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「……参ったな」
私は綺麗になった家を見回して口をへの字に曲げた。
家はいい。随分綺麗になった。ここまでやりこむと少し達成感もある。それはいい。
そしてまた、料理も。一応食事は作った。とはいえ簡単なスープとパンもどきだが――殆どの材料がイマイチなんだかよく判らないものだったので適当に作るしかなかった――見知らぬ場所でここまで作り上げたのだ。味もまぁ普通。割と満足である。それもいい。
問題は彼らである。あの七人。
…………一体、何処に行ったのか。
これは、呼び戻すべきなのだろうか。いや、食事も出来上がっているのだ。間違いなく呼び戻すべきであろう。しかしながら呼び戻そうにも彼らの居場所がわからない。
「リオリム」
『はい、なんでございましょう、お嬢様」
懐から鏡を取り出すと、水色の髪をした美麗な執事が鏡の中に現れる。
「小人……じゃなかった、妖精たちの居場所、わかる?」
『居場所――ですか』
リオリムは私の問いに目を閉じてしばらく黙り込んだ。
やや不安になってどうしたのかと尋ねようとした時だ。彼が目を開いて微笑んだのは。
『一応――二手に分かれているようですが。気配の近い方なら、簡単に辿り着けるかもしれません』
「本当? っていうか二手って……まぁいいか。案内して貰ってもいい?」
『かしこまりました』
リオリムはそう言って一礼すると、てきぱきと私に指示を下し始めた。
「もう、ほんとにこんな森、嫌になるんですけど……」
『お嬢様、あと少しの辛抱で御座います』
リオリムに案内されて約三十分あまり。右も左も木、木、木の中を歩き回るのも存外に疲れるものだ。
「こんなことなら、家にいたほうが良かったかなぁ……」
『しっ、お嬢様、何か聴こえます』
「え?」
リオリムの言葉に、私は黙り込んで耳を澄ませた。
そうして微かすかに耳に響いてきたのは――
「笛……?」
『そのようですね――』
綺麗な旋律の曲だった。
けれど、どこか……
「――何か、悲しい曲だね」
『……お嬢様。あれを』
そうリオリムが言って示した方向を見て、私は思わず瞬きを繰り返した。
そこには、ノアフェスがいた。
漆黒の着物のようなものに身を包んだ彼は、巨木の傍にある倒木に腰掛け、厳かに笛を奏でている。
そしてその前にあるのは、
「――ッ!」
『……遺体――の、ようですね』
そう。彼は遺体の前に座って笛を吹いていたのだった。
「な、何あれ……?」
『判りませんが――遺体が、消えていきます』
リオリムの言葉によくよく目を凝らしてみると、遺体の端々から仄かな光が煌き始めていた。そしてその煌く場所から、徐々に遺体が消えていく。さながら、水が空気に変わっていくかのように。きらきらと静かにさんざめきながら、遺体が大気に綻んでいき――
「何か――きれ、い」
幻想的な光景に、思わずそう呟いた時だった。
ぱっとノアフェスが笛を吹くのをやめてこちらを振り向いた。はっきりと隻眼の赤と私のそれがかち合う。その途端、彼の眼が大きく見開かれ、やがて鋭く細められた。
「あ、あのごめんなさい、ノアフェス。別に盗み聞きをする気じゃなくて――」
そう言い終わらぬうちに。
「――えれ」
低く、搾り出すようにノアフェスがそう言った。
「え? ごめんなさい、よく聞こえ――」
問い返そうとした私に、ノアフェスは立ち上がって、
「帰れッ!!」
凄まじい迫力で怒鳴りつけられ、怯む。
彼の瞳は明白な怒気を孕んでいて、赤い瞳が射るように私を睨ねめつけていた。
「あ、あの私」
「帰れと言っているんだ!」
ノアフェスの剣幕に、私は二、三歩後退り――それからその場から逃げ出すように駆け出した。
「はぁ、はぁ、はぁ――」
『お嬢様、帰り道から逸れています! これでは、帰れなく――』
制する様に叫んだリオリムだったが、不意に黙り込んだ。誰かの気配を感じたのだろう。
「――姫?」
遮二無二走っていた私を、誰かが抱きとめた。うろたえてその人を見上げると、
「る、ルーヴァス」
銀髪に紫紺の双眸――ルーヴァスだった。
「どうした? 酷く怯えているようだが――」
驚いたのか、やや目を見開いていた彼は、少し目を細めると、ぽんぽん、と軽く私の背を叩いた。
「姫、落ち着きなさい」
「あ――」
ルーヴァスの声で我に返る。
「何があったのだ?」
「……なんでも、ない、です。ごめんなさい。私、皆さんに食事が出来上がったって言いに行こうとして――」
そう言いながら、まだ手に鏡を持っているのを思い出し、ポケットに鏡を仕舞いこむ。
「そのためにそんなに急いで走ってきたのか?」
ルーヴァスは瞬きを繰り返し、やがて、花がほころぶかのように小さく微笑んだ。
「……あなたという人は……全く。そう神経質になる必要はない。難しいかもしれないが、我々にあまり気を張らないでくれ。……ありがとう、姫」
そういえば、何故ルーヴァスがここにいるのか――と辺りを見回してみると、いつのまにかあたりには花畑が広がっていた。
見覚えのない景色だ。森に入る前の花畑ではない。一体ここは何処なのだろうか――と思ったが、ノアフェス以外の妖精たちが花畑に集っているのを見つけ、私はほっと息をついた。
多分、あまり家から離れた場所ではないんだろう。
流石、迷いの森だ。どうなっているのかさっぱりわからない。
「皆、姫が食事を作ってくれたようだ」
「おや、掃除は終わったんですか?」
「もう昼時ですね……ごめんなさい。一応、ご飯らしきものはできました」
「大変だったよね、お疲れさま」
「らしきものってどういうことー?」
「えっと、どの材料を使えばいいのかわからなくて……」
「……流石、お姫様ですね」
「シルヴィス、ひくちっ、失礼だよっちっ!」
みんなの変わりない様子に、私はほっと息をついた。
「じゃあ、帰りましょう」
結局、ノアフェスはあの後帰ってこなかった。
「……怒らせちゃったんだよね、私……」
私が呟くと、
『そうかもしれません。しかしあの状況下。お嬢様だけが悪いとも言えないでしょう? まずは、彼が帰ってきてから話をした方がいいかもしれません』
とリオリムが言ってくれるのだが、やはり気分が晴れることはない。
「うん……」
今朝彼を怒らせた手前、ノアフェスの部屋で寝るのも申し訳なくて、私はリビングで机に突っ伏していた。
「追い出されちゃうかな」
『……お嬢様……』
無意識に零れた言葉が、あまりに所在なさげだったのか、リオリムは言葉を詰まらせた。
どうすればいいのだろう。
私が突然転がり込んできて、いい気はしなかったと思うけれど、彼は自分の部屋のベッドを譲ってくれた。気にしなくてもいいと言ってくれた。きっと悪いひとじゃない。だから、怒ったのにもきっと理由がある。
謝れば、許してくれるだろうか。
けれど、理由もわからないまま謝っても、意味なんてない気がする。
でも、だからといってどうすればいいのかなんてわからない。
追い出されて行く宛もない。そして何より彼らを惚れさせなければ私に生き残る道はないのだという。
私は、ここから離れられない。
けれど、このままでは――
「……死ぬしか、ないのかなぁ」
初日からこれでは、やっていける気がしない。
暗い思考に意識がずんずん沈んでいく。
そもそもこんな無茶なこと、私にできるわけがないじゃないか。
妖精たちに惚れてもらうとか、運命に抗うとか。
凡庸な私には、どだい無理な話だったんだ。だったら諦めた方が――
その時だ。
ギィ、という音と共に入り口の扉が開いた。
「……姫」
その声に身を強張らせる。
彼の声だ。
そう、ノアフェスの。
何て言えばいいのかわからなくて、俯いて机を見つめたまま言葉を捜していると。
彼は歩み寄ってきて、向かいの席に座った。
見上げる勇気もなく、視線を落としたまま黙り込んでいる私を、彼がどう思ったのかは判らない。
しかしその視線が私に注がれていることは判った。
何か言わなければ。
そう、今朝の謝罪を。或いは彼の怒りの理由を問わなければ。
そう思って恐る恐る唇を開こうとした時、
「……すまなかった」
ぽつん、とそう告げられて、私は拍子抜けして思わず彼を見上げてしまった。
「ど、どうして……ノアフェスが謝るんですか?」
「……今朝、怒鳴りつけた。あれは……おまえに咎はない。何も。俺が勝手に、昔を思い出して感情的になっただけだ」
「昔……?」
「とにかく、お前は何も悪くない。気に病むな。すまなかった」
ノアフェスは頭を下げた。髪に挿してある金の簪の飾りがしゃらんと音を立てた。
「そっ、そんな、頭を上げてください! ……あの、私……その」
「お前は悪くない。……ただ、あの場所には近付かないでくれ」
「あ……」
まさか、あの場所か。
シルヴィスが言っていた、「小屋」とは。
小屋があるようには見受けられなかったが……もしかしたら、見つけられなかっただけかもしれない。私はあの場所をよくよく見回ったわけじゃない。見つけられなかったとしても全くおかしくはないだろう。
「ごめんなさい。私、その……迷いの森の中がどうなっているのか、よくわからないんです……」
「……あぁ、そうか。お前は、人間だから、わからないか」
ノアフェスは眼を伏せ、やや黙り込む。
「……ならば、とかく笛の聞こえる場所に、近付かぬようにして欲しい」
「笛の――?」
つまり音が聞こえたらその場から離れるようにすればいいのだろうか。
それならまだできるかもしれない。
「わかりました。努力します」
「こんなことを頼んですまない」
そういうと、ノアフェスは立ち上がった。
「あの、ノアフェス? 出かけるんですか?」
「あぁ――お前は、もう寝ろ」
そう言うと、ノアフェスは再び外へと出ていったのだった。
私は綺麗になった家を見回して口をへの字に曲げた。
家はいい。随分綺麗になった。ここまでやりこむと少し達成感もある。それはいい。
そしてまた、料理も。一応食事は作った。とはいえ簡単なスープとパンもどきだが――殆どの材料がイマイチなんだかよく判らないものだったので適当に作るしかなかった――見知らぬ場所でここまで作り上げたのだ。味もまぁ普通。割と満足である。それもいい。
問題は彼らである。あの七人。
…………一体、何処に行ったのか。
これは、呼び戻すべきなのだろうか。いや、食事も出来上がっているのだ。間違いなく呼び戻すべきであろう。しかしながら呼び戻そうにも彼らの居場所がわからない。
「リオリム」
『はい、なんでございましょう、お嬢様」
懐から鏡を取り出すと、水色の髪をした美麗な執事が鏡の中に現れる。
「小人……じゃなかった、妖精たちの居場所、わかる?」
『居場所――ですか』
リオリムは私の問いに目を閉じてしばらく黙り込んだ。
やや不安になってどうしたのかと尋ねようとした時だ。彼が目を開いて微笑んだのは。
『一応――二手に分かれているようですが。気配の近い方なら、簡単に辿り着けるかもしれません』
「本当? っていうか二手って……まぁいいか。案内して貰ってもいい?」
『かしこまりました』
リオリムはそう言って一礼すると、てきぱきと私に指示を下し始めた。
「もう、ほんとにこんな森、嫌になるんですけど……」
『お嬢様、あと少しの辛抱で御座います』
リオリムに案内されて約三十分あまり。右も左も木、木、木の中を歩き回るのも存外に疲れるものだ。
「こんなことなら、家にいたほうが良かったかなぁ……」
『しっ、お嬢様、何か聴こえます』
「え?」
リオリムの言葉に、私は黙り込んで耳を澄ませた。
そうして微かすかに耳に響いてきたのは――
「笛……?」
『そのようですね――』
綺麗な旋律の曲だった。
けれど、どこか……
「――何か、悲しい曲だね」
『……お嬢様。あれを』
そうリオリムが言って示した方向を見て、私は思わず瞬きを繰り返した。
そこには、ノアフェスがいた。
漆黒の着物のようなものに身を包んだ彼は、巨木の傍にある倒木に腰掛け、厳かに笛を奏でている。
そしてその前にあるのは、
「――ッ!」
『……遺体――の、ようですね』
そう。彼は遺体の前に座って笛を吹いていたのだった。
「な、何あれ……?」
『判りませんが――遺体が、消えていきます』
リオリムの言葉によくよく目を凝らしてみると、遺体の端々から仄かな光が煌き始めていた。そしてその煌く場所から、徐々に遺体が消えていく。さながら、水が空気に変わっていくかのように。きらきらと静かにさんざめきながら、遺体が大気に綻んでいき――
「何か――きれ、い」
幻想的な光景に、思わずそう呟いた時だった。
ぱっとノアフェスが笛を吹くのをやめてこちらを振り向いた。はっきりと隻眼の赤と私のそれがかち合う。その途端、彼の眼が大きく見開かれ、やがて鋭く細められた。
「あ、あのごめんなさい、ノアフェス。別に盗み聞きをする気じゃなくて――」
そう言い終わらぬうちに。
「――えれ」
低く、搾り出すようにノアフェスがそう言った。
「え? ごめんなさい、よく聞こえ――」
問い返そうとした私に、ノアフェスは立ち上がって、
「帰れッ!!」
凄まじい迫力で怒鳴りつけられ、怯む。
彼の瞳は明白な怒気を孕んでいて、赤い瞳が射るように私を睨ねめつけていた。
「あ、あの私」
「帰れと言っているんだ!」
ノアフェスの剣幕に、私は二、三歩後退り――それからその場から逃げ出すように駆け出した。
「はぁ、はぁ、はぁ――」
『お嬢様、帰り道から逸れています! これでは、帰れなく――』
制する様に叫んだリオリムだったが、不意に黙り込んだ。誰かの気配を感じたのだろう。
「――姫?」
遮二無二走っていた私を、誰かが抱きとめた。うろたえてその人を見上げると、
「る、ルーヴァス」
銀髪に紫紺の双眸――ルーヴァスだった。
「どうした? 酷く怯えているようだが――」
驚いたのか、やや目を見開いていた彼は、少し目を細めると、ぽんぽん、と軽く私の背を叩いた。
「姫、落ち着きなさい」
「あ――」
ルーヴァスの声で我に返る。
「何があったのだ?」
「……なんでも、ない、です。ごめんなさい。私、皆さんに食事が出来上がったって言いに行こうとして――」
そう言いながら、まだ手に鏡を持っているのを思い出し、ポケットに鏡を仕舞いこむ。
「そのためにそんなに急いで走ってきたのか?」
ルーヴァスは瞬きを繰り返し、やがて、花がほころぶかのように小さく微笑んだ。
「……あなたという人は……全く。そう神経質になる必要はない。難しいかもしれないが、我々にあまり気を張らないでくれ。……ありがとう、姫」
そういえば、何故ルーヴァスがここにいるのか――と辺りを見回してみると、いつのまにかあたりには花畑が広がっていた。
見覚えのない景色だ。森に入る前の花畑ではない。一体ここは何処なのだろうか――と思ったが、ノアフェス以外の妖精たちが花畑に集っているのを見つけ、私はほっと息をついた。
多分、あまり家から離れた場所ではないんだろう。
流石、迷いの森だ。どうなっているのかさっぱりわからない。
「皆、姫が食事を作ってくれたようだ」
「おや、掃除は終わったんですか?」
「もう昼時ですね……ごめんなさい。一応、ご飯らしきものはできました」
「大変だったよね、お疲れさま」
「らしきものってどういうことー?」
「えっと、どの材料を使えばいいのかわからなくて……」
「……流石、お姫様ですね」
「シルヴィス、ひくちっ、失礼だよっちっ!」
みんなの変わりない様子に、私はほっと息をついた。
「じゃあ、帰りましょう」
結局、ノアフェスはあの後帰ってこなかった。
「……怒らせちゃったんだよね、私……」
私が呟くと、
『そうかもしれません。しかしあの状況下。お嬢様だけが悪いとも言えないでしょう? まずは、彼が帰ってきてから話をした方がいいかもしれません』
とリオリムが言ってくれるのだが、やはり気分が晴れることはない。
「うん……」
今朝彼を怒らせた手前、ノアフェスの部屋で寝るのも申し訳なくて、私はリビングで机に突っ伏していた。
「追い出されちゃうかな」
『……お嬢様……』
無意識に零れた言葉が、あまりに所在なさげだったのか、リオリムは言葉を詰まらせた。
どうすればいいのだろう。
私が突然転がり込んできて、いい気はしなかったと思うけれど、彼は自分の部屋のベッドを譲ってくれた。気にしなくてもいいと言ってくれた。きっと悪いひとじゃない。だから、怒ったのにもきっと理由がある。
謝れば、許してくれるだろうか。
けれど、理由もわからないまま謝っても、意味なんてない気がする。
でも、だからといってどうすればいいのかなんてわからない。
追い出されて行く宛もない。そして何より彼らを惚れさせなければ私に生き残る道はないのだという。
私は、ここから離れられない。
けれど、このままでは――
「……死ぬしか、ないのかなぁ」
初日からこれでは、やっていける気がしない。
暗い思考に意識がずんずん沈んでいく。
そもそもこんな無茶なこと、私にできるわけがないじゃないか。
妖精たちに惚れてもらうとか、運命に抗うとか。
凡庸な私には、どだい無理な話だったんだ。だったら諦めた方が――
その時だ。
ギィ、という音と共に入り口の扉が開いた。
「……姫」
その声に身を強張らせる。
彼の声だ。
そう、ノアフェスの。
何て言えばいいのかわからなくて、俯いて机を見つめたまま言葉を捜していると。
彼は歩み寄ってきて、向かいの席に座った。
見上げる勇気もなく、視線を落としたまま黙り込んでいる私を、彼がどう思ったのかは判らない。
しかしその視線が私に注がれていることは判った。
何か言わなければ。
そう、今朝の謝罪を。或いは彼の怒りの理由を問わなければ。
そう思って恐る恐る唇を開こうとした時、
「……すまなかった」
ぽつん、とそう告げられて、私は拍子抜けして思わず彼を見上げてしまった。
「ど、どうして……ノアフェスが謝るんですか?」
「……今朝、怒鳴りつけた。あれは……おまえに咎はない。何も。俺が勝手に、昔を思い出して感情的になっただけだ」
「昔……?」
「とにかく、お前は何も悪くない。気に病むな。すまなかった」
ノアフェスは頭を下げた。髪に挿してある金の簪の飾りがしゃらんと音を立てた。
「そっ、そんな、頭を上げてください! ……あの、私……その」
「お前は悪くない。……ただ、あの場所には近付かないでくれ」
「あ……」
まさか、あの場所か。
シルヴィスが言っていた、「小屋」とは。
小屋があるようには見受けられなかったが……もしかしたら、見つけられなかっただけかもしれない。私はあの場所をよくよく見回ったわけじゃない。見つけられなかったとしても全くおかしくはないだろう。
「ごめんなさい。私、その……迷いの森の中がどうなっているのか、よくわからないんです……」
「……あぁ、そうか。お前は、人間だから、わからないか」
ノアフェスは眼を伏せ、やや黙り込む。
「……ならば、とかく笛の聞こえる場所に、近付かぬようにして欲しい」
「笛の――?」
つまり音が聞こえたらその場から離れるようにすればいいのだろうか。
それならまだできるかもしれない。
「わかりました。努力します」
「こんなことを頼んですまない」
そういうと、ノアフェスは立ち上がった。
「あの、ノアフェス? 出かけるんですか?」
「あぁ――お前は、もう寝ろ」
そう言うと、ノアフェスは再び外へと出ていったのだった。
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