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第二章 街予定地の問題を解決しよう編
11 反撃開始 その②
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「ギイイイイイッ!」
五郎に深々と背中を斬り裂かれた新種の魔物は、体勢が崩れる。
その隙を逃さず、俺は打ち合せていた蜻蛉斬りに込めていた力を抜く。
それにより更に体勢が崩れた魔物から離脱し、大きく後ろに跳び距離を取る。
前と後ろを、俺と五郎に挟まれた新種の魔物は、不利と思ったのか横に跳ぶ。
その瞬間、
「食い千切れっす! 影鰐!」
攻撃のタイミングを計っていた有希が、影を介在して創り出した疑似魔物、影鰐を放つ。
数メートルはある影の鰐が地を走り、一瞬にして魔物の影に到達。
魔物の足首の影に食らいつき、一気に食い千切った。
影鰐の効果により、新種の魔物は影と同じ個所を破壊される。
横に跳び着地しようとした瞬間に食い千切られ、魔物は盛大に転げた。
絶好の好機。それを逃さず、踏み込もうとした瞬間――
――ぞくりっ
「みんな避けろっ!」
突如感じた直感に従って、俺は通信の魔導具を使い、全員に向け叫んだ。
それと、ほぼ同時に、
「グルアアアアアアアッ!」
地面に倒れ伏した魔物は、自分の周囲に無数の光球を生み出し、一斉に撃ち放つ。
まともに狙いを付けられていないそれは、けれど数の多さで脅威になる。
流れ弾で仲間の魔物すら吹き飛ばしながら、地面を深々と抉るほどの威力のそれは、途切れることなく撃ち続けられた。
(くそっ、近づけない!)
次々に撃ち放たれる光球を避けるので、手一杯になる。
他のみんなも同じだ。周囲の地面が抉られ土煙が上がる中、避けるか防御するかで精一杯だ。
(どうする? 危険を覚悟して踏み込むか?)
魔物の光球による弾幕は、魔物に近付けば近付くほど密度が上がる。
お蔭で、魔物の周囲の地面は形が歪になるほどに破壊され、舞い上がる土煙で魔物の姿すらまともに見えない。
そのことが、俺の意識に引っ掻かる。
(いつまでこんなことを続けるつもりだ? 確かに一時的に俺達を遠ざけられるだろうけど、いずれ魔力が尽きて追い込まれる。
そこまで考えが及んでないのか? 周囲の地面を破壊して、あれだけ土煙を上げていたら、こちらの動向すら分かり辛いだろうに。
視覚以外で、周囲の動きを読み取れる手段があるのかもしれないけど……)
そこまで考えていると、視界の端に何かが動いたような気がした。
(なんだ? 魔物……か? 下手に近付いたら、弾幕の巻き添えを食うだろうに。
統制が取れてないのか? そこまでダメージを受けてるとは思えないけど……いや、待て)
俺の脳裏に、カルナの攻撃で受けた傷を、仲間の魔物を食らう事で癒した姿が思い出される。
(だとしたらアレは――)
直感に近い思い付きが浮かんできた、まさにその瞬間、和花から通信が入る。
【陽色! 少しで良い! 新種の魔物の気を引いてくれ! その隙に、わしが動きを封じる魔法を起動する!】
「分かった。任せるよ」
迷う余裕は、今は無い。俺は即決すると、
「五郎、有希。これから新種の魔物に、俺が踏み込む。サポートが可能ならお願い。他のみんなも、余裕があれば頼んだよ」
通信を終わらせ、光球が降り注ぐ中、新種の魔物に向け踏み込む。
ただし真っ直ぐにではなく、その周囲を回るようにして、駆け抜ける。
(どこだ? どこに居る?)
絶え間なく飛んでくる光球を避けながら、俺は必死に探し続ける。
怖気が走るほどに間延びした時間を感じながら、実際はほんの僅かな、けれど実感としては焦れるほどの間を費やして、俺はそれを見つけた。
ゆっくりとした動きで、新種の魔物に近付いていく数体の魔物たち。
土煙に紛れ進むそいつらには、光球が飛んでこない。
(やっぱりそうか)
光球の弾幕で俺達を遠ざけ、同時に周囲の地面を破壊し上げた土煙を利用して、傷を癒し回復するために食らう魔物を呼び寄せているのだ。
それを俺は利用する。
魔物たちの背後に付いて行くようにして距離を詰め、攻撃する為の間合いに踏み込んでいく。
踏み込む毎に、心臓が跳ねる。
回復のためとはいえ、俺が近付いているのが分かれば、魔物ごと俺を吹っ飛ばすために光球を飛ばす筈だ。
そうなっても、いつでも対処できるよう覚悟しながら、細心の注意を払って距離を詰める。
1歩1歩距離を詰め、あと2歩で俺の間合いに踏み込める。その瞬間、気付かれた。
「ギアアアアッ!」
叫び声と共に、一斉に光球が降り注ぐ。
俺の前を進んでいた魔物たちは、巻き添えを食らい吹っ飛ぶ。
けれどその時には、俺は横に跳んでいた。
吹っ飛ぶ魔物を目の端で捕え、背筋に怖気が走る。
ギリギリ、紙一重で避けられたとはいえ、そのせいで体勢が崩れた。
そこから無理やり新種の魔物目掛けて跳び込むが、あと一歩が足らない。そこに、
「ジイイイネネネエエエ」
ねじくれた奇怪な笑みと共に、新種の魔物は光球を飛ばしてきた。
撃ち放たれた光球が近付くのは一瞬。
その一瞬に、助けは間に合った。
「光鱗よ! 盾となり覆え!」
叫ぶような詠唱と共に、鱗状の光の盾が、俺と魔物の放った光球の間を塞ぐ。
光の盾に触れた途端、光球は爆発。周囲に衝撃波と高熱を撒き散らしたが、俺の周囲を覆う何十という光の盾が防いでくれる。
それはコニー達、俺が率いていた若い魔術師たちのお蔭だった。
「はっ!」
我慢できずに笑みが浮かぶ。
叶うものなら今すぐコニー達を褒めて、誰彼かまわず自慢したい。
なのに、目の前の魔物のせいで出来やしない。
酷く、腹立たしい。
だからこそ、その憤りの全てを込めて、蜻蛉斬りを振るう。
俺は一振りの元に、杖を持った魔物の腕を斬り飛ばした。
五郎に深々と背中を斬り裂かれた新種の魔物は、体勢が崩れる。
その隙を逃さず、俺は打ち合せていた蜻蛉斬りに込めていた力を抜く。
それにより更に体勢が崩れた魔物から離脱し、大きく後ろに跳び距離を取る。
前と後ろを、俺と五郎に挟まれた新種の魔物は、不利と思ったのか横に跳ぶ。
その瞬間、
「食い千切れっす! 影鰐!」
攻撃のタイミングを計っていた有希が、影を介在して創り出した疑似魔物、影鰐を放つ。
数メートルはある影の鰐が地を走り、一瞬にして魔物の影に到達。
魔物の足首の影に食らいつき、一気に食い千切った。
影鰐の効果により、新種の魔物は影と同じ個所を破壊される。
横に跳び着地しようとした瞬間に食い千切られ、魔物は盛大に転げた。
絶好の好機。それを逃さず、踏み込もうとした瞬間――
――ぞくりっ
「みんな避けろっ!」
突如感じた直感に従って、俺は通信の魔導具を使い、全員に向け叫んだ。
それと、ほぼ同時に、
「グルアアアアアアアッ!」
地面に倒れ伏した魔物は、自分の周囲に無数の光球を生み出し、一斉に撃ち放つ。
まともに狙いを付けられていないそれは、けれど数の多さで脅威になる。
流れ弾で仲間の魔物すら吹き飛ばしながら、地面を深々と抉るほどの威力のそれは、途切れることなく撃ち続けられた。
(くそっ、近づけない!)
次々に撃ち放たれる光球を避けるので、手一杯になる。
他のみんなも同じだ。周囲の地面が抉られ土煙が上がる中、避けるか防御するかで精一杯だ。
(どうする? 危険を覚悟して踏み込むか?)
魔物の光球による弾幕は、魔物に近付けば近付くほど密度が上がる。
お蔭で、魔物の周囲の地面は形が歪になるほどに破壊され、舞い上がる土煙で魔物の姿すらまともに見えない。
そのことが、俺の意識に引っ掻かる。
(いつまでこんなことを続けるつもりだ? 確かに一時的に俺達を遠ざけられるだろうけど、いずれ魔力が尽きて追い込まれる。
そこまで考えが及んでないのか? 周囲の地面を破壊して、あれだけ土煙を上げていたら、こちらの動向すら分かり辛いだろうに。
視覚以外で、周囲の動きを読み取れる手段があるのかもしれないけど……)
そこまで考えていると、視界の端に何かが動いたような気がした。
(なんだ? 魔物……か? 下手に近付いたら、弾幕の巻き添えを食うだろうに。
統制が取れてないのか? そこまでダメージを受けてるとは思えないけど……いや、待て)
俺の脳裏に、カルナの攻撃で受けた傷を、仲間の魔物を食らう事で癒した姿が思い出される。
(だとしたらアレは――)
直感に近い思い付きが浮かんできた、まさにその瞬間、和花から通信が入る。
【陽色! 少しで良い! 新種の魔物の気を引いてくれ! その隙に、わしが動きを封じる魔法を起動する!】
「分かった。任せるよ」
迷う余裕は、今は無い。俺は即決すると、
「五郎、有希。これから新種の魔物に、俺が踏み込む。サポートが可能ならお願い。他のみんなも、余裕があれば頼んだよ」
通信を終わらせ、光球が降り注ぐ中、新種の魔物に向け踏み込む。
ただし真っ直ぐにではなく、その周囲を回るようにして、駆け抜ける。
(どこだ? どこに居る?)
絶え間なく飛んでくる光球を避けながら、俺は必死に探し続ける。
怖気が走るほどに間延びした時間を感じながら、実際はほんの僅かな、けれど実感としては焦れるほどの間を費やして、俺はそれを見つけた。
ゆっくりとした動きで、新種の魔物に近付いていく数体の魔物たち。
土煙に紛れ進むそいつらには、光球が飛んでこない。
(やっぱりそうか)
光球の弾幕で俺達を遠ざけ、同時に周囲の地面を破壊し上げた土煙を利用して、傷を癒し回復するために食らう魔物を呼び寄せているのだ。
それを俺は利用する。
魔物たちの背後に付いて行くようにして距離を詰め、攻撃する為の間合いに踏み込んでいく。
踏み込む毎に、心臓が跳ねる。
回復のためとはいえ、俺が近付いているのが分かれば、魔物ごと俺を吹っ飛ばすために光球を飛ばす筈だ。
そうなっても、いつでも対処できるよう覚悟しながら、細心の注意を払って距離を詰める。
1歩1歩距離を詰め、あと2歩で俺の間合いに踏み込める。その瞬間、気付かれた。
「ギアアアアッ!」
叫び声と共に、一斉に光球が降り注ぐ。
俺の前を進んでいた魔物たちは、巻き添えを食らい吹っ飛ぶ。
けれどその時には、俺は横に跳んでいた。
吹っ飛ぶ魔物を目の端で捕え、背筋に怖気が走る。
ギリギリ、紙一重で避けられたとはいえ、そのせいで体勢が崩れた。
そこから無理やり新種の魔物目掛けて跳び込むが、あと一歩が足らない。そこに、
「ジイイイネネネエエエ」
ねじくれた奇怪な笑みと共に、新種の魔物は光球を飛ばしてきた。
撃ち放たれた光球が近付くのは一瞬。
その一瞬に、助けは間に合った。
「光鱗よ! 盾となり覆え!」
叫ぶような詠唱と共に、鱗状の光の盾が、俺と魔物の放った光球の間を塞ぐ。
光の盾に触れた途端、光球は爆発。周囲に衝撃波と高熱を撒き散らしたが、俺の周囲を覆う何十という光の盾が防いでくれる。
それはコニー達、俺が率いていた若い魔術師たちのお蔭だった。
「はっ!」
我慢できずに笑みが浮かぶ。
叶うものなら今すぐコニー達を褒めて、誰彼かまわず自慢したい。
なのに、目の前の魔物のせいで出来やしない。
酷く、腹立たしい。
だからこそ、その憤りの全てを込めて、蜻蛉斬りを振るう。
俺は一振りの元に、杖を持った魔物の腕を斬り飛ばした。
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