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計略陰謀篇
第39話 僕の名前は・・・
しおりを挟むゼオンは少年に『勇者冒険譚』と書かれた本を渡す
ゆっくりとページをめくる
『勇者』それは選ばれし者 人々を助け、敵を倒し、世界に平和をもたらす者
序章にはそう書かれていた・・・
「勇者・・・」と少年は口にする
興味をもったのか 読んで ページをめくり始める
物語は1人の勇者だけでなく 時代によって様々な勇者がいたことを記してあった
ある勇者は邪悪なドラゴンを倒し ドラゴンスレイヤーと呼ばれるようになる
ある勇者は特殊なベルトを着けて「変身!」と言って聖なる鎧を身に纏う
ある勇者は『魔王』と何度も戦ううちに 友人になってしまう者が・・・
少年は気づく 色々な『勇者』は必ず『魔王』と戦ってどっちかが勝って 負けての繰り返しだと
勝つ勇者もいれば 負ける勇者もいる
魔王へ攻める勇者もいれば 魔王が攻めて護る勇者もいる
それぞれの時代によって 世代交代しながら戦い続けているのが分かった・・・
『勇者冒険譚』は勧善懲悪もので勇者が正義の味方 魔王が悪の親玉という風に書かれていたが
少年はどっちにも魅力を感じていた
勇者は仲間と共に戦う友情が描かれ
魔王は仲間を従わせるカリスマがあること
「魔王・・・」少年がまた口に出す
ページをどんどんめくり ついに読み終えてしまう
少年は本を持ち 瞳に光りがつき始める
そして 「この本・・・おもしろい・・・」と話す
「えへへへ だろー」思わず 笑顔になるゼオン
「勇者ってカッコいいだろ?」質問してみる
「うん・・・でも・・・
魔王もカッコいい!・・・」
「え?」予想外の答えに驚く
「いや 勇者だろ 何度打ちのめられても立ち上がるのが熱いだろ?」
「ううん・・・魔王はまだ本気を出していない・・・
最後の戦いだけ・・・本気出して負けるの・・・おかしい・・・」
「それは勇者の方が強くなったから・・・」
どうやらこの少年は悪役に魅力を感じちゃったのか
と思う
「じゃ、じゃあ 1番カッコいいと思った勇者と魔王は?
ちなみに俺は『ジークアーサー』だ! 魔王はいない」
話題を変えてみる
「僕も最後の勇者『ジークアーサー』!・・・魔王はそれと戦った『ガイウス』!」
心の中でゼオンは「げっ!親父が好きなのかよ・・・」
「や、やっぱり『ジークアーサー』だよな・・・
1番伝説多いし 優しいし 物語の主人公って感じで・・・」
「でも・・・『ガイウス』も強い!・・・勇者のライバルで何度も戦って・・・友達になるの凄い!」
聞いてて恥ずかしくなる
なぜなら『ガイウス』はゼオンの父親だから身内が褒められてむず痒くなっていた・・・
「でも・・・勇者もういない・・・10年前に殺されたって聞いた・・・」
少年は落ち込む
同族が事件を起こしたことに少し黙ってしまう
「確かに今はいない・・・けど 俺がその『勇者』になるから待ってろよな!」
ゼオンは決意を伝える
「本当?」
「ああ 約束する!『ジークアーサー』を超える勇者になるぜ!」
「じゃあ ライバルの魔王は『ガイウス』より強いかも・・・」
「本当にどっちも好きだな・・・え~っと」
名前を言おうとしたが、名前を聞いてないことに気づく
「そうだ!名前まだ聞いてなかったよ 名前は?」
「名前は・・・無い・・・」
「じゃあ 自分でつけてみたらどうだ?」
「名前・・・・自分で・・・」そう言うと
本を開き 勇者と魔王が戦っているシーンを見る
「ユウ・・・シャと マ・・・オウ」
少年はどっちも好きだった だから2つを組み合わせ
「・・・ユウマ」と口にする
「僕はユウマがいい・・・」
「ユウマか・・・どっちからも取るとは
本当に好きだな」笑顔で答える
「うん!・・・どっちもカッコいいから」
ユウマも初めて微笑み 感情が現れた
「じゃあ これからよろしくな! ユウマ!」
「うん!・・・よろしく」
2人はようやく握手する
心無き 虚ろなる少年はゼオンと出会い、「ユウマ」の名前を手にする
また感情も少し豊かになり始める・・・
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