110 / 115
第二章 街予定地の問題を解決しよう編
12 ひとまず勝利です。でも―― その③
しおりを挟む
「うん、そのつもり」
五十鈴の言葉に、俺は返す。
「とりあえず、そのためには足らない所を補っていかないとダメなんだけど、なにが必要だと思う?」
「人やわ。なによりも」
五十鈴は、すぐに返してくれた。
「結局のところ、人が足らへんのんよ。和花の所に救援に向かうんも、人が多ければここの拠点を守れたやろうし。それ以前の問題で、休憩とかどうすんのってのがあるし」
「うん。それが一番の問題だよね」
休憩の問題は、避けては通れない大問題だ。
そもそも人間、休まずに一日中戦える訳じゃない。
まともに休息がとれなければ、本来の力を発揮する事も出来ずに潰れるのがオチだ。
「実際のところ、どれぐらいの人数が足りてないと思う?」
「最低でも今の3倍は居らんと、今の戦力を維持する事も出来へんわ」
「3勤交代制でやるってこと?」
「ちょいちゃうわ。1日12時間をローテーションで回して、3日に一回休みを入れる計算でそれやね。これでも実際は、ギリギリなんよ。まともにやるんやったら、4倍は要るんやから」
「ん……1日8時間交代の3勤交代制で、3日働いて1日休むってこと?」
「本来やったら、個人の性能を落とさへん最低限のラインでそれなんよ。やけど、それでも理想を言うんやったら、全然足らへんけど」
「理想で良いよ。それがきっと、本来必要な物だから。今すぐ実現できるかは置いておいて、目指す目標として聞いておきたいから、教えてくれる?」
少しだけ間を空けて、五十鈴は返してくれた。
「……今の6倍は要るやろね。戦場に出したままやと、間に休憩入れても、精神がやられてまうから。一度に全員街に戻してもうたら、連携とか効率が逆に悪うなるから、人員の半分ずつを戻す計算やね」
「ここで戦い続ける人員と、それを下げて入れ替える要員。全部合わせて6倍は要るってことだね?」
「今の戦力を、長期的に維持する前提やけどね。短期間でええんやったら、さっきみたいなやり方でもええけど」
「そういう訳にもいかないからね」
占拠されている街を開放するだけなら、短期間で集中すれば良いかもしれない。
けれど、魔物は人が居る限り無限に湧き続けるんだ。終わらないマラソンを意識して、やっていかないとダメなんだ。
「将来的な事を考えたら、継続して数千人体制で動けるように考えないとダメってことだよね」
「直接戦う人員以外にも、後方支援で人員は要るやろうからね」
「今から頭痛くなるけど、とりあえず、それは後々の事として考えよう。
まずは、いま出来ることをどうするかを決めないと」
「そやねぇ。実際どうするん?」
「戦略を変えるよ。こちらから出向いて魔物を見つけて倒していくやり方は、一先ず先送りにする。代わりに、拠点防衛と拡大を目標に動く」
「拠点防衛は分かるんやけど、拡大ってどうするん?」
「ぐるっと拠点を囲む形で、壁を造って、それを少しずつ広げていくよ」
「それって、余計に人が居るようになるんとちゃうん? 広がれば広がるほど、見張っとかなアカン範囲は広がるし」
「うん、そうなると思う。だから、まずは現状の人数で、無理なく守りきることのできる広さを見極めようと思う。それを見極められたら、その範囲の中で街を作っちゃおうと思うんだ」
「……ん? どゆことなん? まさか、拠点になる前線基地の中に街作るいうん?」
「うん、そのつもり」
俺の応えに、五十鈴は少し考え込んでから返してくれる。
「……それって、魔物と戦う人らの慰安目的の街ってことなん?
それとも、本物の街を作ってこうって事なん?」
「両方だよ。さっき五十鈴も言ってたでしょ? 定期的に、戦場からは返してあげないといけないって。毎回王都まで戻って貰ってたら大変だから、すぐ近くに街を作っちゃえばいいんじゃないかなって思ったんだ」
「……ん。確かにそれが出来れば、ええと思うんやけど、それやと街が歪にならへん? 誰かが生活する街やのうて、前線基地のための街になってまうんやない?」
「それは大丈夫。元々、いま前線基地を置いているここは、王都や他の辺境都市から来たお客さん達用の宿泊区画にするつもりだったから」
「ん~、どゆうことなん?」
五十鈴は聞き返す。都市計画の方は専門じゃないから、具体的なイメージが湧かないみたいだ。
それを補完するように俺は返す。
「いま居るこの場所は、これから作る街の住人のためっていうよりも、お客さん用の窓口みたいな区画にするつもりなんだ。
ゆったりと休めるような高級な宿から、気軽に泊まれるお手軽な値段の宿とか、そんな施設が中心になるような。
それを中心にして、娯楽施設や商業施設も付随するつもり。
イメージ的には、宿泊施設をメインに置いた、元居た世界の駅中複合商業施設みたいな区画にするつもりなんだ。
これなら、元からある意味、日常生活からは乖離した場所になるし、慰安目的として作っておいても、後々使い回しできると思うから」
「ん~、そういうもんなん? 確かに、それならええんかも。ただ、街の施設作る人員はどないするん?」
「そっちは大丈夫。もう智恵に頼んであるから」
大地の女神ガイアの勇者である遠山智恵は、持っている神与能力を活かして、土建業をやっている。
彼女の神与能力「神々の箱庭」は、地形操作と施設設置に関わる能力だ。
対象となる場所の模型を作り、魔力で繋げることで、その模型通りの街を瞬時に作ることが出来る。
対象となる場所の広さに応じて魔力が必要になるし、施設に必要な資材も用意しないといけないのでコストは掛かる。
そして事前に、それらを消費して模型を作っておく下準備が必要ではあるけれど、それさえ出来ていればあっという間に街が出来上がるんだ。
魔王との戦いでは、その能力を使って、魔王とその腹心を隔離する壁を作ってくれ、そこに爆弾を叩き落とすことで先制攻撃が出来たんだ。
「あ、智恵に、もう話は通してあるんやね。やったら、その内ここに来るんかな~。ここ1年ぐらい、会っとらへんかったから、会いたいわ~」
「うん、大丈夫だと思うよ。しばらく滞在すると思うから、その時には会いにいきなよ」
「そうするわ~。楽しみやわ~」
楽しげに五十鈴は言うと、その表情のまま、話を進めてくれる。
「ひいろんの話は分かったんよ~。拠点防衛でええんやったら、いざという時はうちら勇者が前線に立ってフォローすれば、なんとかなる思うんよ~。
やけど、それでも拠点は広げられて1キロ四方が限度やわ。それ以上は、人を増やさんと。どないするん?」
これに、俺は前々から考えていた案を口にした。
「冒険者の人達に、協力して貰おうと思うんだ」
五十鈴の言葉に、俺は返す。
「とりあえず、そのためには足らない所を補っていかないとダメなんだけど、なにが必要だと思う?」
「人やわ。なによりも」
五十鈴は、すぐに返してくれた。
「結局のところ、人が足らへんのんよ。和花の所に救援に向かうんも、人が多ければここの拠点を守れたやろうし。それ以前の問題で、休憩とかどうすんのってのがあるし」
「うん。それが一番の問題だよね」
休憩の問題は、避けては通れない大問題だ。
そもそも人間、休まずに一日中戦える訳じゃない。
まともに休息がとれなければ、本来の力を発揮する事も出来ずに潰れるのがオチだ。
「実際のところ、どれぐらいの人数が足りてないと思う?」
「最低でも今の3倍は居らんと、今の戦力を維持する事も出来へんわ」
「3勤交代制でやるってこと?」
「ちょいちゃうわ。1日12時間をローテーションで回して、3日に一回休みを入れる計算でそれやね。これでも実際は、ギリギリなんよ。まともにやるんやったら、4倍は要るんやから」
「ん……1日8時間交代の3勤交代制で、3日働いて1日休むってこと?」
「本来やったら、個人の性能を落とさへん最低限のラインでそれなんよ。やけど、それでも理想を言うんやったら、全然足らへんけど」
「理想で良いよ。それがきっと、本来必要な物だから。今すぐ実現できるかは置いておいて、目指す目標として聞いておきたいから、教えてくれる?」
少しだけ間を空けて、五十鈴は返してくれた。
「……今の6倍は要るやろね。戦場に出したままやと、間に休憩入れても、精神がやられてまうから。一度に全員街に戻してもうたら、連携とか効率が逆に悪うなるから、人員の半分ずつを戻す計算やね」
「ここで戦い続ける人員と、それを下げて入れ替える要員。全部合わせて6倍は要るってことだね?」
「今の戦力を、長期的に維持する前提やけどね。短期間でええんやったら、さっきみたいなやり方でもええけど」
「そういう訳にもいかないからね」
占拠されている街を開放するだけなら、短期間で集中すれば良いかもしれない。
けれど、魔物は人が居る限り無限に湧き続けるんだ。終わらないマラソンを意識して、やっていかないとダメなんだ。
「将来的な事を考えたら、継続して数千人体制で動けるように考えないとダメってことだよね」
「直接戦う人員以外にも、後方支援で人員は要るやろうからね」
「今から頭痛くなるけど、とりあえず、それは後々の事として考えよう。
まずは、いま出来ることをどうするかを決めないと」
「そやねぇ。実際どうするん?」
「戦略を変えるよ。こちらから出向いて魔物を見つけて倒していくやり方は、一先ず先送りにする。代わりに、拠点防衛と拡大を目標に動く」
「拠点防衛は分かるんやけど、拡大ってどうするん?」
「ぐるっと拠点を囲む形で、壁を造って、それを少しずつ広げていくよ」
「それって、余計に人が居るようになるんとちゃうん? 広がれば広がるほど、見張っとかなアカン範囲は広がるし」
「うん、そうなると思う。だから、まずは現状の人数で、無理なく守りきることのできる広さを見極めようと思う。それを見極められたら、その範囲の中で街を作っちゃおうと思うんだ」
「……ん? どゆことなん? まさか、拠点になる前線基地の中に街作るいうん?」
「うん、そのつもり」
俺の応えに、五十鈴は少し考え込んでから返してくれる。
「……それって、魔物と戦う人らの慰安目的の街ってことなん?
それとも、本物の街を作ってこうって事なん?」
「両方だよ。さっき五十鈴も言ってたでしょ? 定期的に、戦場からは返してあげないといけないって。毎回王都まで戻って貰ってたら大変だから、すぐ近くに街を作っちゃえばいいんじゃないかなって思ったんだ」
「……ん。確かにそれが出来れば、ええと思うんやけど、それやと街が歪にならへん? 誰かが生活する街やのうて、前線基地のための街になってまうんやない?」
「それは大丈夫。元々、いま前線基地を置いているここは、王都や他の辺境都市から来たお客さん達用の宿泊区画にするつもりだったから」
「ん~、どゆうことなん?」
五十鈴は聞き返す。都市計画の方は専門じゃないから、具体的なイメージが湧かないみたいだ。
それを補完するように俺は返す。
「いま居るこの場所は、これから作る街の住人のためっていうよりも、お客さん用の窓口みたいな区画にするつもりなんだ。
ゆったりと休めるような高級な宿から、気軽に泊まれるお手軽な値段の宿とか、そんな施設が中心になるような。
それを中心にして、娯楽施設や商業施設も付随するつもり。
イメージ的には、宿泊施設をメインに置いた、元居た世界の駅中複合商業施設みたいな区画にするつもりなんだ。
これなら、元からある意味、日常生活からは乖離した場所になるし、慰安目的として作っておいても、後々使い回しできると思うから」
「ん~、そういうもんなん? 確かに、それならええんかも。ただ、街の施設作る人員はどないするん?」
「そっちは大丈夫。もう智恵に頼んであるから」
大地の女神ガイアの勇者である遠山智恵は、持っている神与能力を活かして、土建業をやっている。
彼女の神与能力「神々の箱庭」は、地形操作と施設設置に関わる能力だ。
対象となる場所の模型を作り、魔力で繋げることで、その模型通りの街を瞬時に作ることが出来る。
対象となる場所の広さに応じて魔力が必要になるし、施設に必要な資材も用意しないといけないのでコストは掛かる。
そして事前に、それらを消費して模型を作っておく下準備が必要ではあるけれど、それさえ出来ていればあっという間に街が出来上がるんだ。
魔王との戦いでは、その能力を使って、魔王とその腹心を隔離する壁を作ってくれ、そこに爆弾を叩き落とすことで先制攻撃が出来たんだ。
「あ、智恵に、もう話は通してあるんやね。やったら、その内ここに来るんかな~。ここ1年ぐらい、会っとらへんかったから、会いたいわ~」
「うん、大丈夫だと思うよ。しばらく滞在すると思うから、その時には会いにいきなよ」
「そうするわ~。楽しみやわ~」
楽しげに五十鈴は言うと、その表情のまま、話を進めてくれる。
「ひいろんの話は分かったんよ~。拠点防衛でええんやったら、いざという時はうちら勇者が前線に立ってフォローすれば、なんとかなる思うんよ~。
やけど、それでも拠点は広げられて1キロ四方が限度やわ。それ以上は、人を増やさんと。どないするん?」
これに、俺は前々から考えていた案を口にした。
「冒険者の人達に、協力して貰おうと思うんだ」
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
私は5歳で4人の許嫁になりました【完結】
Lynx🐈⬛
恋愛
ナターシャは公爵家の令嬢として産まれ、5歳の誕生日に、顔も名前も知らない、爵位も不明な男の許嫁にさせられた。
それからというものの、公爵令嬢として恥ずかしくないように育てられる。
14歳になった頃、お行儀見習いと称し、王宮に上がる事になったナターシャは、そこで4人の皇子と出会う。
皇太子リュカリオン【リュカ】、第二皇子トーマス、第三皇子タイタス、第四皇子コリン。
この4人の誰かと結婚をする事になったナターシャは誰と結婚するのか………。
※Hシーンは終盤しかありません。
※この話は4部作で予定しています。
【私が欲しいのはこの皇子】
【誰が叔父様の側室になんてなるもんか!】
【放浪の花嫁】
本編は99話迄です。
番外編1話アリ。
※全ての話を公開後、【私を奪いに来るんじゃない!】を一気公開する予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる