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第18話
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「ーー! 」
ボンヤリした頭に誰かの声が響く。どことなく聞き覚えのある声の気がするんだが、今は眠らせて欲しい。
昨日は魔法を使って恐らく疲れで倒れたんだ、あと少しだけ寝ていてもバチは当たらないだろう。
しかし、そんな俺の脳内決定をよそに現在進行形で体を揺すり起こしに来ている人には関係ないのか、より一層呼ぶ声が大きくなった。
「ルークくん!! 」
「ん……あと3分……」
この声はもう誰か分かったがーーというかクロエーー、まだ起きる気はないので体を捩り絶対に起きないぞと抵抗の意識を示す。
本当にねむいのだ。
「ダメだよ~ 今日はエルちゃん達とおままごとの約束をしてるでしょ。早く起きないとご飯食べる時間なくなっちゃうよ? 」
ぎゅっと目を閉じていると、鈴を転がしたような綺麗なクロエの声が鼓膜を叩いた。ルークはそれを聞いて体を震わせる。
なにそれ、ものすごく起きたくなくなったんですけど……。
そう言えば、昨日そんな約束をしたというかさせられたような気がする。確か犬だかなんだかの役だったな……。
ヤダー! 絶対にヤダーー! 断固として参加を拒否してみせる!
ルークがそんな固い決意をした後、本当にその意思は変わらないようでクロエに揺さぶらても、声を掛けられても無視し続けた。
その結果……
「ルークくん……グスッどうして起きてくれないの? もしかして死んじゃったの? 」
クロエが泣いてしまった。しかもルークが死んでしまったと勘違いしている始末である。
ポロポロと落ちてくる涙を頬に感じて、ルークは流石に寝たふりをかましている事ができないと判断したのか、スクッと起き上がった。
「おはようクロエ。ん? どうして泣いているの? 何かあった? 」
「ルークくん……ルークくん!! 」
ルークが目をこすりながらさも今起きましたという風に振る舞うと、クロエは目に涙を浮かべながらルークに抱きついた。
その様子からはクロエがどれだけルークのことを心配していたのかが伺える。
ルークは内心胸を締め付けられる思いでいっぱいになりながらも、知らない風を貫く。
「どうしたんだよ、そんなに涙を流して……ほら泣くなよ」
「グスッグスッ……ルークぐん。死んじゃったかと思っだ~」
「ははは、そんなわけないだろう。ちょっと深い眠りに入っていただけだって……ほらおれってよくこうゆうことあるじゃん? 」
ねえよ、と自分で言って自分で突っ込むとある意味リサイクルな事をやりながら、ぐずるクロエを宥める。
「……うぅ、そうだっけ? でもよかった。ルークくんが生きてて……」
クロエはそう言うなり、ギュッとルークに抱きついた。
あまりにも大袈裟な言動だが、この年頃の子供は些細な事が大きく目に映る。それは個人差があるが、クロエの場合、眠っている友達が揺すっても起きない現象に対して、本来「ああ、昨日夜遅くまで起きてたんだ」と認識するところを「動かない!? 死んでる!? 」となるようだ。
些か、というかかなり大袈裟な部類に入ると思うがクロエは可愛いので大丈夫だ。これが可愛くなかったら「うざい」と適当にあしらうかもしれないな。
まあ、生まれ変わったこの世界はアニメの世界のように総じて顔がいいのでそれが起きないだろうけど……。
これも、ランク分けの影響だろう。【容姿】の項目もあったし……これだけは少しだけランク分けに感謝の念を抱くのはきっと悲しきかな男の性という奴だな。
ルークはクロエの背中をさすりながらのそんな事を考えていたのだった。
「ルークくんごめんねもうご飯食べる時間ないよ……」
ショボーンと聞こえてきそうな落ち込み方をするクロエ。肩を落として、下を俯き、気持ち髪のツヤがいつもよりなくなっている気がする。
あれから数十分後、ルークは別の意味でクロエを慰めていた。
なんでもずっとルークに縋り付いていたせいでご飯を食べる時間がなくなっていたことが自分のせいだと思っているようだ。
まあ、確かにその通りのではあるがルークはそんなことは気にしていない。
クロエのやる事は全て許容範囲とは本人の弁だ。
「大丈夫だよ、ほら朝ごはんを食べない分昼ごはんが美味しくなるし、逆にお礼言いたくらいだ」
「ほんと? 」
「ほんとほんと」
ルークは苦笑いを浮かべながら頷いた。自分で言ってて可笑しなところ満載、突っ込むところが多々あることは承知しているが、苦し紛れに出た言葉としては上出来だと思う。
「そうなんだ……わかった! お腹が空いていた方がご飯が美味しく食べれるってことだね! 」
「そうそう、その通りいい子いい子ー」
「エヘヘ」
クロエはルークににへらと口元に笑みを浮かべ撫でられるがままだ。
そんな様子がまた可愛いとルークが思っていると、突然顔を勢いよくあげて目を輝かせた。
あ、まずい。
「それじゃあ、もっとお腹を空かせないとね! 頑張ってワンコやらないとね! クロエもお姉ちゃん頑張るから一緒にお腹ペコペコにしようね! 」
「……そ、そうだね頑張らないとね。犬役を……は、ははあれなんでだろう目に光る物が」
ルークの嫌な予感どうりクロエはムンと胸の前で腕を構えて、意気込みのようなものを披露する。
背中に浮かんだ冷や汗がとても嫌な感覚だ。しかし、これから起こるであろう出来事を思い浮かべるとこれが可愛いものに感じる。
ルークは目の前でなにやら熱弁しているクロエをよそに上を見上げて「おままごと終わったら俺は生きているんだろうか」と思った。
その時、目から一筋の光の筋が流れたのだった。
ボンヤリした頭に誰かの声が響く。どことなく聞き覚えのある声の気がするんだが、今は眠らせて欲しい。
昨日は魔法を使って恐らく疲れで倒れたんだ、あと少しだけ寝ていてもバチは当たらないだろう。
しかし、そんな俺の脳内決定をよそに現在進行形で体を揺すり起こしに来ている人には関係ないのか、より一層呼ぶ声が大きくなった。
「ルークくん!! 」
「ん……あと3分……」
この声はもう誰か分かったがーーというかクロエーー、まだ起きる気はないので体を捩り絶対に起きないぞと抵抗の意識を示す。
本当にねむいのだ。
「ダメだよ~ 今日はエルちゃん達とおままごとの約束をしてるでしょ。早く起きないとご飯食べる時間なくなっちゃうよ? 」
ぎゅっと目を閉じていると、鈴を転がしたような綺麗なクロエの声が鼓膜を叩いた。ルークはそれを聞いて体を震わせる。
なにそれ、ものすごく起きたくなくなったんですけど……。
そう言えば、昨日そんな約束をしたというかさせられたような気がする。確か犬だかなんだかの役だったな……。
ヤダー! 絶対にヤダーー! 断固として参加を拒否してみせる!
ルークがそんな固い決意をした後、本当にその意思は変わらないようでクロエに揺さぶらても、声を掛けられても無視し続けた。
その結果……
「ルークくん……グスッどうして起きてくれないの? もしかして死んじゃったの? 」
クロエが泣いてしまった。しかもルークが死んでしまったと勘違いしている始末である。
ポロポロと落ちてくる涙を頬に感じて、ルークは流石に寝たふりをかましている事ができないと判断したのか、スクッと起き上がった。
「おはようクロエ。ん? どうして泣いているの? 何かあった? 」
「ルークくん……ルークくん!! 」
ルークが目をこすりながらさも今起きましたという風に振る舞うと、クロエは目に涙を浮かべながらルークに抱きついた。
その様子からはクロエがどれだけルークのことを心配していたのかが伺える。
ルークは内心胸を締め付けられる思いでいっぱいになりながらも、知らない風を貫く。
「どうしたんだよ、そんなに涙を流して……ほら泣くなよ」
「グスッグスッ……ルークぐん。死んじゃったかと思っだ~」
「ははは、そんなわけないだろう。ちょっと深い眠りに入っていただけだって……ほらおれってよくこうゆうことあるじゃん? 」
ねえよ、と自分で言って自分で突っ込むとある意味リサイクルな事をやりながら、ぐずるクロエを宥める。
「……うぅ、そうだっけ? でもよかった。ルークくんが生きてて……」
クロエはそう言うなり、ギュッとルークに抱きついた。
あまりにも大袈裟な言動だが、この年頃の子供は些細な事が大きく目に映る。それは個人差があるが、クロエの場合、眠っている友達が揺すっても起きない現象に対して、本来「ああ、昨日夜遅くまで起きてたんだ」と認識するところを「動かない!? 死んでる!? 」となるようだ。
些か、というかかなり大袈裟な部類に入ると思うがクロエは可愛いので大丈夫だ。これが可愛くなかったら「うざい」と適当にあしらうかもしれないな。
まあ、生まれ変わったこの世界はアニメの世界のように総じて顔がいいのでそれが起きないだろうけど……。
これも、ランク分けの影響だろう。【容姿】の項目もあったし……これだけは少しだけランク分けに感謝の念を抱くのはきっと悲しきかな男の性という奴だな。
ルークはクロエの背中をさすりながらのそんな事を考えていたのだった。
「ルークくんごめんねもうご飯食べる時間ないよ……」
ショボーンと聞こえてきそうな落ち込み方をするクロエ。肩を落として、下を俯き、気持ち髪のツヤがいつもよりなくなっている気がする。
あれから数十分後、ルークは別の意味でクロエを慰めていた。
なんでもずっとルークに縋り付いていたせいでご飯を食べる時間がなくなっていたことが自分のせいだと思っているようだ。
まあ、確かにその通りのではあるがルークはそんなことは気にしていない。
クロエのやる事は全て許容範囲とは本人の弁だ。
「大丈夫だよ、ほら朝ごはんを食べない分昼ごはんが美味しくなるし、逆にお礼言いたくらいだ」
「ほんと? 」
「ほんとほんと」
ルークは苦笑いを浮かべながら頷いた。自分で言ってて可笑しなところ満載、突っ込むところが多々あることは承知しているが、苦し紛れに出た言葉としては上出来だと思う。
「そうなんだ……わかった! お腹が空いていた方がご飯が美味しく食べれるってことだね! 」
「そうそう、その通りいい子いい子ー」
「エヘヘ」
クロエはルークににへらと口元に笑みを浮かべ撫でられるがままだ。
そんな様子がまた可愛いとルークが思っていると、突然顔を勢いよくあげて目を輝かせた。
あ、まずい。
「それじゃあ、もっとお腹を空かせないとね! 頑張ってワンコやらないとね! クロエもお姉ちゃん頑張るから一緒にお腹ペコペコにしようね! 」
「……そ、そうだね頑張らないとね。犬役を……は、ははあれなんでだろう目に光る物が」
ルークの嫌な予感どうりクロエはムンと胸の前で腕を構えて、意気込みのようなものを披露する。
背中に浮かんだ冷や汗がとても嫌な感覚だ。しかし、これから起こるであろう出来事を思い浮かべるとこれが可愛いものに感じる。
ルークは目の前でなにやら熱弁しているクロエをよそに上を見上げて「おままごと終わったら俺は生きているんだろうか」と思った。
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