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第8話
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「あんた、いつか殺すわ。」
「才華さん、あれはちょっとやりすぎだと思います。」
雫と美鈴はゆらゆらとおぼつかない足取りで立ち上がって才華を睨みつけた。
今までずっと、約10分ほど才華のお母さんトークに苦しめられていた、雫と美鈴の恨みはとても強い。
才華はそれをスーッと視線をそらすことで誤魔化す。
本人も少しだけやり過ぎたと思っているのと、雫と美鈴の視線が怖かったからというのがあるがそれは才華のためにも秘密としておこう。
才華は2人の視線に晒されて、居心地が悪くなったのか、1つ咳払いをする。
「おっほん! まあそれは置いといて、神器とか加護の確認しよう。頭の中にやり方は入っているだろ? 」
雫と美鈴は才華のあからさまな話の逸らし方に、怒る気力を抜かれたのか、はぁとため息を吐いてから頷く。
「そうね。今はそっちの確認をしましょう。どうやら、この世界とんでもなく危険みたいだしね。」
「そうですね。今はその確認をしましょう。、今は、ね。ふふふ 」
「「ふふふ……」」
2人は黒い笑い声を上げた。
その息はピッタリでゴリゴリと才華の精神を削っていく。
才華は余りの恐怖に冷や汗を流し、さ、さあ確認だーと棒読みで言ってから、神器、加護の確認に取り掛かる。
「《我は邪神の使徒なり》」
すると、才華の体を黒い霧が包み込んだ。
黒い霧は目まぐるしく形状を変えていき、やがて黒い鎧のような形状になった。
体を包んでいる黒い鎧は、頭だけは出ていて、それ以外はガッチリと才華の急所を守る作りをしている。
だが、だからと言って才華の体の動きは妨げていない。
むしろ、体から力が湧いて黒い鎧を纏う前よりも、みなぎってくるようだ。
「おお、格好いいな。黒い鎧って憧れだったんだよな。」
才華は体を回して、黒い鎧を見てそう言った。
手をギュッと握ると、今ならなんでも握り潰せてしまうのではないかという全能感が体を駆け巡る。
才華はものは試しと、足元に転がっていた石を手に取った。
そして、ふんっ! と力を入れた。
すると石は粉々に砕け、パラパラと宙に舞う。
「凄っ! 石が、リンゴみたいにいとも簡単に……」
才華は手の中に残っていた石の破片を落とし、手をマジマジと見つめてそう言った。
才華の例えがちょっとおかしいが、才華にとってリンゴとは握り潰せて当たり前なものとなっているので、仕方ない。
しかし、そんな才華の例えは分かりにくい、分かりたくない人もいるようで‥‥
「才華、あんたの例えは分かりにくいのよ。『リンゴみたいにいとも簡単に』ってそんな例えで通用するのは、ゴリラ位だわ。あんた、今度から霧ヶ峰・ゴリラ・才華って名乗ったら? ちょうど、黒いことだし、ピッタリじゃない。」
雫は呆れ顔で言った。それを聞いて美鈴は頷いた。
「そうよね。それが普通ですよね。才華さんがさらっというものだから、てっきりそれが当たり前だと、一瞬思ってしまったわ。」
「あー それってあれよ。才菌よ。美鈴も才菌に感染したのね。私はワクチン打っていたから、大丈夫だけど、あなたはもう……」
雫は腕で体を抱き、視線を斜め下に逸らした。
目には悲しみの色が伺える。
美鈴はそんな雫を見て、口を押さえへたり込む。
「そんな……! 私まだやりたい事があるのに死にたくない! 」
美鈴は目に涙を浮かべて、嗚咽を漏らす。
すると途端に辺りに悲しみの雰囲気が満ちた。
才華は美鈴のすすり泣く声を聞きながら、え!? と混乱していた。
突然才菌が感染したと告げる雫に、それに泣き崩れた美鈴。
混乱しないほうがおかしいだろう。
だがそこは、鬼才。
持ち前の頭の回転の速さをいかして即座にこの状況を理解し、眉をピクッピクッと動かして顔を引き攣らせ、声を荒らげようとするが思いとどまった。
ここで突っ込んでしまってはあの2人の思う壺だと。
ならば、あえて突っ込まないで女優バリの演技を見せている2人の演技を見てやろうと。
そうと決めた才華はガチャと音を鳴らして、腕を組んだ。
そして、物凄い眼光で未だに演技をしている2人を見つめる。
とんでもない威圧感だ。
きもち才華の目が光っているように見えなくないかもしれない。
そんな才華に見られて、雫と美鈴はあまりの予想外な事態に戸惑う。
「雫さん、まずいわ。才華さんが見る体勢に入っていますよ? しかも物凄い威圧感です‥‥! 」
「わ、分かっているわよ。チッ せっかくいい仕返しの機会だと思ったのに、逆にやられたわ。」
「こうなったら根比べですね。私たちが先に才華さんの視線に負けるか、才華さんが堪え切れずツッコミを入れてくるか。私なんだかワクワクして来たわ。」
「……あんたやっぱり才菌感染しているんじゃないの? 」
雫は体からワクワクという言葉がでそうな美鈴をジト目で見つめてそう言った。
しかし、その言葉は雫が小さい声で言ったからなのか、それとも美鈴の気持ちが別に行っていたからか、美鈴に聞かれることはなかった。
雫ははぁとため息を吐いてから、才華と美鈴という頭がアレな方向に行っている2人とこれから過ごす異世界生活に不安になりながらも才華との根比べを始めたのだった。
「才華さん、あれはちょっとやりすぎだと思います。」
雫と美鈴はゆらゆらとおぼつかない足取りで立ち上がって才華を睨みつけた。
今までずっと、約10分ほど才華のお母さんトークに苦しめられていた、雫と美鈴の恨みはとても強い。
才華はそれをスーッと視線をそらすことで誤魔化す。
本人も少しだけやり過ぎたと思っているのと、雫と美鈴の視線が怖かったからというのがあるがそれは才華のためにも秘密としておこう。
才華は2人の視線に晒されて、居心地が悪くなったのか、1つ咳払いをする。
「おっほん! まあそれは置いといて、神器とか加護の確認しよう。頭の中にやり方は入っているだろ? 」
雫と美鈴は才華のあからさまな話の逸らし方に、怒る気力を抜かれたのか、はぁとため息を吐いてから頷く。
「そうね。今はそっちの確認をしましょう。どうやら、この世界とんでもなく危険みたいだしね。」
「そうですね。今はその確認をしましょう。、今は、ね。ふふふ 」
「「ふふふ……」」
2人は黒い笑い声を上げた。
その息はピッタリでゴリゴリと才華の精神を削っていく。
才華は余りの恐怖に冷や汗を流し、さ、さあ確認だーと棒読みで言ってから、神器、加護の確認に取り掛かる。
「《我は邪神の使徒なり》」
すると、才華の体を黒い霧が包み込んだ。
黒い霧は目まぐるしく形状を変えていき、やがて黒い鎧のような形状になった。
体を包んでいる黒い鎧は、頭だけは出ていて、それ以外はガッチリと才華の急所を守る作りをしている。
だが、だからと言って才華の体の動きは妨げていない。
むしろ、体から力が湧いて黒い鎧を纏う前よりも、みなぎってくるようだ。
「おお、格好いいな。黒い鎧って憧れだったんだよな。」
才華は体を回して、黒い鎧を見てそう言った。
手をギュッと握ると、今ならなんでも握り潰せてしまうのではないかという全能感が体を駆け巡る。
才華はものは試しと、足元に転がっていた石を手に取った。
そして、ふんっ! と力を入れた。
すると石は粉々に砕け、パラパラと宙に舞う。
「凄っ! 石が、リンゴみたいにいとも簡単に……」
才華は手の中に残っていた石の破片を落とし、手をマジマジと見つめてそう言った。
才華の例えがちょっとおかしいが、才華にとってリンゴとは握り潰せて当たり前なものとなっているので、仕方ない。
しかし、そんな才華の例えは分かりにくい、分かりたくない人もいるようで‥‥
「才華、あんたの例えは分かりにくいのよ。『リンゴみたいにいとも簡単に』ってそんな例えで通用するのは、ゴリラ位だわ。あんた、今度から霧ヶ峰・ゴリラ・才華って名乗ったら? ちょうど、黒いことだし、ピッタリじゃない。」
雫は呆れ顔で言った。それを聞いて美鈴は頷いた。
「そうよね。それが普通ですよね。才華さんがさらっというものだから、てっきりそれが当たり前だと、一瞬思ってしまったわ。」
「あー それってあれよ。才菌よ。美鈴も才菌に感染したのね。私はワクチン打っていたから、大丈夫だけど、あなたはもう……」
雫は腕で体を抱き、視線を斜め下に逸らした。
目には悲しみの色が伺える。
美鈴はそんな雫を見て、口を押さえへたり込む。
「そんな……! 私まだやりたい事があるのに死にたくない! 」
美鈴は目に涙を浮かべて、嗚咽を漏らす。
すると途端に辺りに悲しみの雰囲気が満ちた。
才華は美鈴のすすり泣く声を聞きながら、え!? と混乱していた。
突然才菌が感染したと告げる雫に、それに泣き崩れた美鈴。
混乱しないほうがおかしいだろう。
だがそこは、鬼才。
持ち前の頭の回転の速さをいかして即座にこの状況を理解し、眉をピクッピクッと動かして顔を引き攣らせ、声を荒らげようとするが思いとどまった。
ここで突っ込んでしまってはあの2人の思う壺だと。
ならば、あえて突っ込まないで女優バリの演技を見せている2人の演技を見てやろうと。
そうと決めた才華はガチャと音を鳴らして、腕を組んだ。
そして、物凄い眼光で未だに演技をしている2人を見つめる。
とんでもない威圧感だ。
きもち才華の目が光っているように見えなくないかもしれない。
そんな才華に見られて、雫と美鈴はあまりの予想外な事態に戸惑う。
「雫さん、まずいわ。才華さんが見る体勢に入っていますよ? しかも物凄い威圧感です‥‥! 」
「わ、分かっているわよ。チッ せっかくいい仕返しの機会だと思ったのに、逆にやられたわ。」
「こうなったら根比べですね。私たちが先に才華さんの視線に負けるか、才華さんが堪え切れずツッコミを入れてくるか。私なんだかワクワクして来たわ。」
「……あんたやっぱり才菌感染しているんじゃないの? 」
雫は体からワクワクという言葉がでそうな美鈴をジト目で見つめてそう言った。
しかし、その言葉は雫が小さい声で言ったからなのか、それとも美鈴の気持ちが別に行っていたからか、美鈴に聞かれることはなかった。
雫ははぁとため息を吐いてから、才華と美鈴という頭がアレな方向に行っている2人とこれから過ごす異世界生活に不安になりながらも才華との根比べを始めたのだった。
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