上がり、幸せな異世界ライフを満喫する物語である。

異世界でぼっち生活をしてたら幼女×2を拾ったので養うことにした【改稿版】

きたーの(旧名:せんせい)
ファンタジー
【毎週火木土更新】 自身のクラスが勇者召喚として呼ばれたのに乗り遅れてお亡くなりになってしまった主人公。 その瞬間を偶然にも神が見ていたことでほぼ不老不死に近い能力を貰い異世界へ! 約2万年の時を、ぼっちで過ごしていたある日、いつも通り森を闊歩していると2人の子供(幼女)に遭遇し、そこから主人公の物語が始まって行く……。 ――― 当作品は過去作品の改稿版です。情景描写等を厚くしております。 なお、投稿規約に基づき既存作品に関しては非公開としておりますためご理解のほどよろしくお願いいたします。

おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう

お餅ミトコンドリア
ファンタジー
 パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。  だが、全くの無名。  彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。  若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。  弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。  独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。  が、ある日。 「お久しぶりです、師匠!」  絶世の美少女が家を訪れた。  彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。 「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」  精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。 「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」  これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。 (※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。 もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです! 何卒宜しくお願いいたします!)

処理中です...