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第5話:裏
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「……っ。あなた……パトリシア!!」
アリィさまはそう叫ぶと、ぽろぽろと泣き出してしまった。
……泣かないで、アリィさま。
これまでいっぱい悲しい思いをさせて、ごめんなさい。
――わたしの名前は、パトリシア・トリスタン。でも、『ピア』と名乗って生きてきた。
トリスタン家を取り潰されてすべてを失った私は、平民女官として王宮に入ったの。
……王家に、復讐するために。
復讐の為だけじゃない。
わたしが道化を演じれば、親友を助けられると思ったの。
王太子婚約者のルクレツィアさま。
王女であるアリアンヌさま。
グレゴリオ殿下が王位に着けば、この国は遠からず壊れてしまう。そうなれば、このふたりは――きっと無事ではいられない。
だから完全に壊れる前に、わたしはちょっとだけひびを入れることにしたの。
赤い髪は、脱色して短く切ってふわふわにした。
もともと目立つ顔立ちじゃないし、お化粧でいくらでも別人になれた。
……悪女の演技は、恥ずかしかったけど。
恋愛小説をこれまでたくさん読んできたから。
――必要なのは、覚悟だけ。
女官としてグレゴリオ殿下と逢瀬を重ねる中、わたしは、かつての親友たちに今後の計画を手紙で伝えた。
二人は、わたしの行動を見守っていてくれた。
それで十分。
役目を終えた毒婦ピアは、そのまま死ぬ気だったのに。
――『パトリシア! 勝手に死ぬなんて、絶対に許さないわ!!』
ルクレツィアさまが、止めてくれたの。事故死を装って、ずっと匿ってくれていた。
*
「……ルクレツィア。あなたの言っていた『役割』って、このことだったのね……」
嗚咽しながら、アリィさまは私とルクレツィアさまを抱きしめていた。
「ごめん、なさい。パトリシア……わたくしは、あなたを……」
「泣かないで、アリィさま」
言いながら、わたしもちょっぴり泣きそうだ。
ルクレツィアさまも、笑いながら目を潤ませていた。
「まったく、パトリシアはすごい子ね。アリィも私もこの国も、あなた一人で救い出してくれたんだもの」
……おおげさですよ。ルクレツィアさまったら。
「わたしはただ、愚か者が自滅するのを近くで見ていただけですから」
アリィさまはそう叫ぶと、ぽろぽろと泣き出してしまった。
……泣かないで、アリィさま。
これまでいっぱい悲しい思いをさせて、ごめんなさい。
――わたしの名前は、パトリシア・トリスタン。でも、『ピア』と名乗って生きてきた。
トリスタン家を取り潰されてすべてを失った私は、平民女官として王宮に入ったの。
……王家に、復讐するために。
復讐の為だけじゃない。
わたしが道化を演じれば、親友を助けられると思ったの。
王太子婚約者のルクレツィアさま。
王女であるアリアンヌさま。
グレゴリオ殿下が王位に着けば、この国は遠からず壊れてしまう。そうなれば、このふたりは――きっと無事ではいられない。
だから完全に壊れる前に、わたしはちょっとだけひびを入れることにしたの。
赤い髪は、脱色して短く切ってふわふわにした。
もともと目立つ顔立ちじゃないし、お化粧でいくらでも別人になれた。
……悪女の演技は、恥ずかしかったけど。
恋愛小説をこれまでたくさん読んできたから。
――必要なのは、覚悟だけ。
女官としてグレゴリオ殿下と逢瀬を重ねる中、わたしは、かつての親友たちに今後の計画を手紙で伝えた。
二人は、わたしの行動を見守っていてくれた。
それで十分。
役目を終えた毒婦ピアは、そのまま死ぬ気だったのに。
――『パトリシア! 勝手に死ぬなんて、絶対に許さないわ!!』
ルクレツィアさまが、止めてくれたの。事故死を装って、ずっと匿ってくれていた。
*
「……ルクレツィア。あなたの言っていた『役割』って、このことだったのね……」
嗚咽しながら、アリィさまは私とルクレツィアさまを抱きしめていた。
「ごめん、なさい。パトリシア……わたくしは、あなたを……」
「泣かないで、アリィさま」
言いながら、わたしもちょっぴり泣きそうだ。
ルクレツィアさまも、笑いながら目を潤ませていた。
「まったく、パトリシアはすごい子ね。アリィも私もこの国も、あなた一人で救い出してくれたんだもの」
……おおげさですよ。ルクレツィアさまったら。
「わたしはただ、愚か者が自滅するのを近くで見ていただけですから」
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